最後のチアリーディング

最後のチアリーディング

修学旅行

3月になり、僕も智遥も春休みを迎えた。

ある日智遥からラインが届いた。

たっくん、来週だけど水曜日から2泊3日の修学旅行で沖名和に行くけれど何か買ってきて欲しいものとかある?

僕はいつも智遥にはお世話になっているから大丈夫だよ。思い出話沢山聞かせて欲しいな。

そっか……。じゃあ写真撮ってライン送るね。沖名和の海はエメラルドグリーンみたいだから今から修学旅行に行くのが楽しみだよ。

僕は沖名和か……。飛行機さえ乗れれば行きたいのに。他に手段はないものかと自問自答していた。でも智遥が楽しみにしているのならいいか。智遥から送られてくる写真を見て沖名和を満喫しようと決めた。

1週間後、智遥の通う蓑川女子高校は尼阪国際空港から沖名和おきなわ国際空港に飛び立った。

智遥から早速ラインが届いた

3月なのに沖名和は気温が高くて蒸し暑い。たっくんも行く時は空港で飲み物を買っていくことをオススメするよ。

その10分後、次は写真が送信された。

僕はラインを開くと智遥の言っていたの通り沖名和の海はエメラルドグリーンで輝いていた。2人で沖名和の海で水をかけあったり、ビーチバレーとかしたら楽しいだろうなと妄想を膨らませていた。

夜になり、智遥から写真が送信されたとタッチして見ると真海と浴衣を着てピースサインをして楽しそうな姿が送られてきた。

智遥の話を聞いていて僕も旅に出たいと思っていた。アルバイトのシフトを確認して連休の日にプチ旅でもしようかなと計画していた。

次のアルバイトは金曜日と土曜日休みか、じゃあ金曜日の夜に出かけて土曜日の夕方に帰って来れば問題はない。さてどこに行こう。

1人旅、何を目的にしていくか。グルメなのか、観光なのかはたまたその両方なのか考えていた。

そういえば山陰の方に行ったことないな、お金はかかるが特急に乗って鳥取、島根を目指すことを決めた。

鳥取は与那呉ラーメン、松川かに、与那呉巻が有名で島根は浜田握り、岩美盛り、岩美ラーメンが有名とネットに書いてあって全部制覇したいなと感じていた。

金曜日、学校から帰ってきて僕はカバンを自分の部屋に置いて僕は尼川駅に向かって特急電車のある蓑谷駅に行った。1度改札を通って特急券を買って駅弁を買い、特急電車に乗った。

自然豊かで特急電車が颯爽と走っている姿にこの先にはどんな景色を見られるのかとワクワクしていた。特急電車で4時間、午後9時に与那呉駅に着いてビジネスホテルのチェックインをしてラーメン屋に行って与那呉ラーメンと与那呉巻のセットを注文した。途中の景色を智遥にラインで送るとたっくんも旅をしていて楽しそうだね。お互いに楽しもう。

そしてセットが届きスマホで撮影して再び智遥に送った。

たっくん美味しい?沖名和もアグーうどんやマンゴーチャンプルーとかあってもどれも美味しいよ。

こっちも美味しいよ。今度一緒に来ようね。

智遥は沖名和も是非行こうね。飛行機怖かったら私の手をずっと握っていてくれれば大丈夫だからさ。

その言葉に僕は沖名和も行きたくなった。晩御飯を食べ終わり外を見ると真っ暗でホテルに戻った。

翌日、与那呉駅周辺を巡ってその後電車で島根県に向かった。車窓を眺めると海岸線を走っており、どこまでも続くような砂浜が見えて途中下車した。

僕は1人で砂浜に興奮していて近くにあるサンドミュージアムに向かった。中に入ってサンドミュージアムが出来た経緯がかいてあり砂が有名ということもあるが数年前に昼のドラマの舞台地になってそれを記念して造られたと書かれていた。

僕は砂で恐竜や自動車、飛行機が展示してあってこれが全て砂だけで造られていると考えたらスゴいなぁと感動のあまりスマホで撮影した。そしてお土産コーナーで智遥にお土産を買おうと見ていた。

すると星の形に砂が入ってたかわいらしいキーホルダーを見つけてこれ買ったらきっと智遥は喜ぶかなと思い購入してサンドミュージアムを後にして尼川駅に戻るために特急電車で蓑谷駅に向かった。

尼川駅に着いた時には既に午後7時、1度智遥の家に行ってお土産を渡そうとしたがもう元気は残っておらずまた後日渡すことを決めた。

1時間後、智遥からラインが届いて今度の月曜日たっくんに渡したい物があると送られてきた。じゃあ尼川線でまた会おうねと送り僕もその時でいいやと寝床についた。

月曜日、僕はカバンにキーホルダーを入れて電車に乗った。尼阪駅で智遥と真海が乗車してきた。

たっくんおはよう。1人旅は楽しかった?

智遥に会えなくて寂しかった。それを埋めるために1人旅に出かけてた。

そっか。たっくんに沖名和のお土産買ってきたの。麦わら帽子と紫芋タルト買ってきたよ。みんなで食べてね。

智遥、ありがとう。僕もキーホルダー買ってきたよ。かわいらしいキーホルダーあったから智遥に似合うかなと思って買ってきたよと対等の交換をした。

智遥は袋を開けるとこのキーホルダーかわいい。真海見て、これかわいくない?

かわいいね。拓実君、私にはないの?

最後の1個だったから買えなかった。ゴメンね。

拓実君、うそだよ。私に買ってくるお金があるなら智遥にプラスで買ってあげな。素直でかわいいね。

もう真海、なんでいつもイジるかな?

