第28話 と言う事で、同種族ライバルの来場です。
朝起きて、眠い目を擦りながらアクビをキメる。その状態で顔を洗い、いつもの服に着替える。その後は朝食を食べ、洗い物に洗濯。それが俺のルーティンだ。それが終われば、まぁ仲間と話したり自己強化に努めたり、色々と自由に過ごす。
今日は男メンバーが狩りに出掛け、数人の女メンバーが野菜を栽培、回収しに行く日だ。
…待て待て、俺は何もしてない訳じゃないぞ?ちゃんとこの町と城を守る地獄の門番って言う仕事を持ってる。と言っても、その門番がボスになるんだけどさ。
ん~…どうしよ。またイメージトレーニングしてクソ強くなるってのもアリだよな。
足を組ながら肘を着いて玉座に座っていると、町の方からミーニャが袋を持って歩いてきた。
…何で袋なんか持ってんの?
俺の存在に気付いたミーニャが駆け足で手を振りながら声を掛けてくれた。可愛いやつめ…。
ここに辿り着いたミーニャに「袋なんか持ってどうした?」と質問すると、無邪気さ溢れる愛おしい笑顔で返答してくれた。
ミーニャ「リミナとメイとミーニャの三人で草むしりとかゴミ収拾してたの!」
何てありがたいんだ。感動と感謝の想いが心の底から込み上げてきた。開始してからしばらく経ってるとの事だったから、椅子を用意して休憩しようと提案すると「ありがとう!」と言って俺の隣に座った。
少しの間話をしていると、森の方から誰かが来るのが解った。
…どっかで見たな…このパターン。昨日と全く同じだ…。って事はお客様のお出ましか。そう思いながら足を組んで座っていると、俺とミーニャの前に一人の女の子がやってきた。
髪はクリーム色のセミロング。艶やかで指通りの良さそうな毛髪からは犬耳が出ている。あの垂れ方は、たぶんダックスフンドとかそっち系のワンちゃんだな。容姿はミーニャよりも少し大人っぽく、一番近しい人物を上げるとしたらリミナだな。顔立ちは綺麗でスーパー美少女って感じ。スタイルも良く、胸はデカくはないがスラリと細身でモデルみたいな体型をしている。服装はノースリーブのセーターに黒のスカートと言う至ってシンプルなもの。犬の尻尾が付いており上下に振っていた。
たぶんまともな奴じゃねぇだろうな。玉座にすわったままボケェ~っと見ていると、ミーニャが椅子を立ち上がり何か焦っている様な表情で指を指しながら叫んだ。
ミーニャ「あぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
何?そんなにヤバい奴なの?
《能力透視》でステータスを覗いた。
【カノレーナ】Lv.61 HP75/100 (異国の民)(獣人族)
《火魔力:59(上限106)》《水魔力:32(上限80)》
《風魔力:23(上限60)》《光魔力:31(上限82)》
《闇魔力:15(上限25)》
《未解放特殊潜在能力:無し》
《魅惑》《誘惑》《色気》《癒し》《剥奪》
《高嗅覚》《高聴覚》
カノレーナ?見た感じミーニャよりも少しステータスが上ってだけだけど…潜在能力がちょっと気になるな…。厄介な奴じゃなけりゃいいが…厄介なのがこの物語か。
ミーニャは毛を逆立て体をくの字にひん曲げた猫の様に「うにゃ~!」と威嚇する。それを見たカノレーナがクスクスと嘲笑うかの如く話し掛ける。
カノレーナ「久しぶりねぇミーニャ…!!相変わらず子供みたいな容姿ね…!!」
ミーニャが悔しげな顔で睨み付ける。
…いやいや、こんな乳がデカい子供がいたらビビるって。
おっと、そんな事よりもコイツを何とかしないとな。と言っても、ちょいと面白そうだから少し眺めるか。
カノレーナは変わらぬ表情で更に話を続ける。
カノレーナ「魔王になんか尻尾を振って、情けないわねぇ!!」
めちゃくちゃ煽り散らすじゃん。俺は座ったまま冷静な態度でミーニャに質問する。ミーニャは威嚇したまま対応した。
千智「なぁ、アイツ何者?」
ミーニャ「ミーニャと同じ獣人族…。容姿と潜在能力で男を手に掛けては遊んでる…!!」
なるほどね、このメス犬…最低な奴だな。その為の潜在能力だったのか。用途は違うけど、同じ潜在能力持ってるから何か色んな人に申し訳なくなってきた。
何とも言えない感情で玉座に腰を掛けていると、カノレーナがモデルの様な歩き方で微笑み、近付きながら髪をサラリと手で払って威嚇するミーニャにまた話し出す。
カノレーナ「ゼータからこの魔王に好意が移ったんだろうけど、あの時みたいにまた剥奪してやるわ…!!」
あの時みたいに…?ゼータがコイツに剥奪された事があったのか。…ってか、ゼータもゼータだな。正統派主人公のくせして尻軽が過ぎるだろ。ま、しゃあねぇか。
