第4話 カンニングを許しちゃった件
小学三年生になった。
現地校で今日は、算数の小テストがある。
出題問題は、昨日授業で学んだこと。
ばっちり対策してた私は、安定の100点満点。
「ま、当たり前の結果だな。」
いつも通り余裕をかます。
――次の日
2日間、家族旅行で休んでいた男の子が出席した。
彼の名前は、ウィル。
すごく仲の良い親友で、私は密かに彼のことが好きだった。
自習時間になり、強面の先生がウィルに小テストを渡した。
「みんな解答済みの問題です。10分で解くように。」
前の席で、ウィルが明らかに焦っている。
そりゃそうだ。
そもそもこの時、授業を受けていなかったのだから。
すると小声で何か聞こえてきた。
「くるみ、くるみ!教えて……!」
ウィルが前で合図を送ってくる。
私は助けたい一心でノートをちぎり、答えを書いた紙切れを彼に渡す。
彼が急いでそれを見て記入していく。
すると先生が突然立ち上がって、こちらに向かって歩いてきた。
「ウィル。今何を受け取ったの。今すぐ出しなさい……出しなさい!」
ウィルは、ビクビクしながらその紙切れを渡す。
「くるみ、こちらに来なさい。」
静まり返った教室で、私はこっぴどく怒られた。クラスメイトのみんながこっちを見ている中、ウィルがすごく申し訳なさそうにしている。
一方的に怒られ腑に落ちなかった私は、頑張って反論した。
「先生、彼がこの問題を解けるはずありません。授業の日も休んでましたから。」
先生は一瞬黙ったが、すぐに言い返してきた。
「じゃあ、どうしてそれを先に言わなかったんですか。」
それは私じゃなくてウィルにすべき質問なんじゃ……と心の中で思いながら、席に座っているウィルをチラッと見る。
びびりきった彼は、何も言わなかった。
私は自分のミスをウィルに謝ることなく、一方的に怒ってきた先生が許せなかった。
先生は用紙に事情を書き、親から確認のサインをもらうようにと、私に指示をした。
後から「ごめんね」と私に謝るウィルの姿が可愛くて、私はすぐ許した。
―――
どうやらアメリカでは、生徒に反省文を書かせるのではなく、事情を書いて生徒自身から親に報告させるのが決まりのようです。
おそらく、親に怒られて反省させるという流れにしたかったのでしょう。
英語が読めない母に内容を説明するのが嫌だったので、「この紙にちょっとサインして。」と頼んで、白紙にサインだけされたものを先生に渡しました。
「先生にもらった用紙忘れてしまって……でも自分からちゃんと説明しました。」
まさかのオッケーでした。笑
ちょろすぎる。
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