悪の幹部の秘密会議セカンド!暗黒の夜・・・

今日も今日とて獣が嗤うこの街のどこかで

悪の組織の秘密会議が執り行われる・・・


「こういう時ってさぁ、なんかテンション上げるとマズくね?」


「なんか痛いんだよね。士気高揚とかヘタにやっちゃうとさ・・・」


「そうそう。極道映画観てからオラオラに肩揺らして歩くアレになる。」


「一回職質されたもん。マントに鎧のまんまコンビニ行っちゃったし。」


「そもそも悪の幹部のコスチュームで映画見に行ったんですか・・・」


悪の幹部は悩みが憑き物。どこからが生活でどこからが悪人なのか。

いつだって悪人では居られない。悪の幹部だって飼い犬のお散歩をしたり

可愛くするためのトリミングをして貰ってからスマホでパシャリして

頬を緩ませることだってあるのだ。


「やっぱりさぁ。俺らって悪の幹部やってるけど会社員感覚だよね。」


「固定給福利厚生アリだもんな。一部成果報酬とかあるけど・・・」


「それで何だっけ?今日のお題って」


視聴者のみんなもたまに見たことがあるかもしれないシチュエーション。

「そもそも悪の組織の技術で改造されたのが反逆するパターン」

である。このタイプをどうするべきか・・・戦闘における対処ではない。

シオカワが謎エネルギーの研究で産み出したウルトライダーも少なからず居るが

彼らに限って特異なアビリティを誇り、組織に捕まってると言う概念も忘れ

己の好き勝手に世の中を生きると言ったイレギュラーが発生してしまうのだ。


「えー。いくつか気になる点を発見しました。まずはこちらをご覧ください。」


・何か世話好きなお金持ちに拾われるので生活に困らない


・生活の些細な面から新技を閃くアイデア


・最近では変身ベルトが喋るヤツも居る

(もしくはベルトのユーザーフレンドリー化)


「誰もがみなヒーローになれる時代か・・・世も末だ・・・」


「まぁ、それはそれとして、元はシオカワ製のウルトライダーに関しては

 怪人保険付けたまんま契約履行しているので、コストが嵩んでるんですよね。」


「ヒーローになった改造人間に金払ってる状態!?何それ!?」


説明しよう!ウルトライダーが色々あって孤立した時に

ヘタな闇落ちをすると計り知れない損害が発生し

第三勢力となって抑えきれない場合に備えて

上記の「何か世話好きなお金持ち」・・・その正体は一般市民に扮した

シオカワの回し者。常にウルトライダーを監視する為のエージェントなのだ!

彼らをサポートするスポンサー保障を付けて

闇落ちするにしてもシオカワで懐柔出来る様に仕向けてある・・・


「いつでも殺・・・ボコボコに出来るじゃないですか?」


「そこはバランスと言うか、お前も業界長いんだから分かるだろ?

 悪の組織がデータ取って、経済回して、ヒーローと戦う。

 そうやってこの組織は成立してるっつーワケ。」


「じゃあ、悪の組織の衣装とか昭和臭い演出ってぶっちゃけ・・・」


「必要経費だが、部下に見栄を張らないと付いてこないんでな・・・

 ちょっと恥ずかしいけどロマンってあるじゃん?」


今日も悪の組織は世知辛いのだった・・・



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