繋がらない愛
ツバサ
第1話
「あのさ」
「ん?」
「あなたって手が綺麗だよね」
「どういうこと?」
あぁ
そういえばそんなこと言われたことあるな
人前にでる仕事なんだから身なりは気にしなさいって
「特に指先が綺麗だよね」
あいつにもそんなこと言われた気がする
なんか女性みたいな手してるねって
「そうかな」
「そうだよ、爪も綺麗だし」
それも言われたな
爪も磨きなさいよって
人って結構いろんなとこ見てるからねって
「ネイルでも通ってるの?」
「いやいや、恥ずかしくて通えないよ」
「えー、じゃあ自分で磨いたりしてるの?」
「いや、してないよ」
「え、してないの」
ごめんね
「いいな〜」
「なにが」
「だって手も大きくて指も細くて指先まで綺麗なんて」
「嫉妬してる?」
「してる、私なんてネイルに通ってもこれだよ」
なんて言って手を出してくる
「綺麗だよ」
「やめてよ、照れるから」
「ほんとだって」
そう言って僕は
彼女の手に触れながら
手の甲に軽く唇を落とした
「わ、ずるい、そうやってさりげなくするの」
ずるいのはそっちだよ
「でもそうやって不意にしてくるとキュンとしちゃうな」
「しないくせに」
僕は彼女の目を見ていうことができなかった
「ほんとだよ」
君の左手には
一人しか許されない証がついているから
繋がらない愛 ツバサ @Controlonme
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