第65話 ③ 癒しの天使様は服のサイズを間違えてお困りです
久しぶりに訪れた『鈴のカフェ』は相変わらず常連さん達で賑やかだった。
「相変わらず繁盛してるね」
「みたいですね」
俺たちは空いている席に座った。
「あら!二人とも久しぶりね!」
メニュー表を持ってきた凛さんが俺たちの顔を見て言った。
「お久しぶりです」
「元気だった?」
「おかげさまで。元気でしたよ」
「それならよかったわ! ごめんね。見ての通り忙しいからまた後でね」
他のお客さんに呼ばれて凛さんはそっちに向かっていった。
「文秋君・・・・・・」
「うん。行ってきていいよ。俺は一人で勉強しておくから」
「ごめんなさい」
「いいよ」
天谷さんは申し訳なさそうな顔で席から離れ、凛さんの手伝いに向かっていった。
「さて、一人で勉強しますか」
俺はカバンから勉強道具を取り出して明日の試験のための勉強を開始した。
一人黙々と勉強をしていたら天谷さんがホットココアを持ってきてくれた。
「文秋君。ホットココアです」
「ありがと。さすが、分かってるね」
「本当にごめんなさい。せっかく、一緒に勉強する約束をしたのに・・・・・・」
「大丈夫だって、こうやって紫穂さんのホットココアが飲めたわけだし」
そう言って、俺はホットココアを一口飲んだ。
やっぱり、美味しい。
「紫穂さんはお店の手伝いしてあげて。ちょうど、今忙しい時間帯だってのは分かってるから」
「ちゃんと休憩時間には一緒に勉強しますから」
「うん。ありがと」
お客さんに呼ばれ天谷さんは後ろ足引かれながらも俺の席から離れていった。
天谷さんの常連さん人気は相変わらず凄かった。
本当に、天谷さんってそのばにいるだけで人を笑顔にするよな。
天谷さんと喋っている人、天谷さんのことを遠目から眺めている人たちを見て俺はそんなことを思った。
「そんな俺も癒されてるんだけどな」
ついつい天谷さんに行きがちな視線を何とか教材に戻し、俺は勉強を再開した。
☆☆☆
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