第12話 と言う事で、異世界転生の裏側を書きます。
前回レイドを味方に付けた俺は、直後にある事で悩んでいた。
それは住居だ。
俺はリーナさんの城に住んでいるから良いものの、レイドの様にこれから増えていく仲間をどうしようか。城には入らないし…。
土地を広げるにしても、俺にはまだそんな力はないし…。
どうしたことか…。
と、悩んでる俺を見てレイドとリーナさんが話を掛けてきた。
レイド「何を悩んでんだ?」
千智「いや、住む場所がさぁ~。」
リーナ「これから仲間を増やしていけば、確実に壁になる問題ね。」
千智「そうなんすよぉ~。」
腕を組み真剣な顔で考え込んでいると、レイドが自分の胸を叩きながら満面のどや顔を混ぜた笑みと少し荒い鼻息を奏でながら仁王立ちで俺に語り掛けてきた。
レイド「それなら俺に任せろッ!!」
千智「え?」
レイド「何たって俺の本職は一級レベルの大工だからなッ!!」
今思い出した。
そう言えばレイドの特殊潜在能力に《超建築》《立体化》《錬成》って書いてあったな!
やっぱ大工だったんだな!!
ついさっきまでの気難しい顔が一瞬にして希望に満ちた笑顔になった。
レイド「建築なら得意だ!!」
リーナ「それは丁度良かったわね。」
千智「いやぁ~助かる!!マジで!!」
だが一つ問題があった。
それはこの森をどう開拓するか…だ。
焼き払うのは流石にもっと問題になるし、かと言って俺には何かを消す能力なんか無いし、どうしよ。
チート能力と言えど、そんな直ぐに消し飛ばせる様な力は手に入らないだろうし…。困ったな。
再び腕を組み考え込む。
何か打開策はないか…打開策…打開策…。
そうだ!!前にゴーレム相手に使った【鎌鼬】って風魔力の技…!!あれを森に思いっきり放てば、木を一掃出来るかも知れねぇ!!
…でもその倒した木とかはどうしよ…。
考え込む俺を心配するかの様にレイドが声を掛けてくれる。
レイド「どうしたんだよ?」
千智「いや、切り終わった木とかはどうしよってな…。」
レイド「それなら心配いらねぇ!!俺の錬成は元となる素材が必要であって、まず立体化である程度の形を考えて、そこから立体化で理想の形に近付ける!最後に超建築で仕上げをかけりゃ完成って訳だ!」
千智「おぉ!!何か良く解らんけど、とにかくスゴいってのは解る!!」
リーナ「でも時間が掛かるんじゃないかしら?」
レイド「甘いぜ!俺レベルの建築士になりゃあ、二階建ての家を建てるのに10分も掛からねぇ!!」
すげぇ…!!いささかすげぇ…!!本当にすげぇな!!
産まれて初めてこんな世界に来たけど、マジで何でもありじゃねぇか!!
まぁチート能力使えるって言う俺が一番何でもありなんかも知れんが(笑)
そんなこんなで俺達三人は森の前に来た。と言っても、城の隣なんだけどね。
早速ありったけの力を込めて森に鎌鼬を撃つ。
すると目の前にあった木が根本付近からバッサリと切れた。その数は五本。
自分の力だけど、自分でもビックリするな。
しかしながら森だから木がまだまだいっぱい生えていやがる。鎌鼬で切るにしても一苦労だな…。
その後、俺は約二十分弱ぐらい森に向かって鎌鼬をぶちかました。時間が経つに連れて切れる本数も増えていき、最終的には一発で十本ぐらいまで切れるようになった。でも体力を結構持っていかれた。
…しゃあない。ここまでの時間、ひたすら鎌鼬を撃ってたんだもん。明日は筋肉痛だな。
とりあえず縦100m横120mぐらいの広いスペースが出来た。
…ちょっと待て、木材はレイドが加工するから良いけど、残った根っこはどうすんだ?地面に刺さったままだし、抜く…なんて事は出来ないし、打撃で上から殴って地面に植える…とは言ってもこの根っこの数に対応できる体力は無いし…。
えぇ~こんな所で詰まるのぉ?(汗)
と言う悩み事を頭でかき混ぜていたら、再びレイドが声を掛けてくれる。
レイド「今度はどうしたってんだ?」
千智「いや、根っこをどうs」
レイド「根っこは錬成の材料に出来るぜ!それと、何か鉄屑でも良いから、鉄材が欲しいところだな!」
あらま~とっっっっっても好都合ねぇ~。開いた口が閉じなくなっちゃったわぁ~。
…こう言うのってあれなのかな?その、なんと言うか、都合良く物事が進んでいくようになってるのかな?そりゃあさ、そっちの方がありがたいけどさ、やっぱりそのぉ、ね?あるじゃん。解るだろ?
