第5話 来るもの拒まず去るもの追わず
小学四年生になり、現地校で私はGTクラスに選ばれた。
Gifted and Talented の略であり、学年から成績上位十二名ほどがこのクラスに選ばれる。
一教科だけでも特別優れていれば、対象になるようだ。
定期的に選抜は行われ、選ばれなかった者は通常通り授業を受ける。
そして選ばれた者は、ニ時間ほど特別授業を受けられる制度となっている。
つまり日本でいう一組から三組までクラスがあり、そこから一部の生徒だけが決まった時間に授業を抜け、GTクラスの部屋に移動するという流れだ。
私は常に算数が成績トップだったため、才能ありの生徒として評価されたようだ。
GTクラスへ移動すると、いつもニコニコして笑顔を向けてくれる男の子がいた。
彼の名前はジェイコブ。
容姿が整っていて、かっこよかった。
彼は私が横に座ると、いつも楽しく話しかけてくれる。時間が経つにつれ、すぐ距離を詰めようとするため、少し恥ずかしい時もあったが嬉しかった。
GTクラスの生徒の見直しにより、私の親友も一緒に授業を受けるようになった。
彼女の名前は、ジャクレン。
メキシコ人でとても仲が良かった。
ある日、ジャクレンがジェイコブの隣に座った。すごく楽しそうに話していて、正直少し嫉妬した。
1週間もしないうちに、別の子から噂で聞く。
「ねぇ、くるみ聞いた!?あの二人付き合ってるらしいよ!」
ショックが隠せなかった。というより、自分がジェイコブに好かれていると思っていた。
どうやらジャクレンが告白して付き合ったらしい。
別に本気ではなかったし、親友が幸せならそれでいいやとすぐに受け入れた。
時間が経ち、またGTクラスで生徒の見直しがあった。私の親友ジャクレンは、残念ながら今回は選ばれなかった。
――次の日
ジェイコブが寂しがってるんじゃないかと思い、私は周りを見渡した。
新しく選抜された女の子と楽しそうに話している。
「大丈夫そうならいっか……」
私は、この時全く気にしていなかった。
――数日後
ジェイコブがまた同じ女の子と座っている。というかここ最近ずっと一緒にいる気がする。
私は隣にいた友達に聞いた。
「あー、あの二人付き合ってるよ。」
当たり前のように友達は答え、私は固まった。
「え?ジャクレンは……?」
もうとっくに別れているとのことだった。
どうやら新しい女の子が告白してきて、あっさり乗り換えたらしい。
そう……成績いい女の子とだったら誰とでもいいのね。
―――
イケメンは、ずるいですよね。
この時のジェイコブに「社会人になると、顔だけじゃ選んでもらえなくなるよ。」と言いたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます