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「Heart《ハート》ですかね。やっぱり」
「俺達の曲かぁ~、いいぜぇ。湊は伊吹のパートでいいか」
「はい」
Heartとは兄さんと潤さん達、バンドメンバーで作ったオリジナル曲だ。しかも始めてみんなで作った曲で、初めて俺がこの曲を聴いたときの感覚が今でも覚えている。あの時のことは忘れないくらいのインパクトがあった。
「じゃあ、やるかぁ。凪沙ちゃん、1、2、3、はいって言ってくれる?」
「分かりました。じゃあ、1、2、3、はい!」
~♪♪♪♪~
凪沙の合図で演奏が始まった。
最初ので出しは良かった。けど。
「あっ!」
サビに入った瞬間に間違えた。すぐに潤さんに誤った。
「すみません、潤さん」
「気にしない、気にしない。最初ので出しは良かったぞ。サビに入った瞬間にテンポが早くなるからしょうがない。そこは練習していけば大丈夫だ」
「はい」
「家でも練習していたんだろう?」
「はい。してました」
「その調子でやっていけば大丈夫だと思うけどなぁ」
「そうですか?」
「まぁ、今日はこれくらいしか出来なかったけど、明日からは時間内にいっぱいやれるさ」
「はい。お願いします」
「じゃあ、片付けるかぁ~」
丁度、時間が来たみたいで潤さんと俺は片付けにはいる。片付けが終わるとスタジオをあとにカウンターのところに戻ってきた。
「あっ、お疲れ様で~す」
「小林も急の変更ありがとうなぁ」
「いいえ~。湊君もお疲れ様」
「お疲れ様です。小林さん」
「湊君の腕前はどうなんです、オーナー」
「上手いぞ。あとで聴かせてもらえ」
「了解ッス。というわけで後で聴かせてほしいなぁ~」
「昔の感覚が戻ったときにでも」
「楽しみだなぁ~。じゃあ、予約していくでしょう、湊君」
「はい。お願いします」
「明日は四時半から六時半なら空いているよ」
「じゃあ、五時からの三十分でお願いします」
「学校が終わったらそのまま来るのか?」
「一度、帰ってからにします」
「分かった」
「予約完了」
「ありがとうございます、小林さん」
ここのスタジオは予約完全制。時間も最低一時間と決まっている。ここを多くの人が使えるようにとなっている。だからありがたい。
とりあえず、明日の予約もしたし、今日は満足だった。
「気を付けて帰れよ二人とも」
「「はい」」
「じゃあ、明日もよろしくお願いします」
俺は潤さんと小林さんに挨拶をして凪沙と一緒に外に出た。
「悪かったな、凪沙」
「ううん、全然。湊、ギター上手いね。始めて聴かせてもらったかも」
「そうかもなぁ~。凪沙が始めてかもな。兄さんや潤さんとかは知っているし」
「そっか、私が始めてかぁ~。また、聴かせてね」
「上手くなったらなぁ」
「うん!」
「じゃあ、帰る前にファミレスに寄って帰るかぁ。凪沙に付き合わせてしまったし」
「別にいいのに」
「いいから寄って帰ろうぜ」
「分かった。ありがとう、湊」
このあとは、凪沙とファミレスに行き、デザートとドリンクを頼んでは明日からの高校生活が楽しみなど話し込んで二人で家に帰った。
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