愛しの覇王様

京泉

愛しの覇王様

 その日、マリエラ・ガゼットは最高の胸の高鳴りを覚えた。


 目の前にはマリエラが首を限界まで見上げるほど大きく、鎧の様に盛り上がった筋肉を持つ美丈夫が腕を組んでマリエラを見下ろしている。


 そう、彼はこの国の王であり、数々の武勇伝から「覇王」と呼ばれている男だ。


「さあ⋯⋯どこからでも来るが良い。そして⋯⋯我を倒してみよ」


 クイックイッと手招く覇王「ライキング」の小馬鹿にした態度にマリエラはゴクリと喉を鳴らしジリっと両脚にチカラを込めた。


 このまま正面から当たってもライキングのその腕に薙ぎ払われてしまうだろう。なら、上から⋯⋯いや、踏み台が有れば可能だが高さが足りない。

 回り込む、足払い⋯⋯どれも成功する気がしない。


 つっ⋯⋯とマリエラの額から鼻に汗が伝った。


──っ!! これだわっ!。


 マリエラは右脚を軸にして左脚をススっと上げ、伸ばし上げた両腕の手首をクイッと折り曲げた。


「あれはっ! 白鳥の構えだ!」

「なんと美しい」


 観客から上がった声にライキングは満足げに口角を上げる。

 「白鳥の構え」。東の国から伝わるケンポーの型。

 なるほど、小さな身体を大きく見せ相手を威嚇するには最適だ。だが⋯⋯とライキングはマリエラを睨み返した。


「ををっ! あれは!」

「まさにあれは⋯⋯万物の構え!」

「陛下は⋯⋯本気だ」


 ライキングはマリエラと同じに右脚を軸にし、左脚を右膝の位置で上げ折り、右腕は天を指し左腕は地を指した。

 龍が天へと駆ける姿を表すとも言われるその型はライキングが本気である事を示すものだ。


「参ります」


 ライキングが最高の型で迎え撃ってくれる。これほど胸が高鳴る事をマリエラは知らない。やはりライキングは最高の男だ。

 マリエラは重心を深く落とし、全体重をかけて大地を蹴った。


 真正面から向かってくるマリエラにライキングは落胆した。何の捻りもない正面攻撃。体の小さなマリエラなどライキングの左腕を振るだけで薙ぎ払えてしまうのに。

 少しはやるものかと思っていたがこれまでだ。


 ライキングは余裕の笑みを浮かべながらその腕を大きく振り上げ、マリエラを薙ぎ払った。


「陛下、私は読んでおりましたわ」

「むっ!?」


 白鳥の構えを取り、ヒラリと跳ねたマリエラはトンっとライキングの左腕に降り立ち、そのまま前腕、上腕と駆け上がる。

 肩を踏み台にして跳んだマリエラはその背後から回し蹴りをライキングの首へと撃ち込んだ。


「ぐおっあ!」


 思わず首を押さえたライキングにマリエラは回し蹴りの勢いのままその彼の背中に容赦なく二撃目を繰り出した。


 背中に攻撃を受け仰け反ったライキングは振り向きざまにマリエラへ打撃を繰り出す。

 チリっとその拳がマリエラの頬を掠め一筋の赤を作り出した。


「よくぞ躱した」

「心地よい風でしたわ」


 ハンカチで上品に頬を拭きマリエラはカーテシーを披露した。

 観客から歓声と拍手を受けるマリエラの姿はまさにヒロイン。


「まさか腕を駆け上がるとは驚いたぞ」

「先程汗が顔を伝いましたの。それで閃きました。小さな私が陛下の「弱点」に近付くには腕を「伝う」しかないと」

「なるほど、流石マリエラ。我が婚約者⋯⋯」

「いいえ陛下。もう「元」ですわ」

「何っ──! くっ⋯⋯」


 ライキングがガクリと膝を付いた。

 そう、膝を付く。これは勝敗が決したという事。


