第3話 ピュアなぽっちゃりさん
小学2年生が終わりを迎えようとしていた。
現地校で他生徒と食堂へ移動する。
席順はランダムで、並んだもん順に奥へと詰めていく。
斜め前に、ぽっちゃりで可愛い顔をした、色白で身長高めの男の子が座っている。
私の前に座っていた男の子、ジェシーがニヤニヤしていじりたそうに私を見る。
「こいつ俺の親友でめっちゃいい奴だし、超金持ちだぞ?いいじゃん、な?付き合っちゃえよ。」
ぽっちゃりさんは、私のことが好きだった。
その証拠に、バレンタインにプレゼントをもらっていた。
ピンクの可愛いプードルのぬいぐるみと、小学生のプレゼントとは思えないしっかりした箱に入った綺麗な指輪。
正直、センスが良くてすごく気に入っていたし、嬉しかった。彼のお母さんも話しかけてくれて、すごく優しかった。
アメリカの学校にはペーパーナプキンの箱が等間隔でテーブルに置いてあり、左右から取れるようになっている。
そのペーパーナプキンが斜めに置いてある時、それぞれ白い面が向いた先に座っている2人は恋に落ちるという説があった。
ジェシーがふざけて、私とぽっちゃりさんに向くよう移動させる。
それを見たぽっちゃりさんが、嬉しそうに少し照れている。
私は周りに茶化されるのが恥ずかしくて、急いで奪い取り、元に戻そうとした。
周りは笑っていたが、ぽっちゃりさんは明らかに深く傷ついた顔をしていた。
彼はずっとムスッとしたり、うつむいたりしていて、そのまま進級するまで顔を合わせることはなかった。
―――
実は、15年以上経った今もプードルのぬいぐるみ大切に部屋に飾ってます。
あの時、悪気なくて……ごめんなさい。
〜完〜
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