第2話いざ行かん、理想郷!

「始まりの、主…?」

「ここら一帯は弱い魔物しかいなくてね、冒険者を始めるならここからと言われていて、この村も始まりの村などと呼ばれていてね。…ちゃんとハマル村って名前があるんだけどなぁ…」


おっさんはがっくりと項垂れていたけど、俺は聞き捨てならない言葉を聞いた。


「…弱い、魔物」

「そう、君が殺されかけたホーンラビットも弱い魔物。まぁ、武器も持たない、ましてや落ち人じゃあ仕方ないけどね」

「落ち人?」

「そう、君みたいに見た事ないような服装してる人で、大抵は落下死してる場合が多いんだけど、君は運が良かったみたいだね」


ヒェッ!?

やっぱ死んでんじゃん!

あれ、駄目じゃん!!


「まぁ、生き残っても君みたいに魔物に襲われたりして死んだりもしてるけどね」

「俺死んでない!死んでないからもうちょっと言い方考えて!?」

「そうだねぇ。本当に運が良かった。主は人を殺さないけど助けるようなタイプじゃなかったはずなんだけど。ほら、基本弱肉強食的な?」


俺の言葉はスルッと無視されて怖いことを言う。

結構このおっさん、腹黒だぞ。


それにしても主とやらはかなり変わった魔物のようだ。


はっ!!

俺は重大な事に気付いてしまったかもしれない。

あの感触はおっぱいだった。

いや、触った事ないけど。

しかし、仮におっぱいだったとしたら?


つまりは人型、魔物っ娘である!!


なにそれ、ハーレムの一人!?

死にかけたけど、来た、来たぞ俺のターン!!

いやっほい!

そうと分かればいざ行かん!


「始まりの主は何処にいらっしゃるんで?」

「ん?普段は草原でまったりと、」

「草原ですね!」

「まさか、行くつもりじゃ…」

「待ってろ、俺のハーレム!!」

「何言ってんだ、君!?…って行っちゃったよ。それより分かるのかな、始まりの主」



身体が軽い。

痛みなんてなかったように動く。

血が大分流れていたから貧血になってるんじゃないかって思ってたけど、全然そんな事なかった。


『キュン!な、何この男。格好良いじゃない。…でも、私は魔物でこいつは人間。一緒には居られないわ。せめて怪我だけでも完璧に治してあげたい』


なんてな、なんてなッ!

健気な美少女、良いじゃないか!

おっぱいでかけりゃ尚良し!

いや、貧乳でも構わない。

俺のゴッドハンドで…ムフフ。

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