「二撃目で陛下の秘孔を突かせていただきました。ご安心ください。一時間ほどで身体の自由は元に戻ります」


 マリエラは二撃目、背中にある身体の自由を一時的に奪う秘孔を突いた。どんなに身体を鍛えた人にも秘孔は必ずあり移動させる事は出来ないのだ。


「私は陛下に力では勝てません。しかし、秘孔であれば⋯⋯私の指先一つ、ですの」


 人差し指を立てたマリエラは今までで一番の笑顔を見せた。


 婚約者としてマリエラは身長体重体脂肪、秘孔の位置と効果、それこそ身体の隅から隅、ライキングの全てを熟知している。

 国王を守る。それもまた国王の婚約者となる者の重要な使命だからだ。


「ふっふっふっ、はっはっはっ! マリエラ降参だ。我の負けだ」


 湧き上がる喝采の嵐の中二人は力強く握手を交わす。

 ライキングは寂しげにマリエラは聖母の笑みを湛えて。

 マリエラはライキングに肩を貸して立たせると「さあ、宣言を」と促す。


 ライキングが力強くまだ自由が利く左腕を掲げるとピタリと歓声が止んだ。


「我、ライキングとマリエラの婚約をここに解消する!」


 響くライキングの声に静まり返った観衆は暫くの間を置いて轟く大歓声を上げたのだった。





 マリエラ・ガゼットはマッスルセット王国の男爵家に次女として生まれた。

 幼い頃は身体が弱くいつも一つ上の姉の後ろを付いて回る大人しい子だったのだ。



 十歳になる頃、マリエラは子爵家の嫡子と婚約した。

 仲の良い二人だったがそれを良しとしなかった姉が二人を引き裂いた。


「何で私が男爵家を継がなくちゃならないの!何でマリエラが子爵家に嫁ぐのよ!」


 妹が自分より位の高い家、子爵夫人になる事がズルいと姉は駄々をこねたのだ。

 そして起こされた事件。姉は「マリエラの為に花を摘みに行きたい」と子爵嫡子を呼び出し二人で山へと入り、姉は迷子になったふりをして彼と一夜を共にしてしまった。

 子共だった事、まだ閨の知識がなかった事で何事もなかったが子爵家は「末恐ろしい娘」だと姉を毛嫌い、ガゼット家との婚約を無かったことにしてくれと言ってきた。

 両親もそれは当然だと受け入れ、姉の愚かな行動に激怒し、姉が16才になると同時に修道院へと送る事を断腸の思いで決断したのだ。

 

 マリエラと子爵嫡子は自分達は何も悪いことをしていないのに引き裂かれそれっきりになってしまった。

 辛い思いをさせてしまった子爵嫡子は事件の後新しく婚約を結びそのまま結婚し、幸せになれたと聞いたのはマリエラがライキングの婚約者になってからだった。


 マリエラは婚約が解消されたのは自分が弱かったせい、両親を悲しませたのは自分が頼りなかったせい、子爵嫡子と別れなくてはならなくなったのは彼を守れなかったせいだと思い込んだ。


 そして、どうしてその考えに至ったのか。

 マリエラはその日から体力作りに励み、身体を作る栄養の勉強を始め、必然的に体力作りでは物足りなくなり身体を鍛えるまでになった。



 身体を鍛え始めて五年。マリエラは15才になり、姉が修道院へと送られる年、またもや大問題を姉は持ってきた。

 膨らみ始めたお腹をさすりながら連れて来たのは伯爵家の次男という男。

 次男では爵位が継げない。男爵家に婿に入ってくれるのだと誇らしく宣言する姉にあんぐりと口を開けた両親の表情は今でも忘れる事は出来ない。

 両親が「男爵家を継ぐのはマリエラ」だと何度も姉に説明するが姉は生まれてくる子供は伯爵家の血を持っている、貴族として産んであげられないのを可哀想だと思わないのかとまた駄々をこねた。

