ふたりのねつりょう(社会人)

 会社が休みの日の夕食。テーブルを挟んで席に着いたA子とB子は、卓上に並んだいろいろな料理に期待を膨らませていた。テーブルには二人分のドライカレー、カツレツ、サラダの皿がそろえられている。


 A子「えー、ではあらためまして」と咳払いをして、「本日おかず担当ということで、チキンチーズカツレツと、トマトときゅうりと大葉のサラダをつくりました。ポイントはカツレツがチキンなので脂質がおさえめ、そしてサラダがさっぱりしているのでカツレツの脂っこさを跡形もなく消し去ることができます」


 B子も同じように咳払いをして、「本日主食担当ということで、夏野菜たっぷりのゴロゴロドッカンドライカレーをつくりました。ポイントは素材の味を楽しみやすいように野菜は大きくカットして、ルーのないドライカレーにしたところです。食欲そそるカレーの風味で旬の野菜をたくさん食べられます」


 A子「それでは」

 二人とも手を合わせ「いただきます」と、にこやかに目を合わせる。それから互いに互いが作った料理から手を伸ばし、口へ運んだとたんに笑みをこぼす。期待に膨らんでいた胸が期待以上のよろこびで溢れていった。


 あっという間に残らず食べて、最後に残ったのは満たされた心と空になったお皿。

 食後に冷たい麦茶を飲んでいた二人は、胸の奥がぽかぽかと温かいのを感じながらのんびりとくつろぐのであった。

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