第六章 限界突破
そして、私たちは、最後の幹部のところへとついた。
「よくここまでたどり着いたな。その実力は誉めてやろう。だがな、貴様らの命もここまでだ。この俺キングに殺されるからな」と、化け物は言ってきた。私たちは、少し身の毛がよだった。今までの幹部とは違う、オーラの禍々しさが一段と違った。
私たちは、足が暫く竦んでしまった。下手したら、死んでしまう。これは確実にわかる。だが、それでも、やらなければならない。それが私たちの宿命だから。だから、私たちは、キングに立ち向かうことにした。
「どうした?作戦会議でもするのか?俺は一向にかまわんぞ。いい戦いにしたいからな」と、笑いながら言ってきた。確かに、無暗につこっむとやり返されるのは目に見えている。だから、私たちは暫く作戦を立てた。
数分後、私たちは、作戦をある程度決めることができた。そこで、私たちは、再び、キングのほうへ体を向けた。
「なんだ?作戦会議は終わったか?それじゃあ、そろそろ始めるとするか」と、キングは戦闘態勢に入った。それと、同時に、キングは、魔法攻撃をしまくった。そこで気づいた。キングは、MP無制限の魔力を持っている。どれも高火力の炎、氷、雷を主として、攻撃してきた。避けるので精いっぱい。というか、本当に、元人間なのか?今までの幹部4体は至って普通の、というか雑魚レベルだった。それがどうだ、このキングは、元人間に見えない。そこで私は、呑気に、
「お前、元人間か?」と、キングに聞いた。すると、キングは、笑いながら、
「よく私が元人間じゃないって気づいたな。だがな、元を辿れば、俺も元人間なのだ」と、返された。どういうことだ?元人間で元人間ではないとは?私たちは、そんな、今はいらないこと考えてしまった。すると、キングの攻撃が雄にあたってしまった。
「うわぁぁ!」やらかしてしまった。キングの攻撃を避けることは容易かった。だが、容易かったからこそ、油断したのだ。それがこの結果だ。健は、一先ずよけるっことはできたが、さすがに一人で、倒せるほど、キングは甘くなかった。私は、後悔した。悔しくて、悔しくて、自分はこんなにも弱かったんだと気づいた。自分の力に自惚れてたんだ、と。
しばらくして、健もやられてしまった。私は、その光景を目の当たりにしてしまった。魔法で体力を削られ、そして、氷っで体を固める。最後に、心臓を一突きされた光景を。
私は、怒りを募らせた。キングに対するのもそうだが、魔王がこんな世界にしたこと。そして、私自身にもだ。私は、倒れる寸前だった。自分が行動しなければ、この世界が終わり、魔王による支配が悪化する。それは、嫌だ。旅をしていく中で、私は成長した。それは、仲間に出会ってからだ。心身共に成長はしたが、仲間のピンチを目の当たりにすると、成長してないんだ、と思った。
私は、優作の言葉を思い出した。
「お前らは、強い。わしが保証しよう。だが、油断はするな。もしどっちかが倒れた。下手したら、死んだとしよう。それで、お前らは耐えられないだろう。じゃあ、そこでどうするべきか。簡単じゃ、深呼吸しろ。あとは、頭では考えず、体の思うがままに行動させろ」と、優作から教わったのだ。私は、その言葉通りに深呼吸をした。体が軽くなっていく感じがした。そして――
私は、自我を保っていたが、それが、じぶんの体ではないと思ってしまった。軽く、でも、重く。強い強い一撃をキングにぶつけていた。
「な、なんだこの小僧は!?さっきまでとは、格段に違う。何をしたというのだ!」と、キングは慌てて、防御に魔力を使っていた。だが、私の攻撃は、それを容易く壊す。守りや攻撃の隙をも与えず、ただ一心不乱に。
そして、数分が経った頃、キングは死んでいた。私は、自分の力が信じられず、キングが消えていくのを見ることしかできなかった。
「くそぉぉ、お前!いったい何をしたっていうのだ!だがな、これでいい気になるなよ。魔王様が、必ずお前らを殺すだろう。覚悟しておけ!」と、キングは最後に言って、跡形もなく、消えてしまった。
健は、まだ倒れていた。とりあえず、いったん村に行き、治療をすることにした。幸いにも、村は近くにあり私は、健を担いで、急いで、村へと向かった。
私は、あの時の自分がどうやって限界を突破したのかわからず、多分、魔王と戦う時には、その限界を超えることは難しいだろう、と思い、気が滅入りそうになったが、とりあえず、キングを倒したことで、ひと段落つくことができた。
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