第18話 と言う事で、俺はnot正統派です。

 カーテンの隙間から朝日が俺の顔を照らし出す。おはよう皆。


 …何で急に飛んだかって?眠すぎたのと、そろそろ読者が飽きると思ってさ。


 とりあえず起き上がり背伸びをしながらアクビをする。すると、隣からアクビと共にミーニャの眠そうな声が聞こえてきた。



ミーニャ「ふぁ~。千智、もう起きたのぉ?」



 待て。そんな目で俺を見るな。何もしてねぇから。


 …事の発端を話す。昨日戦いが終わった後、何だかんだ説明だの今後の予定等だのを話して晩飯食って風呂入ったんだよね。そしたら、ミーニャが俺と一緒に寝るっつって聞かなかったんだよ。何かセイナは納得いってない顔してるし、リーナさんは呆れ顔だし、ゼータは少し寂しそうな顔してたし。んで俺も何のこっちゃ解らずに部屋に戻ったらミーニャが付いてきてさ、「ま、しゃあねぇか」っつって寝た。そんだけ。


 あ、そうだ。俺のステータスを見てくれよ。色々と変わっててさ。少し問題が生じてる。



【葛城千智】Lv.70 HP90/∞ (異国の民)

《火魔力:40(上限∞)》《水魔力:25(上限∞)》

《風魔力:49(上限∞)》《光魔力:18(上限∞)》

《闇魔力:28(上限∞)》《打撃魔力:89(上限∞)》

   《未解放特殊潜在能力:不明》

《解読能力》《浮遊》《能力透視》《演技》

《侵食》《冷静》《戦略》《超見切り》

《ド根性》《覚悟上等》《ホームラン王》

《起死回生》《漢気》《友好》《護衛》

《死神の加護》《魅力》《誘惑》《色気》《NTR》


 …色々と突っ込み所があってどこから言えば良いか解らんけど…、まず潜在能力が増えたのはいいけど、《ホームラン王》《死神の加護》《魅力》《誘惑》《色気》《NTR》って何?《ホームラン王》はあれか、最後にやったあれか。んで《死神の加護》はミリリアの武器の事か。


 問題は残りだ。《魅力》《誘惑》《色気》《NTR》。は?いや、下心はあったよ?けどさ、何これ?《NTR》は不味いだろ。今後の事を考えてもさ。

寝取ったつもりもなければ俺にはそんな性癖は無い。


 …はぁ…(汗)


 いつか、捻れ性癖ゴミクソチート主人公とかって呼ばれる日が来るのかな…(涙)


 …ま、何とかなるでしょ。


 ベッドから立ち上がり、ミーニャを連れて洗面所へ洗顔に行く。



ミーニャ「うにゃ!!」



 冷たい水を顔に浴び、さっきまで眠そうにしていたミーニャが完全に起きた様な素振りを取る。

 やっぱ眠てぇ朝は冷水の力を貰うべきだな。そのまま食卓に向かうと俺とミーニャ以外の面子が揃って皿を並べていた。  


 後頭部を軽く掻きながらポケットに片手を突っ込み挨拶をする。



千智「おはよう…って、皆早いなぁ。」



 そんな俺を見てレイドとゼータが笑いながら返事をする。



レイド「おめぇが遅かっただけだって(笑)」


ゼータ「お!もう元気になったか!!」



 ゼータに親指を立て笑いながらグッドサインを出し、時計を見る。

 …なるほど、いつもより30分ぐらい遅いな。つっても、まぁ30分だけどな!(笑)


 リーナさんを手伝いに行こうと思い食卓の奥にある部屋に向かおうとした時、セイナが俺に話掛けてきた。



セイナ「おはよう千智!もう元気みたいね!」


千智「あぁ!昨日はありがとな!あのヒーリングが無けりゃ死んでたぜ(笑)」


セイナ「とんでもない。私達が悪ったのだから!」



 セイナの視線が俺の右側下に移る。その視線の先ではミーニャがニヤリと笑いながら俺の腕を掴んでいた。その様子を見てセイナは少し頬を膨らまし言った。



セイナ「今日は渡たさないから!」


ミーニャ「へへぇんだ!今日も千智はミーニャのものだもん!」



 何か言い合いが始まった。これって、あれか?ハーレム展開に良くあるモテモテ主人公の取り合いってやつか?