…これ以上は何も言わねぇ…(汗)
メタ発言はやり過ぎると読者やら視聴者から叩かれるからな。
とりあえず後はレイドに任せるか…。
近くに捨てられてあった適当な鉄材を用意して岩に座り、レイドを見ていた。
レイドは手を広げ意識を建築に集中させる。
あ、リーナさんは魔獣の仕込みと野菜の管理があるから席を外している。
ま、いいか。
レイド「…大体…こんなもんか…。」
レイドが何かをブツブツと呟いている…。周りから見たらちょっと怖い人だな。
そんな事を考えていた時、俺を目映い光が包んだ。
…目が焼けるかと思ったぜ。目を瞑っててもチカチカする。
数秒後、光が消え目を開けるとそこには少しボロいぐらいの二階建ての家が建っていた。
驚きを隠せず、思わず口に出してしまう。
千智「す、すげぇ…!!」
レイド「これはまだ錬成の段階だ。ここから…超建築で仕上げだ…!!」
今のままでも十分すげぇのにここから更に綺麗になるのか…!!本当にすげぇや…!!驚きを通り越して無邪気に笑う子供みたいに顔が笑っちまってる。
そんな俺を他所にレイドは超建築に入った。再び集中して手を家に向けながらブツブツと呟く。
すると、みるみる内に少しボロい家が新品同様かの様な家へと変わった。
木材で作られた玄関、開閉部分やドアノブの部分にはさっき持ってきた鉄屑が使われていた。ガラスが無かったから窓は無いものの、木製の扉が付いている事から開閉システムがあるのが解る。それに軽いベランダやバルコニーまで付いてやがる…!!
城の様なレンガや大理石は使われてないが、それでも立派過ぎるレベルの代物だ…!!
広いスペースに出来た一軒の家にこんなにも衝撃を覚えるとは。思っても見なかったぜ…。
口をあんぐりと開け目の前の光景に感動している俺にレイドは得意気な顔で腕を組み、自信満々な歩き方で近付いてきた。
レイド「どうよ?」
千智「レイドさん…すげぇっす…。」
レイド「だろぉ!!ここまでの腕を習得するのに苦労したんだぜ!(笑)」
千智「レイドさん…マジパネぇっす…。」
レイド「はっははは!そう言ってくれると嬉しい限りだな!」
気持ち良いぐらい豪快な笑い声を上げるレイドを見て、本当に仲間にして良かったなと心から思った。
しかし一つの疑問を浮かべてしまう。まぁ、大体答えは想像付くけど、一応レイドに聞いてみた。
千智「でも家具は?」
レイド「その辺も俺の潜在能力で作れるぜ!!」
うん。思った通りの答えだ。逆に安心した。
あれだな。ある程度の事は大体都合良く進むな。
…と、まぁとりあえず家の事は良いとして…後は食料やら求人だな。
いや、食料は何とかなるか。
求人も…俺がリーナさんを手伝えば全然余裕だな。
人数が増えてくればまた考えれば良い。
…よし、俺の魔王生活が進歩したぞ。
その後、レイドは家を何軒か建て、俺とリーナさんと一緒に食事を取り、自分の建てた家へと帰った。
俺は風呂に入り、自室に戻る。
そう言えば、今日の戦闘や開拓で俺の能力はどう上がったんだろ?
気になったから測定器を見てみる。
【葛城千智】Lv.55 HP75/∞ (異国の民)
《火魔力:27(上限∞)》《水魔力:25(上限∞)》
《風魔力:49(上限∞)》《光魔力:18(上限∞)》
《闇魔力:28(上限∞)》《打撃魔力:65(上限∞)》
《未解放特殊潜在能力:不明》
《解読能力》《浮遊》《能力透視》《演技》
《侵食》《冷静》《戦略》《見切り》
特殊潜在能力が増えたな。
…何だ?《演技》と《侵食》って。あれか、今日のやつか?あれ洗脳とかじゃないんだ(笑)
それにしても、鎌鼬撃ちまくったせいで風魔力が莫大にアップしてるな。
…楽しみになってきたな…!!
不意に顔がニヤけてしまう。端から見たらただのキ◯ガイだ。まぁ元からなんだが。
そのまま半ニヤけの顔で寝てしまった。
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