第15話 と言う事で、異世界バトルまた展開します。

 前回ミリリアのクソ悪事を知った俺は、その悪事にまんまと引っ掛かった三人組、ゼータ、セイナ、ミーニャとの戦いが幕を開けた。…いや待て、正確にはゼータと俺の戦いだ。


 コイツは冒険者でハーレム。正にそこら辺に転がってる異世界シリーズって感じだな…!!


 俺が今後斬新且新鮮な異世界シリーズを作っていけるかどうかは…今日の俺に託さr



ゼータ「テアァァァァッ!!」


千智「うぉっ!!」



 いきなりゼータが俺に向かって変な光の玉を飛ばしてきやがった。


 特殊潜在能力である【見切り】を発動して何とか避けたけど、俺に【見切り】が無かったら死んでたぞ!! 


 体制を立て直し、少しよろめきながら手を上に持っていき、ゼータに説教をする。



千智「人があらすじを語っている時に攻撃する等と何事だ!!俺の見切りが冴えていたから良かったものの、見逃してたら死んでたぞ!!どうしてくれるんだ!!」



 説教に対抗するように、ゼータは腕を組み大声で反論する。



ゼータ「どうもこうも、俺はお前を討伐する為に来たんだ!!よってどんな事を言っていようと、お前を倒す!!それだけだ!!それに、お前のあらすじなんか知るかッ!!」



 コイツ…!!主人公を何だと思っていやがんだ…!!こっちとらニュータイプの異世界シリーズを作り出すのに必死なんだぞ!!お前は読者が親の顔より見てきた展開を築いて主人公になっているつもりなんだろうが、俺は小説の存命を考慮して物語を作ってんだ!!お前みてぇな在り来たりクソ主人公気取りとは違うんだよッ!!


 歯を食い縛り再び怒りを露にする俺だったが、それもつかの間。ゼータの持っていた短剣を見て息を飲んだ。



ゼータ「悪いが、俺も暇じゃないんでね。…行くぜ…相棒…!!」



 ゼータの短剣が黄金に光り出し、刃の長さが30cmぐらいから150cm程まで伸びた。手元にはうっすらと元の短剣が見える。光を纏い、力が漲るその剣は、まるで正義一色に染まっている様にも見えた。



千智「おい!!そんな武器を使うなんざ卑怯だぞ!!」


ゼータ「うるせぇ!!卑劣な魔王に選ぶ手段なんかねぇ!!」




 このクソガキ風情が…!!

 何で俺何もしてないのにこんなに卑劣とかゴミとか言われなきゃいけんの?


 いや、そりゃね、俺が人を殺したりしてたら話は別だよ?


 …してないじゃん!!クソがよ!!


 …はぁ(汗)


 濡れ衣なんてこんなもんか(汗)


 これも運命ってか?ならば、その運命を受け入れるわ(汗)


 萎えてる俺を他所に、ゼータは持っている光剣を雄々しく構え、マジな眼差しで俺に殺意を見せる。

 今の俺には…もう戦うしか道は無さそうだな…。


 最悪、【見切り】で避け続けるしかない…!!



ゼータ「ハァァァァッ!!」



 ゼータが勢い良く地面を蹴り、標的の俺に向かって飛び込んでくる。そのスピードはゴーレムやレイドと違い、速く軽やか且しなやかで無駄の無い、そして正確に俺を捕らえて牙を剥く。


 …コイツ…伊達に冒険者やってねぇな。動きで何となく解るぜ…!!


 とか何とか考えてても、今の俺には打開策がねぇ…。

 いつもの事か…!!ならば、探すだけだな…!!



ゼータ「テアッ!!」


千智「うわっ!!」


 

 毎度の如く…めちゃくちゃ怖い!!


 しかも光剣の振りがおもクソ速いじゃねぇか!!


 あんなの喰らったら一発で持っていかれるって!!


