かんがAる子(高校生)

 夕暮れどき、高校から帰るA子とB子。

 並んで歩いていたがB子が隣を見るとA子がいない。振り返ってみると、少し後ろでA子が立ち止まっていた。


 B子「ってA子、顔!」

 A子「…………」

 無言のA子の鼻にはチョウのような虫が羽を広げてとまっていた。


 噴き出すB子。

 B子「ちょっ、ど、どうしたのA子……プフッ」

 こらえきれず笑ってしまう。


 虫がついたままA子はこたえる。

 A子「うん……。なんかね。虫が飛んでくるなーって思って見てて、それでチョウなのか、ガなのかどっちだろうなーって考えてたら、くっついた」

 あまりにのんびりしたこたえにB子はさらに噴き出す。

 B子「プッ、そ、そうなんだ。それでどっちだったの」

 A子「わかんない」

 B子「――もうだめッ」

 我慢の限界をむかえたB子は腹をかかえて笑った。


 しばらくして落ち着いたB子はまだときどき噴き出しながら、A子の顔についた虫を手で追い払った。


 B子「はい。もう帰ろ」

 飛んでく虫を目で追うA子。

 A子「……チョウっぽいな」

 B子「プッ――まだ考えてたんだ。ほら歩くよ」

 A子「うん」


 ときどきB子は思い出し笑いをしながら、並んで帰った。

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