 昨日までゼータにゾッコンだったのに…何だこのビッチ共は…。いや、俺のせいか(汗)


 そんな俺を見ながらレイドは笑いながらゼータに話し掛け、ゼータは少し残念そうな溜め息を混ぜながら返事をする。



レイド「へへっ!!残念だったな(笑)」


ゼータ「正規ルート主人公の座を奪われた気分だ(笑)」



 許してくれゼータ。悪気は無かったんだ。

 気付けば俺はセイナとミーニャの二人から腕の引っ張りあいをされていた。


 …何だろ。何か望んでたのと違う。コレジャナイ感がスゴいんだが…。


 そんなこんなで朝食を食べ終えると、セイナとミーニャがリーナさんを手伝い、俺は洗濯物を干し終え、レイドとゼータの元へと足を運んだ。


 その先ではレイドとゼータが町を作っていた。聞くところによると、ゼータも持っていた《建築》の能力でレイドと一緒に大工仕事もしていたらしい。好都合だな。これはありがたいぜ。


 二人の所へ辿り着いた俺は、ある品を確認しに行く。しかしそれよりも先に町並みが目に入る。


 …すげぇ…!!建物が増え、真ん中に噴水の広場が構築され、広さも昨日より増していた。一見すればもうその辺にある様な異世界シリーズで良く出てくる町と何も変わらない…!!


 見渡しながら呆気を取られている俺を見てレイドとゼータがこちらに来た。



レイド「デカくなったろ?」


千智「あぁ、すげぇ…!!」


ゼータ「俺とレイドさんに掛かればこんなもんよ!」



 とんでもねぇ…さすがは一級建築士と一流手元大工だ…!!



レイド「またゼータと一緒に建築が出来て嬉しいぜ!」


ゼータ「それは俺もですよ!」



 仲良いなぁ!まるで【師弟】って感じだ!

 デカい建築物はレイドが建てて、土地を広げるのと家具やオブジェを作るのがゼータって言う役割らしい。


 …俺の鎌鼬の努力…(汗)


 いやいや、そんな事を気にしてもしょうがない。それよりも、俺の頼んでいた品はどうだろ?元々ここに来た理由はそれの為だったから余計に気になる。


 二人にその品の事を確認する。すると二人は笑顔で目を合わせ、俺にグッドサインを出す。



レイド「もちろん…!!」


ゼータ「出来てるぜ…!!」



 感激と興奮で泣きそうになってきた。俺はなんて良い仲間を持ったんだろうか。目を潤わせながら二人にそれの所まで案内してもらう。


 レイドの家の庭に辿り着き、二人が指を指す方向を見る。そして俺は感情よりも何よりも先に言葉が出てきた。



千智「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!すげぇぇぇぇぇぇぇ!!」



 俺が頼んだ品。それは玉座だったのだ。


 全体が銀で所々に赤と金の配色、上部左右は少し広がり奇抜で刺々しく、そして背もたれの上部には赤い玉が埋め込まれていた。肘置きにも赤い玉を埋め込み、正しく【魔王の玉座】って見た目をしていた。


 これだよ…!!これこそ俺の望んだ玉座だよ!!


 感動と感激に包まれ言葉を失っている俺にレイド、ゼータがドヤ顔で話し掛ける。



レイド「どうだ?」


ゼータ「中々のもんだろ!!」



 右肩にレイド、左肩にゼータが来るように二人を抱き絞め、欲しいおもちゃを買ってもらった時の子供の様にはしゃぎ、ありがとうを連呼していた。

 二人は笑いながら「そりゃ良かった!」と言ってくれた。


 早速その玉座を城の庭まで運ぶ。城の庭に置いた時、リーナさん、セイナ、ミーニャの三人が玉座を見ながら話を掛けてきた。



リーナ「どうしたのそれ?」


ミーニャ「かっこいい!」


千智「レイドとゼータに作ってもらったんすよ!」


リーナ「何の為に?」


千智「いやぁ!俺って一応タイトルと役職上は【魔王】じゃないっすか?中身やその他が魔王じゃないのはそうなんすけど、せめて外見だけでも近付こうと思って!」


リーナ「な、なるほど(汗)」



 リーナさんは苦笑いで承諾してくれた。セイナとミーニャが不思議そうに聞いてくる。



セイナ「でも、千智には亜しき物は見当たらないけど…。」


千智「そりゃあ、中身は正義のヒーローだからねぇ!」


ミーニャ「千智、魔王になっちゃうの?」


千智「表面だけはそうでいないと色んな人から突っ込まれたりするからな!その辺は大人の事情ってやつだ!あ、リーナさん!物置のクッションとかそう言うの、貰ってもいいですか?」


リーナ「えぇ。あるのもは使っても大丈夫よ。」


千智「あざぁっす!」


 そう残し物置へ直行した。そして物置に入る。初めて入ったが、スゴいな。花瓶やら絨毯やら、そう言った家具がかなりの数置かれている。他にもよく解らない壺?みたいな物とかシーツやら布やらも置かれてあった。そこで薄めのクッションを求め探す。以外にも早く見つかり、布が置いてある場所にあった。丁度良い。赤で薄くて座り心地が良さそうだ。ふとその隣にあった服を見る。次の瞬間、俺の頭に稲妻が走った。その服に着替えるとクッションを抱え外に出た。


(第19話に続く。)→

  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る