8
潤さんに言われて凪沙がアコギとエレキを見比べている。
「共通点、共通点……分からないです」
「湊」
「はい。それは弦が六本あるのが共通点」
「そうなの! えーと、1、2、3……」
凪沙が弦を数え始めた。可愛らしい。
「湊の言う通り、六本ある~」
「六本あるだろう。けど、弦の固さが違うんだ」
「そうなの? 触ってもいいですか?」
「いいよ」
潤さんにOKをもらって凪沙がアコギとエレキの弦を触って『本当に違う』と言いながら驚いている。
「アコギの弦は硬いんですね。エレキはアコギより弦が柔らかい」
「そうなんだよ、凪沙ちゃん。指を押さえるのは同じなんだけど、弦の硬さが違うんだ。面白いもんだ」
「なるほど~」
今までのお
アコギは弦が六本で軽い。でも弦は硬い。なのでずっと練習したり弾いていると指が痛くなる。
そしてエレキは電気で音が出る。電気がないと音は小さい。そして重い。けど、弦はアコギより柔らかく指もアコギより痛くなりにくい。
アコギはアコギの。エレキはエレキの良さがある。
「凪沙ちゃんにアコギとエレキの違いを説明したから今度は湊の番だな。早速、やるか」
「はい。お願いします」
今度は俺の番。チューニングはさっきやったので音は合っている。
「いきなりより少し指の運動をやるか。凪沙ちゃん、そこにある本でギター本と書いてあるやつどれでもいいから、一冊取ってくれるかな?」
「はい。どれでもいいんですよね?」
「いいよ~」
「じゃあ、これでいいかな」
凪沙が一冊の本を持ってきて潤さんに渡した。
「初級者向けの本だがこれで少し指の運動をしてから次に進むか」
「お願いします」
「じゃあ~これをやるか」
潤さんが適当にページをめくって『これをやるか』と決めた。
やるページはコードがたくさん載っていてダン、アップのマークが載っていた。
コードとはよく音楽の教科書や楽譜でアルファベットを見たことはないだろうか。アルファベットで、C・D・Fとか小さく書いてあるのがコード。ギターで弾いたりする。
ダン、アップはギターを弾くときにピックという小さい三角形、あるいはおにぎりみたいな三角形のを親指と人差し指で挟んでダンが下、アップが上とピックを弦に当てて手首を上下と動かすことを言う。
「じゃあ、CコードとAmコードでダン、アップするか。できたらそのまま次に」
「はい」
俺は潤さんが言った通りにこなしていく。
ここまでは順調にやっている。家でもやっているからあまり不安を感じない。
「問題無さそうだな」
「家でやっているので」
「となると曲になると不安というパターンか?」
「そうですね」
「じゃあ、次は曲でやってみるか。湊、やってみたい曲、あるか?」
「そうですね……」
俺はやりたい曲を考えた。やっぱり俺がやりたい曲はあの曲が真っ先に思い付いた。
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