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あれから無事に入学式が終わった俺は、母さんの付き添いというか、俺と凪沙を待っている間に親たちで決めたのか、ファミレスでお昼を食べていこうといつのまにか決まり、今、ファミレスにいる。
まぁ、どうせ、母さんがお昼一緒に食べましょうよと話をしたんだろうと思った。母さん、話好きだから。
「そー言えば、湊君は部活にはいるの? それとも入らないでバイトとかするの?」
「部活には入らないと思います」
「あら、そうなの。じゃあ、バイト?」
「バイトはしないです」
「この子は、やりたいものがあるのよ、ねぇ~、湊」
「あら、そうなの」
うわぁ~やっぱり聞かれたよ、このパターン。ファミレスに向かっているときに絶対に聞かれるなぁ~と思ったよ。
うちの母さんが話好きなら凪沙の母さんは知りたがりな人だから、いろいろ質問してくるんだよなぁ~。
そして答えるのが俺より母さんなんだよなぁ~。
「この子、またギターを始めたから今はそれに夢中なのよ」
「あら、素敵じゃあない。頑張ってね、湊君」
「ありがとうございます」
「なーちゃんも何かやってみたら?」
「考え中。部活紹介で面白そうなのがあったからいいけど……」
「凪沙は考え中なんだなぁ」
「うん。湊は部活はやらないのね。一応、軽音部もあったよね」
「あるけど、一度見てから入るか考えるかな」
「そーなんだ」
やっぱり母さんが暴露したよ。ギターはあっているけど、俺はその上を目指したいんだよなぁ~。さらに聞かれる前に退散しょうかな。このあと行きたいところもあるし。
「母さん。先に帰ってもいい?」
「別にいいけど」
「俺は歩いて帰るから母さんはゆっくりしていなよ」
「そう? あんたがそう言うなら」
「じゃあ俺先に帰りますね」
「あら、残念。気を付けてね、湊君」
「はい」
「湊が帰るなら私も先にいい、お母さん?」
「あら、なーちゃんも?」
凪沙の突然帰る宣言。さすがにそこまでは予想していなかったぞ、俺。一人で帰ろうと思っていたし、寄り道しょうとしたのに。
「じゃあ、湊と一緒に帰ったら? どうせ近所なんだし」
「湊君と一緒だったら安心だけど、湊君は大丈夫? どこか寄り道しょうと考えていなかった?」
相変わらず凪沙の母さんは読みが深い。まさにその通りだけど、まぁ、いいか。家に帰ってからでも大丈夫だし。
「いいですよ」
「ありがとう、湊君。湊君の許可が出たからいいわよ、なーちゃん」
「ありがとう、お母さん。それに湊も」
「まぁ、昼間だからなにも起こりはしないと思うけど、凪沙ちゃんは女の子だから何かあったら守ってあげなさいよ、湊」
「分かってる。じゃあ、行こうぜ、凪沙」
「うん」
話し合いが終わって俺と凪沙が先にファミレスをあとにした。お互いに母さんをその場に残して。
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