第64話 ②癒しの天使様は服のサイズを間違えてお困りです

 天谷さんを見送って学校に向かう。

 途中で久しぶりに見る後ろ姿があった。

 本来なら、話しかけたりしないのだが、何故だかたまには自分から話しかけてもいいかもしれないと思った。


「鳴瀧。おはよ」

「おー。唯川じゃねぇか!久しぶりだな!元気だったか?」

「まぁな」

「てか、珍しいな唯川の方から話しかけてくるなんて」

「たまには、いいだろう」

「なんだ?いいことでもあったのか?」

「いいことか・・・・・・まぁ、そんなところだ」

「そうか」


 鳴瀧はニカッと笑っただけで特に追及してくることもなかった。


「せっかくだし、一緒に学校に行くか」

「一緒に行くも何も同じ方角だろ」

「それもそうだな!」


 久しぶりに会っても相変わらずだな、と俺は苦笑いを浮かべ鳴瀧と一緒に学校を目指した。

 学校に到着して、教室に入っても鳴瀧と話を続けていた。


「そういえば、明日はテストがあるな」

「そうだな。鳴瀧って頭いいんだっけ?」

「まぁ、上から数えた方が早いな」

「それは、頭いいな。羨ましい限りだよ」

「なんだ、唯川は勉強が苦手なのか?」

「まぁな、あまり得意ではないな」

「俺が教えてやろうか?」

「いや、それはいい。ちゃんと優秀な先生がいるから」


 俺は天谷さんのことを思い浮かべていた。

 天谷さんは頭もいいし、教え方も上手い。前回教えてもらった時も数十点も点数が伸びた。

 

「そうか。それなら、安心だな」

  

 そう言い残すと鳴瀧は席から離れていった。

 放課後に天谷さんに勉強を教えてもらうことになっているが、勉強をするに越したことはない。

 俺は机の中から勉強道具を取り出して、明日の試験範囲のところの勉強をすることにした。

 それからは特にいつも通りの学校生活を送り、始業式を終え、放課後となった。

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