 ちくしょう!!マジで容赦無しかよ!!


 慌てて崩れた体制を直す。


 しかしゼータは更に容赦無しに殺しに掛かってくる。顔が怖くなってきた。と言うか全部怖くなってきた。



ゼータ「死ねぇぇぇッ!!」


千智「ぎゃあぁぁぁ!!」



 俺の声が段々と断末魔の叫びになってきた。


 そんな俺を見たレイドは加戦しようと武器に手を掛ける。だがゼータのサイド二人がレイドに牙を剥き始めた。



セイナ「レイド、貴方が手を出そうものなら、こちらも容赦はしません…!!」


ミーニャ「ズタズタにしてやる!!!」


レイド「チッ!!ダチがやられてるってのによ…!!」



 悔しげな顔で戸惑うレイド。だがレイドが加戦してもたぶん殺される。


 とりあえず被害者は出したくない。


 【見切り】を最大限に活かし、レイドに加戦しないことを促す。レイドは変わらず悔しげな顔で汗を流している。


 …そう言えば、リーナさんはどこに行った…?


 待て待て待て待て、こんな時に栽培と魔獣の加工してるの!?すげぇ余裕じゃん!!(汗)


 そんな事を考えながらゼータの攻撃を神回避していると、ベストタイミングと言わんばかりに後ろからリーナさんの声が聞こえた。



リーナ「千智!!これを使いなさい!!」



 いつもと違い声を少し荒げ、リーナさんが俺に何かを投げ渡す。


 避けるのに必死でありながらも何とか投げられた物を手に取る。


 それはミリリアの鎌だった。


 しかしゴーレムにぶっ飛ばされたのが少しトラウマな件もあり、動揺を隠せない。


 そんな俺にリーナさんはアドバイスをくれた。



リーナ「死神の守護グッズは時に別人の守護も発揮する!!今の貴方はゼータ達よりも力は劣っている!!だったら…少しの可能性を信じるしかないの!!」


千智「リーナさん…!!」



 なるほどな…!!藁にも縋る思いって言うのはこの事か…!!


 勇気を出さねぇと…俺だけじゃなくてレイドやリーナさんまで巻き込んじまうもんな…!!それに、ミリリアのやりたい放題になんざさせるかよッ!!

 しっかし、あんな必死になってるリーナさんを見る事になるとはな…!!そんだけ心配してくれて、そんだけ応援してくれてるって事か…!!だったら、それに応えねぇとな!!


 ミリリアの鎌を構え、再びゼータと戦う意志を固める。俺が意志を固めたと同時にゼータは光剣を振り上げ、さっきと変わらない速度で光剣を振り下ろしてくる。


 逃げるな…!!

 

 戦え…!!


 圧されるな…!!


 圧し返せ…!!


 自分自身にそう訴えながら鎌を圧し返す様に振り上げる。 


 するとゼータが驚いた表情を見せ、後退りした。

 俺の振り上げた鎌がゼータの光剣を弾いたのだ。

 俺自身も驚く。優勢に持っていかれていたのが、鎌を振っただけで逆転しかけたのだ。


 二人の間に沈黙が流れた。その沈黙は、まるで驚いた拍子に息を飲み、言葉が出なくなった様だった。


 これはいけるかもしれない…。そう思った俺は自分に自信を持つ事が出来た。


 再度光剣を構えるゼータの顔は確実に焦っていた。呼吸も少し乱れ、いかにも動揺を隠せずにがむしゃらに光剣を構えている様に見える。


 だが、対する俺は自信を持った事によって自分自身に余裕が出来ている。体の重さがさっきとは違い軽くなってる。まさかここに来てあの死神、ミリリアの鎌に助けられるとはな…。とりあえず…感謝するぜ…ミリリア…!!まぁ、鎌の事だけだけどな!!


 ここから俺の怒涛の逆転劇が始まるぜ…!!


      たぶんだけどなッ!!

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