 爵位が無くとも貴族は貴族。爵位のあるものだけが貴族ならただの子共である姉も貴族ではないという事になってしまうのに、姉の無知加減にとうとう両親は折れてしまったのだった。


 マリエラには爵位も貴族である事も正直どうでも良い話だった。鍛えられたこの身体。この身があれば何でもできる。


 マリエラは筋肉崇拝者になっていた。


 そして訪れた運命の出会い。


 結局男爵家は姉の旦那になった伯爵次男が継いだ。

 マリエラは部屋と食事は与えられていたが居候だと追いやられ、離れで生活をしていた。

 特に何も変わらず日々は過ぎ、鍛錬を満喫していたマリエラが日課のスクワットをしていたある日、侍女が「国王陛下が凱旋のパレードを行う」と教えてくれたのでマリエラは気分転換にパレードを見に出かけたのだった。


 華々しく通り過ぎるパレード。マリエラはその中で舞い降りた神、ライキングの肉体美に目を奪われた。


 輝く金色の髪は神々しく、振られる上腕二頭筋は力強く、全てを受け止める慈愛の胸筋と大海原のような背中。


 マリエラの理想とする姿がそこにあった。


 その日からマリエラは変わった。

 ライキングを思い出し頬を赤らめながら溜息を吐く回数が増えた。侍女からそれは「恋」だと冷やかされてマリエラは初めて「恋」を知ったのだ。


 素晴らしいライキング。彼はこの国の王様で自分は貴族とは言え下位。妻になど烏滸がましく、マリエラはただ心に思い浮かべるだけで幸せだった。

 

 運命の女神がマリエラに微笑んだのはパレードから暫くしてから。


 日課の鍛錬を行っていたマリエラの元に「陛下のお妃様探し」の知らせが届いた。

 国中の身分、年齢を問わず独身女性全てに知らされたお妃様探し。マリエラは「これだ!」と歓喜した。


 そこでまた変な思い込みをするのがマリエラだ。


 お妃探しとは言え、これは出来レース。身分の高い女性が既に決まっているのだろう。お妃様になれないのは分かっているが、上手く行けばライキングに会えるかも知れない。


 もっと上手くいけば近くで「お守り出来る」かも知れない。


「私がここまで鍛えてきたのはライキング様の為!」


 そしてマリエラは再び変わった。


 女性と男性では筋肉の付き方が違うのだから無闇矢鱈に鍛えてはバランスの悪い筋肉が付き、女性らしさが失われてしまう。淑女らしさを身に付けながら鍛錬しなくてはならない。

 栄養を見直し、鍛錬の方法を変えマリエラは美しくなっていった。


 そうして万全を期して迎えた「お妃様候補試験」。


 一次審査は「淑女」試験。お妃様となるのだからその立ち振る舞いは優雅且つしなやかでなくてはならない。

 残念ながらここで候補者の半分、主に平民が脱落した。

 

