かわらないけれど(社会人)
会社の昼休み。食堂で机を挟んで昼食をとるA子とB子。
B子は定食の白身魚の西京焼きを箸で一口食べてから、「あっ」となにかを思い出したように口を開く。
それから向かいでカツ丼のカツを食べているA子へニコリと微笑んで、
B子「ねえ、私って何歳だと思う?」
A子「……?」
顔を上げて首を傾げる。
A子「同じだよね、私と」不思議そうに答える。
B子「えー、もっとなにか言ってー」と不満そうな表情を浮かべる。
A子(あ、これは年齢を低めに言っておくのが正解だったのかもしれない。同い年だしこういうのやったことなかったからやりたかったのかな)
と考えたA子は、ポンっと手を打って、
A子「いや、もしかしたら十七歳に見えるかも」と言ってみる。
B子「えっ!? 私そんな子供っぽく見えるの」
A子「難しいんだね」と困ったように笑う。それから続けて、「十七のときのB子はそんなに子供っぽく見えなかったよ。そのときは考えたことなかったけど」
B子「ふーんだ。もういいもーん。どうせ同い年だもーん」と定食をつつく。
A子は「へその曲げかたが昔から子供っぽいのは言わないでおこう」と密かに思いながらカツ丼を食べ進める。
が、そんな二人は黙々と昼食をとりながらも、高校の頃のことを思い出していた。手を繋いで帰ったり、机を挟んでお弁当を食べたり、一緒に笑ったり……
ふいにA子は口を開く。
A子「まぁ、これだけ一緒にいればちょっとくらいはズレてもおかしくないよね。年齢くらい」
B子「……?」顔を上げてA子へ視線を送る。
A子「昔から変わらないなって思うことが増えるからさ。変わったような、変わってないような、不思議な感じがする」
B子「たしかに。A子はそういうところA子って感じがする」
A子「それって良い意味?」
B子「ふふーん、秘密ー」
そうして小さく笑ったり、休日の予定をおしゃべりしたり、変わらない昼食を共にした二人であった。
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