今日は最高だった?(高校生)

 B子の家に泊まることになったA子。

 時刻は十一時。

 B子の部屋で同じベッドに入って天井を見つめる二人。


 A子「あ、おやすみって言ったっけ」

 B子「言わなくても寝る」

 A子「えー、夜更かししようよー」

 B子「それなら一人でしたらいいと思うんだけど」

 A子「一人じゃしりとりもできない」

 B子「できるでしょ」

 A子「だってさ、それじゃあぜったいいつか負けるよね」

 B子「……? それさ、同時に勝つんじゃない?」

 A子「でも負けるじゃん」

 B子「うーん、そうだね」

 A子「じゃあしりとりしよ」

 B子「やだ寝る」


 *


 A子「B子ってばー」

 B子「起きてるよ。なに」

 A子「塩おいしかった?」

 B子「……あぁ、A子のお土産ね。まだ食べてないよ」

 A子「えっ、晩御飯に使ってなかったの?」

 B子「だって岩塩じゃん。お母さんなんかA子からもらったって喜んで、リビングの棚の上に飾ってるんだからね」

 A子「まじか」

 B子「まじだよ。さながら宝石だよ」


 *


 A子「ねえB子ってばー」

 B子「…………」

 A子「えっ」

 B子「いや起きてる。眠りかけた」

 A子「今夜は寝かさないよ」

 B子「いや眠らせてよ……で?」

 A子「今日はどうだった?」

 B子「うーん……まあまあかな」

 A子「最悪ではないということだ」

 B子「うん。思い出したんだけど、この前の小テストたぶんミスった問題あったなーとか、返されたらそれが現実になるなーとか、さ。そういう微妙な後悔みたいな、これからやってくる現実、みたいなものを考えたりしたりする」

 A子「まじめだね」

 B子「こり性とも言える」

 A子「私は最高だったな」

 B子「そんないいことあったっけ」

 A子「まだ一緒に行ってない店とか場所とか、やってない遊びとか、これからできることが山ほどあって、もうできる限り早くそれをやってかないといけないでしょ。だからもうそれ以外はどうでもいいって気持ち」

 B子「テストは」

 A子「たぶんダイジョーブ」

 B子「ホントか」

 A子「どうでもいいものってホントにどうでもいいと、そのために時間取られるのが嫌になって割と頑張れるんだよ」

 B子「ふーん。寝るね」

 A子「い、や、だ……!」と掛け布団をバサッと二人の上に頭から被せる。


 ――布団の中――


 B子「――ちょっ! ドコくすぐってんの!」

 A子「観測できないものは存在しないも同義! つまりこれは全年齢向けだ!」

 B子「バッ、バカ野郎ッ! 普通に寝かせろ!」

 A子「最高って言わせるまでやめない」


 そのあと布団の中でいろいろあったけど、それは外から見えないので、わからないし、全年齢向けと言っても過言ではないのであった。

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