色

第1話黒よりの灰色

僕はつまらない人間だ

趣味があるわけでもないし

友達がいるわけでもない

仕事には多分燃えてると思う

思うというか

仕事しかしてない

暦通りの休みではないから

休日はいつも一人で

お決まりのお店に顔を出しに行く

人と話すとストレス解消になるというが

まあわからなくもない

同じ業界同士のあるある話を

いつもと同じものを飲みながら話している

でも

いくらその場が楽しくても

終わってしまえば

家に帰れば

彼女がいるわけでも

ペットを飼っているわけでもない

誰も待っていてはくれない

冷たい鉄筋でできた

たった6畳のこの部屋

完全に寝るだけの家だから

起きてる時間のほうが少ない

起きてる時間の長さだけ

寂しさが増してくる

僕の世界には色がない

モノクロで切り取ったみたいに

見ている風景

見ている人

見ている自分に

彩りなんて存在しない

君に会うまでは…