グランプリ運営関係者の声

 マンネリ化の声は結構聞きますね。

 異能が全世界で一定数の人間に発露しだしてからもう30年。当初は研究目的だったデータ収集を公開でやり始めた、っていうのがこのグランプリの前身だったわけなんですけど、もう17回目となると意外にバリエーションも出揃ってきて、ね。

 異能とはいえ、結構、人の想像の範囲内での能力が多くてですね。

 だって、体を火とか水とかに変化させられる、とか、空を飛べる、とか、結構「あ、わかるわかる」って感じあるじゃないですか。

 さすがに手から無限に唐揚げが出せる能力者はちょっとおもしろかったですけどね。


 いや、もちろんグランプリ参加者以外にも世界中に異能者はいますよ。

 研究協力目的なら、ということで申し出てくれる人もいますし。でもわざわざこう、大会に出たいって人は、結構固まってきちゃいますよねー。


 …え?いや、それはないですよ。

 なくなるってことでしょ?この大会が。

 ないない。知らないんですか?結構な利権の塊ですよ。これ。


 体組成変化型は芸能人に転向する人も多いですし、特異能力型は応用次第で軍からの声がかかるとかもありますし。あー、あとは地味ですけど、製薬会社と肉体強化型との癒着とか?

 このへんは有名な話なんで、ご存知かなとも思ったんですけど…。


 まぁ、一種のビジネスモデル博覧会みたいなとこありますよね。

 でもこうしてこのグランプリを続けてることで、発露当初にあった異能者への差別意識とかは薄まってきてるみたいですよ。

 さすがに30年も経てば人の感覚も変わってくるものなんでしょうね。当時は異端者として差別されて、迫害されていた人が、今はこうして「いいもの」として扱われてるわけでしょ?

 そういう面では、この大会も必要な、シンボリックなものとして意味のあるものなのかもしれませんけどね。




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