5

 「お待たせ、凪沙」

 「あっ、お帰り~湊。あれ、湊?」

 「ん?」

 「なんか、顔赤くない?」

 「!」


 凪沙に言われるまで分からなかったがさっき小林さんが言っていた言葉か、まだ頭から抜けていなかった、あるいは凪沙を見て思い出したのかは、分からないが顔が赤かったみたいだ。恥ずかしい。


 「な、何でもない」

 「そ、そう? まぁ、湊がそう言うなら詳しくは聞かないけど」

 「そうして。凪沙、ちょっと二階に行こう」

 「えっ、いいけど?」

 「そんなに長くかからないと思うし」

 「いいよ」

 「サンキュー」


 俺と凪沙はそのまま二階に向かった。お店の中央に二階に行く階段があるからそこを上って二階に行った。

 二階に行くと二階のカウンター席が見えてそこで一人の男性がいるのが見えた。

 そのまま向かった。


 「こんにちは、潤さん」

 「湊。それに凪沙ちゃん? 久しぶりだね」

 「ご無沙汰です。潤さん」

 「見ない間に大きくなったもんだ、二人とも」

 「潤さん。親戚のおじさんみたいなとこを言って……」

 「いいだろう、別に。それにしたってどうしたんだ、二人して? まだ、学校時間だろ? まさか学校サボって、デートか。やるね、湊」

 「小林さんにも似たようなことを言われましたが違います。今日は高校の入学式で早いんです!」

 「そっか~入学式かぁ。制服姿、見たかったなぁ~」

 「あとで見せますから」


 全く、小林さんといい潤さんといい、すぐちょっかいを出してくる。大人の余裕なのか。全く。小林さんは凪沙を見たのははじめてだと思うけど、潤さん違うのに……。


 「それで今日はどうした、湊?」

 「潤さんにお願いがあって……」

 「お願い?」 

 「はい。潤さん。ギターを教えてもらえませんか?」

「俺に!」

 「はい」

 「いいけど。もう、乗り越えたんだなぁ、湊」

 「はい。今度は自分から仲間を集めてバンドをやりたい。兄さん達のように上手くなって同じ景色を見たいと思う。兄さんとの夢とは違う形にはなると思うけど、兄さんが言っていたことを確かめたい。見てみたいと思うんだ」

 「分かった。いいぜぇ、湊。教えるよ」

 「ありがとうございます、潤さん!」

 「いつからやる?」

 「明日からでもいいですか?」

 「かまわないけど、今日はいいのか?」

 「今日は凪沙がいるので。それに楽器持ってきていないから」

 「分かった。じゃあ、明日の予約だなぁ。ちょっと待ってなぁ」

 

 潤さんにお願いして明日からのギターのレッスンをお願いした。

 全く弾けないわけではないが兄さんがいた頃と比べると少しレベルが落ちたかなと俺自身が思っていて、兄さんと友達でここのオーナーである潤さんにお願いすることにした。


 


 

  

 

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