第二章 準備

冒険に行く前に、準備は必要だ。素手だけで、魔王に敵うはずない。武器屋を見て、

「一番弱い武器なに?」と、少年はおかしいことを言い始めた。これから、魔王に立ち向かうための準備だというのに、弱い武器をくれと言うのだ。武器屋の店主はびっくりして、

「あんた、これから魔王を倒すんだよな?そのための準備をしてるんだろ?」と、聞いてきた。当たり前だ。魔王はそう簡単には倒せない。

「あ?口答えすんのかよ」と、怒り交じりで答えた。

「貧乏だから高いの買えねぇんだよ。それともあれか?俺に無償で武器をくれるってのか?」と、逆に質問した。そこで、店主は、これからの世界を担っているこの少年を死なせては勿体ないと考え、

「よし、いいだろう、ほしい武器をいくらで無償で提供してやる。だが、これだけは約束しろ。魔王を倒せ」と、言った。少年は笑みを浮かべ、武器を選んだ。

 そして、少年はある程度の武器をもらい、次は、装備屋に行った。装備屋も武器屋と同じことを言って、少年は、装備を整えた。

 魔王を倒すためには、その改造されてしまった人間、もとい化け物を倒す旅に出始めた。道中でも、雑魚キャラがちらほらと現れ、少年は、闘いをしていた。しかし、その少年が倒した方法は、なんと素手なのだ。誰しも、この話を聞いたら驚くだろう。しかし、少年にとって、これは準備運動に過ぎないと言われた。腰を抜かしそうになる発言に、もう誰もついていくことはできなかった。

 そして、しばらく歩いていると、ボス的な雰囲気を醸し出している化け物にあった。名前は、トールワイドというらしい。なんとも意味の分からない名前だ。背が高いのか、横に広いのかわからない。そんな化け物の見た目は、小さく、がりがりだった。少年は笑った。

「はっはっは、こいつ名前詐欺してるだろ。笑わせんな」と、言った。トールワイドは、怒ったらしく、少年に攻撃を仕掛けた。しかし、少年は、そんなトールワイドの攻撃をいとも簡単に避け続けていた。少年はこの闘いを楽しんでいた。ただ純粋に。

 数十分後、少年は飽きたのか、真顔に戻り、トールワイドの腕をつかんでは、投げ飛ばした。トールワイドは驚いたのか、しばらく固まっていた。少年は、ゆっくりと近づき、とどめの一撃として、ナイフで一突きして、化け物を殺した。

 少年は疲れたのか、近くにいた老人を脅し半分で泊まらせるよう言った。老人は、助けてもらったお礼にと、快く家に案内した。

 夜になり、少年は、老人が作った晩御飯を食べ始めていた。少年は驚いた。こんなにも美味しいご飯は食べたことないという。箸が止まらない、そんな少年を見て、老人たちは、涙を流した。少年は、

「何泣いてんだよ。そんなにひもじかったのか?それなら、お前達も食べろ」と、言った。あんなに怖い少年が気遣いをした。老人は、

「いやぁ、孫ができたらこんな感じだったのかねぇと思ってな」と、言ってきた。少年は、うれしかったのか、顔を赤らめた。そして、今日はゆっくりと老人と寝たのであった。

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