営業マン塩河迫の正体とは!?中年戦闘員の素朴な疑問

20年選手の中堅戦闘員、宮原慎一みやはらしんいち石内孝之いしうちたかゆきは考えていた。

常に情報の糸を張り巡らせ、時にはウルトライダーをも撃退する

塩河迫しおかわせまると言う営業マンがタダモノでは無いのでは?と・・・

何せ敵組織の怪人を拷問したとか

市民に怪我させたウルトライダーを警察に突き出したりだの

彼の強さは幹部怪人クラスでは?と言ったのが

悪の組織シオカワの都市伝説である。


そこで仕事の合間を利用し戦闘員の隠密スニーキングスキルを利用して

彼の謎に迫る事にする。知った所で消されるかもしれないが

どうしても彼らは好奇心に勝てなかったのだ。

この仕事には時給は発生しない。いいね?


すると彼と親しい怪人のケジメドラゴンさんがご歓談中の様だ。

しばし、話を盗み聞き・・・


「なぁ塩河の旦那よォ。前から気になってる事があるんだけどよ」


やっぱり何か気付いていたのか!?

宮原と石内は一気に核心に迫るケジメさんに感謝する。


「いつかタコ怪人切り刻んだドスブレード、刃こぼれして無いっすか?

 これが良いって言うけど、斬れなければ意味ないでしょう」


「え?切れにくい方が相手が悶え苦しむんで情報引き出せるじゃないですか?」


怖ェェェェ!!!

極道怪人よりも極道だよ!明らかにカタギの言う事じゃねえよ!

気付け!ケジメドラゴンさん、その人悪の幹部か何かだよ!?


「それにしても塩河の旦那には感謝してますよ。

全く、あんただけは読めねえ・・・」


「いえいえ。私も怪人や戦闘員には感謝してますよ。

 私、暴力キライですから。」


それはひょっとしてネタで言ってるのか!?


おかしい!絶対におかしい!いくら怪人共済の保険を担っていても

ドスブレード持って暴力キライとか言うのは絶対におかしい!

怪人保険に加入しない敵組織の怪人を仕事でアレしてるのは有名な話だ。


宮原と石内は混乱した。

しかし、ケジメドラゴンさんは続ける。そもそも戦闘員2人に

盗み聞きされてるとは思ってもいないのだ。


「なぁ塩河の旦那。多分、幹部の皆様や怪人たち、

そして戦闘員のみんなが気付いてると思うんだ。あんたの・・・」


行け!核心に迫れ!!いいぞケジメドラゴンさん・・・


「お家で飼ってるネコちゃん可愛いですよね。

 名前何て言うんすか?」


「ノブヒコって言うんですよ。これがもう可愛くて・・・」


惜しいー!イヤぁ惜しくない!

彼の飼い猫であるノブヒコ君は社内のアイドルとして

多くのファンが居り、シオカワの怪人達の休日の楽しみの一環で

彼の猫ブログを鑑賞する者が後を絶たない・・・

そして塩河が猫を遊ばせる為に作るダンボール秘密基地等のDIY動画は

実際の秘密基地建設のノウハウとして現場の戦闘員達に好評なのであった。

宮原と石内の盗み聞きは徒労に終わり、塩河と言う男の正体は

未だ謎のまんまなのであった・・・

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