 二次審査は「体力」試験。お妃様は忙しい。その激務に耐えられる体力がなければ務まらない。

 ここでさらに半分、主に深窓の令嬢と呼ばれる者が脱落した。


 三次審査は「精神力」試験。お妃様は幾多の悪意に負けない精神力が必要だ。メソメソと泣く事は許されない。

 ここで八分の一まで減らされた。ここで脱落したのは主に身分が高く気の強い令嬢。精神力は強く思えたが何故か誰もが「気心の知れた男性」が側に居たのだ。

 不貞、とは言わないが何となくモヤると試験官達は満場一致で落第印を押した。


 最終審査は「面談」試験。お妃様候補者が漸くライキングと顔合わせをする。


 マリエラは順調に審査を通った。

 一次審査では淑女鍛錬が結果を出した。

 二次審査は言わずもがな。マリエラの基礎体力は若さゆえもあるが底なしだった。

 三次審査も言わずもがな。マリエラの精神力は鋼⋯⋯いやミスリル鉱石をも超えている。

 マリエラに死角はなかった。


 そして⋯⋯最終審査。


 そう、最終審査はライキングとの顔合わせ。それは令嬢からすればとても失礼なものだった。

 一人づつ部屋へと呼ばれ面談をするものだったが入室一番、ライキングは拳を令嬢へと繰り出した。

 勿論本気で殴りかかったわけではない。鼻先で寸止めされた令嬢達は青ざめ、言葉を無くし、へたり込んでいった。


 マリエラも他の令嬢と同じく入室一番にライキングの拳をお見舞いされた。

 が、マリエラはその拳が本気のものではないと察し、左手でその拳を受け止め、右腕をライキングの腕に絡ませると同時にライキングの鼻先に肘鉄を繰り出したのだった。


「我が本気でないと何故分かった」

「陛下の利腕は右。ですが陛下は左腕で打ち込んできました」

「ほう⋯⋯」

「また、私には陛下の拳の動きが見えておりました。陛下は寸止めをなさると分かっておりましたので私も肘鉄を寸止めいたしました」


 マリエラの黒髪は地味であり、細い目は美女とは言えないがこの時ライキングは清々しい笑顔を見せたマリエラに恋をしたという。


「マリエラの笑顔は輝いていた」


 ライキングは今でも顔合わせの話になると頬を緩ませる。


 全ての審査の結果。お妃様にはなれないと思っていたマリエラはライキングの婚約者を勝ち得たのだった。


 その日からマリエラに多忙な日々が始まった。


 姉からは嫉妬を向けられ呪いの手紙が来るようになった。  

 高貴な令嬢達からはお茶会の仲間外れに始まりパーティーでの足掛け、ワイン掛けといじめられた。


 マリエラは呪いの手紙が来るたびにそれを鳥の形に折り、千羽溜まったところで「お姉様の幸せを祈ります」とガゼット男爵家へ贈った。

 令嬢達のいじめに対しては彼女達に追従しない令息令嬢、共にライキングのお妃審査を受けながらも脱落した者達を招待し、互いの努力を労う茶会を大々的に開いた。

 パーティーでは足を掛けたくらいでは鍛えられたマリエラの体幹がぶれる事なく未遂に終わり、令嬢ごときのワイン掛けを避ける事などはマリエラには容易い事だった。


 やがて彼女達はマリエラに何をしても無駄だと悟り大人しくなり、マリエラは最強のお妃様へと邁進して行った。



 ライキングの婚約者となってから3年。マリエラは18才となった。

 

 忙しくも穏やかな日々。マリエラの心に一つの不安が浮かぶようになった。


「今の私ではライキング様をお守りする事が出来ない」


 何がどうしてそう思い込んだのか。マリエラの悪い癖が顔を出したのだ。

 日々の鍛錬は欠かしていない、お妃様教育も順調だ。この調子で精進すれば一年後には合格点をもらえライキングのお妃様になれる。

 だが、何かが足りない。

 何が足りないのか分からないマリエラは段々と塞ぎ込むようになり、とうとうそのモヤモヤをライキングに打ち明けたのだ。


「ライキング様、どうかお許しを」

「ならぬ! 何故だ、我を嫌いになったのか」

「いいえっいいえ! 私がライキング様を嫌うなど生まれ変わってもあり得ません」

「なら、何故だ何故そのような事を言うっ」


 マリエラは言ってしまったのだ。「このままライキング様のお妃様にはなれない」と。


 ライキングは激怒した。何が不服だと問えば何も無いと。ライキングを愛しているとマリエラは答え、それが本心であり真実だと分かっているからこそライキングは理解できなかった。


