2

 俺と凪沙はファミレスから家に向かってあるいていた。家に向かっている間しばしば無言が……。


 「ねぇ、湊。ちょっと聞いてもいい?」

 「いいけど?」

 「このあとどこかに行こうと思っていたの?」

 「何で?」

 「湊も分かるでしょう、うちのお母さんの読み。わりと当たっているし、なんかそんな気がして」

 「確かに」

 「もし、それが本当なら悪いことをしたかなって……」

 

 最後の言葉あたりから凪沙の声が小さくなったのを感じた俺はチラリと凪沙を見てみると落ち込んでいる凪沙の様子が分かった。

 凪沙に気づかれないようにこっそりとため息をした俺。

 

 (凪沙の困った顔に弱いんだよなぁ~俺)


 小さい頃から付き合いが長い俺と凪沙。だから何となくお互いにここが弱いと思うところがある。俺の場合は凪沙の困った顔。言葉で言うのもなんだけど可愛いというか、上手く伝えられない。

 逆に凪沙はどう思っているかは知らない。

 とりあえず、凪沙に話すか。俺が行こうとしていた所を。


 「兄さんのお墓だよ」

 「えっ」

 「兄さんのお墓。今日、仏壇のところで軽く話しはしたけど、制服姿を見せようかなって」

 「……私も行っていい?」

 「いいけど。凪沙はこのあと友達と遊ぶ予定とかないのか?」

 「今日はないかな」

 「そうか。じゃあ、一緒に行くか?」

 「うん、行く」

 「分かった」


 これから行こうといていた所に凪沙も一緒に行くことになった。

 俺がこれから行こうとしていた所は兄さんのお墓だった。

 




 「兄さん、来たよ」

 「こんにちは、伊吹いぶきさん」


 歩いて兄さんのお墓に来た俺と凪沙はお墓に挨拶をした。

 

 「朝も言ったけど今日から高校生になったよ兄さん。俺と凪沙は」

 「制服姿はどうですか、伊吹さん。湊と私、似合っていますか?」

 「あれから二年半もたつんだね、兄さん……」


 自分の言葉にあの時の事を思い出した。




 「兄さん。演奏すごかったよ。かっこ良かった!」

 「だろう!」

 「兄さん、ギターって難しい?」

 「始めは難しいかもしれないけど、練習していろんな曲やアレンジができたら楽しいぞ」

 「そっか~」

 「……湊もやりたいのか?」

 「何で分かったの兄さん?」

 「俺に意見を聞くと言うことは湊自信が興味を持ったときだけだからなぁ~当たりだろう」

 「うん。僕もギターやってみたい。それで上手くなったら兄さんと一緒に演奏したい!」

 「おっ、いいんじゃあねぇ~それ。よし、俺がギター教えてやるから最終目的は俺と一緒に演奏。それが出来たら俺の仲間と一緒に演奏! これでどうだ!」

 「……ハードル高くない兄さん」

 「そうか?」

 「そうだよ。兄さん上手すぎるじゃん」

 「それは、たくさん練習したからな」

 「……が、頑張ってみる」

 「よし、楽しみだなぁ~。メンバーにも話してみるか」

 「気が早くない?」

 「いいんだよ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る