毒怪人は時代遅れ?昭和の闇を取り戻せ!

かつては昭和の不気味路線の王道を往って

ヒーロー達を恐怖のドン底に陥れていた毒液を使う怪人・・・

昨今の環境問題も相まってすっかり見る影もなく

淘汰されている現状である。


やっぱりヒーローと互角もしくは圧倒する様なフィジカル系

ウルトライダーの礎となったポジションに位置する

謎パワーの持ち主である神様系怪人。

ヒーローとは似て非なる怪人の方が高い営業成績を叩き出せる・・・


言いたい事も言えないこんな世の中じゃ・・・

赤ちゃんはあの歌で泣き止むらしい。

それは良い事だけどポイズンが足りない時代に一発当てるべく

毒物怪人・・・いいえ毒職人とまで形容される

昭和の系譜を受け継ぐ匠が一人。

彼こそが世の中に溜まってるストレスを毒素として変換し

ウルトライダーに叩きつける新機軸の毒物怪人

グレートポイズンその人なのであった!


そう。毒と言うのにも種類があって

生物が死ぬ系の毒と、精神攻撃により人を叩き潰す為だけの毒。

後者を選んだ彼はさっそく街へと繰り出します。


彼は街往く人々を蝕むストレスそのものを

オーラ的な何かで吸い取って楽にしてあげて

自らの中に取り込み、それを呪いのパワーとしてウルトライダーに吐き出し

攻撃すると言う新機軸の毒物怪人なのだ!


現代には毒が足りない?いいや、心の闇で満ちている!

悪の組織にとって負のオーラに付け込んで利用するなど

朝飯前の事なのである。市民のストレスを吸収し受け止めて

日頃からお勤めで疲弊なさっている社会人や主婦、学生さん等が

明日の無用な心配をせずにスヤスヤと眠れるようになったらしく

悪の組織シオカワのダークサイドでありながら歩くパワースポットの様な扱い。

「ありがとうグレートポイズン」等、応援メッセージまで殺到する

人気怪人となりましたが、彼が欲しているのは暗闇なのです。


「塩河さん、俺って最近毒っ気がなんか足りなくて・・・」

市民の悩みを吸収する怪人の悩み!これは聞き捨てなりません!

しかし、採用してる怪人保険の内容を変更する必要はありませんね・・・


こういう時は腹を割って話しをしましょう。まぁ、お酒でも飲みながら・・・

男同士のサシ飲み。そこに嘘偽りなど介在せず、塩河の愚痴を聞く。

怪人ではない筈なのに悪の組織においてのフットワーク。

ウルトライダーの分析、リスクの算定等を一手に受ける

怪人共済の営業マンが一人の人間として抱える

日頃の鬱憤、ストレスの丈を・・・

それは紛れもなくダークネスなオーラを放っていた。


「ギャアアアア!!!」


「それでねー。世間が言う『頑張る』なんて呪いみたいなモノで・・・」


「この、耳鳴りは何だぁ!?不安定になる!不安定になるゥ!」


「所詮、人が好き勝手に語る『正義』なんて

 自分勝手の象徴なんですよ・・・」


「怖い!助けてくれェェェ!!!」


夜の街にグレートポイズンの断末魔が鳴り響く!

負のオーラ。喋るにつれてかつてない心の闇を曝け出す塩河。

こんなにもウルトライダーに苛まれてる街で怒り狂っているのか・・・

幹部クラス、いや、悪の首領に遭遇した時の様な

闇の波動をビンビンに感じ、グレートポイズンの毒が充填されて行きます。


その後、グレートポイズンはシオカワの怨霊と呼ばれる程の災厄怪人となり

ウルトライダー達の間でもチート級怪人の扱いを受け

今日も街のどこかで彼らに闇の波動を叩きつけているのであった・・・



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