「どうか、婚約を破棄⋯⋯ください」

「破棄などせぬ! 解消もせぬ! ならぬっならぬぞ!」


 体力が有り余る二人の言い合いは三日三晩続いた。

 三日目の夜。マリエラの意思が固いと認めたライキングが折れた。


「どうしても、と言うのなら、我を倒してから行け⋯⋯」

「ライキング様⋯⋯ありがとうございます。必ず勝ちます」


 この話し合いの三日後、ライキングとマリエラの婚約破棄、もとい、婚約解消の一騎討ちが開かれた。





 手にした荷物はバックパックのみ。

 

「ライキング様⋯⋯」

「マリエラ⋯⋯」


 元婚約者達は別れを惜しんでいた。


「必ず戻ってこいマリエラ」

「はい。必ず⋯⋯強くなって戻ってきます」


 マリエラは一騎討ちでライキングに勝利し、婚約の解消を勝ち得、一年間の修行をライキングに頼み込んだ。

 足りないものが一体何なのかそれを知りたいのだと。

 それを解消しなければライキングを守れないのだと。


「では行ってまいります」

「達者であれ。我はいつまでも待つ」


 マリエラは微笑み、背中を向けると朝霧の中へ消えて行った。



────────────────────



 一年後。


 あの時と同じ朝靄が漂う中、優雅な足取りで城へと向かう姿が確認された。


 ライキングはその姿を早く見たい、早く抱きしめたいと城門へ急ぎ今か今かと待ち構えた。


 朝霧に陽の光が反射する中はっきりとその姿を表したのは最愛のマリエラ。


「マリエラ!」

「ライキング様!」


 二人は駆け寄り抱き合う。何度も互いの身体を確認し合いニッと笑い合った。


「素晴らしい筋肉だマリエラ。しっかりしまっていながら柔らかさを保っている」

「恥ずかしいですわ⋯⋯ライキング様の筋肉もいつにもまして喜んでいます」

「我の筋肉もマリエラを待ち望んでいた」


 マリエラはこの一年各地を回って鍛え上げた。

 時には道場破りをして腕試しを、時には山に籠り悟りの境地を求めた。

 そして漸く、あの時のモヤモヤが何だったのか、足りなかったのは何だったのか理解したのだ。


「して、結論は出たのか」

「はい。あのモヤモヤは⋯⋯マリッジブルーでした」

「何と! マリッジブルーだったのか」

「はい。そして⋯⋯足りなかったもの⋯⋯それは」

「それは?」


 ライキングの真剣な瞳にマリエラは微笑んだ。


「自信です。私はライキング様を守れるだけの自信が欲しかったのです」


 なんと健気だとライキングは再びマリエラを強く抱きしめた。


「自信が付いた⋯⋯と、いう事だな」

「はい」

「そうか⋯⋯マリエラ、我への気持ちは変わらぬか」

「はい」

「では、マリエラ、我と結婚して欲しい」

「はい」


 マリエラが帰還したと言う話は城を駆け巡り城下を駆け国全体に広がった。

 婚約を解消したと言ってもライキングのお妃様にはマリエラしかいないと誰もが思っていたのだ。

 この一年、人々はマリエラの帰還を待ち望んでいた。

 だからこそ、マリエラの帰還次第直ぐに式を上げられるよう準備は万端だった。


 マリエラは帰還してすぐにライキングと婚約を結び、一週間の短い婚約期間を経て国を上げて盛大な式が挙げられた。


「ライキング様、旅の途中で強さを測れる方にお会いしましたの」

「ほう⋯⋯それでマリエラの強さはなんと?」

「私の強さは⋯⋯五十三万。ですって。これならライキング様をお守りできますわ」

「なんと! 心強い」


 多くの国民に祝福されバルコニーから手を振るマリエラとライキング。

 その姿はとても似合いで幸せに満ち溢れていた。

 



 こうして派手な婚約解消劇を繰り広げた「覇王」と「最強のお妃様」は漸く結ばれ、互いを高め合い続けながら末長く幸せだったと王国記に残されている。

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