悪の駆け引き!お前らは地獄まで一緒だ

我々怪人共済は、市民の、そして悪の首領!幹部!怪人!そして

日々、街の為に努力している戦闘員に到るまで心から支えています!!


さてさて、今回営業に参りましたのは毒液怪人が鎮座する街角の事務所。

なかなかに毒が効いておられます!ほら、建物への腐蝕が始まってる様で・・・

こちら、現行の瑕疵担保特約かしたんぽとくやくでは

建物が傷ついてしまった場合に際しましては

あなた方の過失が発生しないという事にはならないんですよ。


「そこを何とかー。最近知ってるでしょー?ウルトライダー・・・なんつったっけ?」


「この地域ですとウルトライダーシャドーさんですかね?

見つけ次第怪人を殴る『』で有名な・・・」


「そうそう。もうねー。怪人共済さんの一声で兵隊集めて一気に叩いて貰えたらいいんですけどねー。」


「そうすると、前回のヒーロー事変スペシャルみたいにウルトライダーが何十人も集まってね。・・・街が焦土になるもんですから」


「あれは酷かったですなぁ。何か『ウルトライダーパワーを合体だー!』って言って全員でウルトライダーストライクで蹴ってくるんだもの。」


「そういう事で・・・まぁ毒液怪人さんによる建物への瑕疵キズに関しましては、ご検討いただければ・・・」


「ウチもねー。ウルトライダーシャドーだけならええんですよ?ウルトライダーシャドーRXまで出てきて、そいつが3人に分裂しよるんですわ。」


なるほど・・・それは手に余る厄介なヤツだ。

なかなかにこの怪人事務所も負担が大きい。顔を売っておくだけでも良いと考えるか。


造成地や採石場に戦いの場を移せば爆発の損害も軽微で済むが

街に戦いがもつれ込んでしまった時に

怪人達でカバーできなければ不味い。そうしてる間にも毒液怪人は自分の毒で

やられてしまってるのでしょうか?さっきから台所で嘔吐しっぱなしだ。

水道局には科学実験と銘打って秘匿してるが、張り切って強力な毒素にしたのと

連戦のダメージでボロボロの様だ。



「瑕疵担保の契約を(怪)プランに変更しますが・・・その代わり

法人のご契約の自動車保険ですねー?この前怪人配達に使う

ライトバンをウルトライダーシャドーに

バイクで体当たりされた挙句ベコベコに壊されたとか?」


「そうですよ。そっちの方がしんどいですわー。保険で賄えると言ってもねー。

 これで等級がダメな方になって支払いが増えるんでしょ?」

事務所の幹部さんは吸いかけの煙草を灰皿に押し付けてデカい溜め息を吐く。

怪人代理店の負担は増す一方なのが実情だ。

こういった小さい部署が粘れないで居ると本隊に締め付けが掛かる。

サービス。サービスで行きましょう。世の中助け合いです。

ヒーローと違って悪の組織には不敵な笑顔が必要なのです。


「それはヒーロー損害割引が発生するので等級は良い方に変わって

お納めになる額が半分になるのでご心配なく」


「あ、それなら良かった!!だったらあの毒液怪人へドランテの傷害保険の方も・・・見積り頼もうかな?」


「左様でございますか?まぁ、再生リサイクルなされた回数が多いですが

こちらは本社の方で検討させていただきますので・・・」


「助かった!これで今月どうにか凌げますわ!」


一度客先のドアに足を突っ込んだら千切られても離さない。それが

怪人共済の血の掟である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る