高齢者サマ優先
大館のらねこ
高齢者サマ優先
景色が左から右へと流れる。
鉛色の空が広がり、パラパラと雨が窓を叩きつける。僕は外を見ていた。僕は今、バスに乗っている。精神科病院の帰りだ。
その時。
エヘンという咳払いが聞こえた。
僕はふと横を見ると、胡麻しお頭の男性が立っていた。僕は気にする事なくまた外の景色を眺めている。
また再び咳払いが聞こえた。
すると、その胡麻しお頭の男性の右隣りにいた男性が
「高齢者には席を譲りなさい。きみはまだ若いんだから立ちなさい」と言ってきた。
しかし、僕はてんかんで障がい者だ。その証拠にヘルプマークをつけている。
「ヘルプマークを知っていますか?」
僕は咄嗟に言った。
「そんなの知らないよ。とにかく席を譲りなさい」
と胡麻しお頭の男性の右隣の人。
「僕はてんかん、障がい者です。発作が起きると倒れてしまうんです」
しかし、右隣の男性は首を左右に振る。
「障がい者って見た目健康そのものじゃないか」
「てんかん発作はいつ起きるかわからないんです」
すると、バスがバス停でも無いところで停まった。そして、ほぼ高齢者と思われるバスの運転手が僕を見てきた。
「若いんだから障害なんかどうにかなるだろ。高齢者に席を譲りなさいって聞いたことあるだろ? それができないならここで降りてもらうよ」
僕はしぶしぶ胡麻しお頭の男性に席を譲った。
ヘルプマークが虚しく揺れている。
コロナワクチンも高齢者優先ですよね。
地元は障がい者福祉をガン無視で高齢者福祉にばかり力を入れています。
そんな地元を小説にしてみました。
高齢者サマ優先 大館のらねこ @series_e217
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。高齢者サマ優先の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます