第八章 歪な空間

私たちは、魔王が待つ城へと入った。

「にしても、なんか不気味だな」健は、辺りを見ながらそう言った。私たちの周りは、暗く、道が安定していなかった。暗いと言っても、何も見えないわけではない、ただ、ふつうに比べたら、暗いということだ。道も、凸凹してたり、高低差が激しかったりしていた。私たちは、苦労しながらも、その道を歩いていた。

――数時間後

「いつまで続くんだよこの道!!」と、健は怒った。それもそうだ。私たちは、意味の分からない道を延々と歩いているのだ。外から見た感じとだいぶ違かった。外から見た城は、大きくはあったが、そこまで長くはなさそうだった。だが、入ってみると、そこは、固有結界だった。自分の身を守るために作られた感じがした。私は疑問に思った。強大な力があるのに、なぜ、固有結界をそこまで強くする必要があるのか、と。

 私たちは、疲れ果ててしまった。こんなにも、疲れることは今までなかったのに。異常を感じ取ったのか?とも考えた。それもそうだろう、無断で魔王の城に入ったのだから。そこで、私たちは、敵の巣窟ながら少し休息をとることにした。

 数分経って、私たちは、動けるようになった。また、しばらく歩いていると、敵が蝟集になってこちらに向かって来るのがわかった。戦闘態勢に入り、私たちは、雑魚レベルといっても良い敵を一掃した。しかし、雑魚レベルと言って、数が少ないわけではなかったので、私たちは、少し苦戦をしてしまった。

「なんだよ、あの数の敵!びっくりしたなぁ。てか、まだ魔王にもたどり着いていないのに、ここまで疲れちゃったら、苦戦するじゃん」と、健は相変わらず文句しか言わなかった。

「仕方ないじゃん。そういう作りなんだから。てか、ぐだぐだ言ってないで早くこっち来てよ。早くしないと、何されるかわかんないし、ここで立ち止まっても危ないだけだよ」と、私は、健に来るように言った。健は、多少納得のいかない顔をして、私のところまできて、私たちは、また移動し始めた。

 道中は、連続で蝟集した敵がこちらに向かってばかりだった。私たちは、それを倒す繰り返しで、多少飽きていた。というのも、これを10回以上やっているからだ。魔王までに、体力が持つ気がしない。そう思った。この歪な空間プラス蝟集した敵で事態がよくなることはなく、苦戦しまくっていた。

 そして、私たちは、意味の分からないところについてしまった。そこは、一本道しかなく、その地面は、血液でできていた。それだけに留まらず、壁は、腕やら足やら、人体のパーツが飾られてあった。そして何より、中央に行くにつれ、血液のにおいがひどい。私たちは、目を細めながら、進んでいた。途中、臭いなどがなくなり、私たちは、目を完全に開くことができた。しかし、そこであるものがあることに気づいた。それは、心臓やら頭部が置いてあったのだ。今までの非じゃないほどで、しかも、それが一番近くまで見える。腕とか足は、まだ遠くにあったからましだったが、心臓やら頭部は真正面、ゼロ距離レベルだった。私は、人生初めての吐き気がした。こんなに残虐非道なことができるのが、理解できなかった。しかも、この先を進むには、それを壊さなければならなかった。私は、ここでも人生初めての罪悪感を感じる。そう、思っていた時、

「うおりゃあああ!!!」と、叫びながら、心臓やら頭部を破壊するものがいた。健が、やったのだ。私は、健が不思議だった。罪悪感とかないのか?と。私が、そう考えていると、

「これを壊さないと先には進めないんだろ。そして、お前は、壊すことに否定的だった。今までだと、ふつうに攻撃してたのによ。罪悪感とか今は考えんな。それよりも、魔王を倒して、世界を平和にすることこそが、破壊した時の罪滅ぼしだろ」と、健は言った。私は、彼の言葉に驚いた。ここまで、成長している人がいるのに、私は何をやっているんだ。そう、自分に言い聞かせ、私は、剣を心臓やらに振るった。

 計10個くらいあった心臓やら頭部を片付けた後、私たちは、道を進んだ。

 そして、禍々しい雰囲気が今までとは格段に違った。多分、ここに魔王がいるのだろう。私たちは、覚悟を決めて、その先を進んだ。

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