第七章 休息
私たちは、魔王に立ち向かうために、旅路を歩んでいた。
「疲れたし休憩しようぜ」と、健が提案してきた。確かに、旅をしている中で、ろくに休息をとった覚えはなかった。そこで、私たちは、近くの宿屋を探した。
数分歩いたころだろうか、宿屋っぽい小屋を見つけた。視界に入った瞬間、健は、真っ先に目的地へと走って直行した。私は、健が何かやらかさないように、あとを追いかけた。今までの自分は、放っておいたはずなのに。それと、自分よりもやばいやつということに気づいたからだ。
宿につくと、そこには、一人のおじいちゃんがいた。周りを見ても、店員らしき人は見当たらないので、多分、この人一人で経営しているのだろう。私は、健を捕まえ、店主に尋ねた。
「ここに泊まりたいんだが、今空いている部屋はあるか?できれば、二人部屋でお願いする」
「は?なんで、お前なんかと一緒に寝ないといけないんだよ!俺は一人で寝れるぞ!あ、さては、お前ひとりで寝れねぇ、痛い!!」私は、すかさず、健を殴った。「そんな偏見はやめろ。さもなくば、魔王の前にお前を消すぞ」と、鋭い目で健を睨んだ。健は怖気づいたのか、身を縮こませて、静かになった。
「すいません、お騒がせして。それで、部屋ってありますかね?」と、再度店主に尋ねた。店主は、驚いたのか、擦れ声で、
「あ、空いておりますよ。え、えっと、部屋番号が――」と、私たちを案内してくれた。私は、健を担ぎながら、店主の後を付いていった。
部屋につくとそこは、いかにも廃墟と言わんばかりの部屋だった。何を隠そう、この部屋、臭いし、汚いし、虫沸いてるしで、休息も何も取れない気がするのだ。
「えぇぇ、俺たちこの部屋で寝るのか!?いやだいやだ、絶対寝れねぇじゃん。なんだよ、あのくそ店主、俺たちに何かうらみでもあんのかよ!」と、健は、文句を言っていた。
「わがまま言うな、外で寝るよりかはましだろ」と、私は言った。今、外は嵐がひどく、外で寝ようにも寝れない状況だった。まだ、雨風が凌げるだけ、私はましだと思う。しかし、健はそうもいかないらしい。確かに、健は、いままで、外で寝てるのと同じような小屋で過ごしていたらしいから、虫とかは仕方なかったらしいが、臭いは、ふつうだったらしい。私も、こんなところでは正直寝たくないが、まぁ、仕方ないだろう。
そして、私たちは、しばらく言い合いをしたが、結局健が折れてくれて、今晩は寝た。
翌日、私たちは、多少疲れが残っているが、元気になり、再び魔王が待つ城へと向かうのであった。
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