俺の隣でミーニャが戦闘体制に入った。そんなミーニャに「まぁ落ち着け。手を出すよりも面白いもん見せてやる。」と言って一旦落ち着かせた。
カノレーナは勝利を確信した様な目で俺の膝に横向きで座り、細くしなやかな手を首に回す形で俺に密着して目を見つめ、口を少しアヒル口にしてダミ声で話し出した。
カノレーナ「ねぇねぇ…こんな子供みたいな女より、カノレーナと大人の関係を築こぉ?カノレーナね、魔王様の…貴方の事が大好きなの…。」
そう言いながら身を捩らせ俺の至る所をモゾモゾしてくる。ミーニャは絶望を覚えた顔で俺を見ていた。一般人なら落ちるだろうな。でもなメス犬よ、現実は甘くねぇぞ。そしてミーニャ、今から面白いもん見せてやるよ。
俺は優しく柔らかな笑顔を作って立ち上がり、膝に乗っていたカノレーナをお姫様抱っこの要領で持ち上げる。ミーニャは半泣きで膝から崩れ落ち掛けていた。カノレーナはあざとい表情で俺を見てくるが、その瞳の奥には確実に汚れた色が見える。
さぁ…ショータイムだ…。
次の瞬間、カノレーナを軽く前方の芝生の上に投げた。ドサッ!と音を発てると共にカノレーナの「ぎにゃッ!!」と言う声が響く。何が起こったのか理解できていないのだろう。カノレーナは目を点にして俺を見る。そして玉座に座り、その笑顔のままカノレーナに優しく話す。
千智「良いか~、よく聞けよメス犬がぁ。他の男は運良く堕とせたんだろうが、俺は貴様如きでは堕ちん。運も実力の内と言うが、俺の前では実に無力だ。運とステータスだけで男をモノにしてきたビッチがイイ気になってんじゃねぇ。スタイル抜群高飛車獣人メス犬まな板ビッチは生憎と俺の性癖にはぶっ刺さらねぇからなぁ。黙ってその辺のおっさんにでも尻尾振って発情させて人数と言う骨を咥えて糞して寝てろ。それとな、俺は犬よりも猫派だ。それに伴って巨乳おてんばロリっ娘妹系獣人ヒロインのミーニャの方が圧倒的に性癖にぶっ刺さる。残念だが貴様にはもう勝ち目はないんだこの腐れメスが。」
おっと、少し言い過ぎたな。目の前でカノレーナが座ったまま白目を向き泡を吹いて気を失っている。
ミーニャは泣き喜びして「千智大好き!」と言いながら俺にしがみついている。
さてと…このメス犬をどうするかだ。まぁ仲間にするのは確実だが、記憶を消すか…言いくるめるか…。顎に軽く手を付き悩んでいるとよろめきながら立ち上がりガタガタと腕を上げ、俺を指差しながら苦悶の表情で話し出した。
カノレーナ「はぁ…はぁ…はぁ…!!良いわ…!!見てなさい…いつか必ず貴方を堕としてみせる…!!」
ほぉ?見掛けと性格に寄らず根性はあるみたいだ
な。
…気に入ったぜ…!!
俺はカノレーナに近寄り、倒れそうな体に肩を貸し支えながら笑顔で返事をした。
千智「おう!その時は、お前の勝ちって事にしといてやるよ…!!」
カノレーナ「(トゥクン…)」
ん?今何か聞こえたような…。カノレーナを不思議な目で見てると、ボフンッ!!と音が発つ勢いで頭から煙を出しながら顔を真っ赤にして呂律が回らない状態で「わ、わらひ…ここにしゅむ…!!」と言い出した。
…仲間に出来たのか…?
突っ込み所は多いが、まぁ何はともあれ万事解決か。
仲間が増え色々とおかしくなっている訳であって、秩序が乱れてるイヴェンタだが、一番秩序が乱れてるのは俺達なのかもしれないな…。
そんなこんなでカノレーナを仲間にした俺は玉座に座ってイメージトレーニングをする事にした。
【今日の千智のステータスチェック!!】
【葛城千智】Lv.270 HP36/∞ (異国の民)
《火魔力:580(上限∞)》《水魔力:154(上限∞)》
《風魔力:142(上限∞)》《光魔力:158(上限∞)》
《闇魔力549(上限∞)》《打撃魔力562(上限∞)》
《未解放特殊潜在能力:不明》
《解読能力》《浮遊》《能力透視》《演技》
《侵食》《冷静》《戦略》《超見切り》
《ド根性》《覚悟上等》《ホームラン王》
《起死回生》《漢気》《友好》《護衛》
《死神の加護》《超魅力》《超誘惑》《色気》《NTR》《デンジャラスキッカー》《五感鬼神》
《無邪気》《魂の投手》《アイコンタクト》
《調整》《超記憶抹消》《心の潜入》《疑り》
《判断力》《超妄想癖》《イメージング》
《実現化》《残忍》《無慈悲》《冷酷》
さぁ、そろそろおかしくなってきたぜ…(汗)
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