拓実君は毎回反応してくれるし智遥も含めてみんなかわいくて愛おしく思うよ。

僕は紫芋タルトと麦わら帽子をカバンにしまって学校に向かった。クラスメイトに取られないように騙し隠しをして何とか1日乗り切った。家に帰り僕は父と母に智遥が修学旅行のお土産くれたよと紫芋タルトを渡して3人で美味しくいただいた。


学年が上がり

4月で僕は2年生、智遥と真海は3年生に進級した、

僕の通う蓑谷高校では2年生の6月にそれぞれ選択した場所に修学旅行に行く。飛行機に乗りたく僕は飛行機に使わないで行ける四国を希望していた。

2年生になって授業が進まず修学旅行の話ばかりする先生もいる。僕たち生徒からしたら楽しみでもある修学旅行の話をしてくれることは嬉しいがそれによって授業でやってもいないのにテストに出すのだけはやめて欲しいとクラスメイト全員が切に願っていた。

四国はラーメンが有名な所が沢山あって観光地も有名な名所が沢山あって早く6月にならないかなとワクワクしていた。この前智遥に沖名和のお土産もらったしお返ししなきゃな。何を買おうと行く前から考えたいた。

その前に難関の中間テストがある。勉強があまり得意ではない僕は智遥に勉強を教えて欲しいとラインでお願いをした。

私もチアリーディングの練習があるから長い時間教えてあげられないけれどそれでもよかったら。そして僕は中間テストまで蓑谷図書館で智遥に勉強を教えてもらっていた。

智遥の教え方が上手いこともあり、僕は過去最高得点を取ることが出来て1桁順位を取ることが出来た。その旨を智遥にラインで送った。

たっくん勉強頑張っていたもんね。努力の賜物(たまもの)だよ。お疲れ様でした。

これで気兼ねなく修学旅行に行けるぞ。修学旅行にいく1週間前から準備を進めていた。

6月に入って3泊4日の修学旅行に行くため蓑谷駅からまずは香川県の阪出駅に向かった。日本で1番小さな面積だが歴史的には合戦の舞台にもなっていた。僕たちは駅に着いてバスで港に向かい、数時間かけて島を巡るためにフェリーに乗って海風を浴びていた。海はキレイだが寒い。

島を巡り終わったあとに下船して自由行動でお昼ご飯にラーメンを食べてバスに乗った。その後寺院に行って歴史を学び旅館に泊まった。修学旅行ではお馴染みの枕投げをして盛り上がっていた。

2日目は徳島、3日目は高知、4日目は愛媛と回ってかえりしなのサービスエリアでみかん大福とご当地キャラクターのノートを買って再びバスに乗った。

初日に降りたった阪出駅から蓑谷駅に帰った。

駅に着いて尼阪線を待っていると部活帰りの智遥と真海がやって来た。たっくん帰り遅いね。

今日修学旅行から帰ってきたところだからね。智遥、これ修学旅行のお土産だよ。

たっくんいつもお土産買ってきてもらってばかりでありがとう。いつもいつも買ってこなくても大丈夫だよ。優しいね。

真海はこんな優しい彼氏がいたらなぁと口を尖らしてこっちを見ていた。真海にもきっといい人現れるよ。優しいからヘンな人に騙されないようにね。

智遥、拓実君優しい言葉をありがとう。

僕は家に帰って次はどこに行こうか考えていた。


自身最後の大会

僕は智遥にあることをラインで尋ねた。

チアリーディング部の大会を観に行こうと思うけれどいつになる?

地区大会が行われるのが6月末だよ。たっくん観に来てくれるの?

どういう結果になっても智遥の蓑川女子高校チアリーディング部としての最後の勇姿を見届けたいと思ってさ。

じゃあまた詳細が分かったらまた連絡するね。

そしてラインを送ってから1週間後、6月の第4土曜日蓑谷体育館で午前9時から行われるから是非観に来てね。たっくんのためにも頑張るね。

僕のために頑張ってくれるのは嬉しいけれどキャプテンとして目の前の戦いに全力でやって全国制覇してくださいと送信した。

たっくんの言う通りだねとすぐに返信が来た。

6月末の土曜日、僕は蓑谷体育館に智遥の演技を観ようと訪れていた。会場には智遥のお父さん、お母さんもいて軽く挨拶をして一緒に勇姿を見ていた。

蓑川女子高校の演技が終わり、結果を待っていた。

傍からみたら素晴らしい演技のように見えたが蓑川女子高校は近畿大会に進出することは出来ずチアリーディング部としての最後の大会を終えた。

智遥は涙を流していた。きっとキャプテンとしてチームをここまでひっぱってきたということがひしひしと伝わってきた。隣を見るとお父さん、お母さんも涙を流されていて僕はどのように声をかけたらいいのか分からなかった。

僕は御手洗に行くと言って蓑谷体育館を後にした。

智遥に一言、お疲れ様でしたとラインを送った。

せっかくたっくんが観に来てくれたのにみっともない演技をしてゴメンなさい。後は運動部の応援に行くしか私たちに出来ることはないね。

月が変わって7月になった。運動部にとって最後の戦いが始まった。どの部活も頑張っていたが軒並み1回戦敗退だった。残すは智遥の通う蓑川女子高校ではなく、僕の通う蓑谷高校野球部だけどなった。

野球部の初戦は7月の半ばでしばらく間が空くことになった。

ある日智遥からライン電話がかかってきた。

たっくん七夕の日に蓑谷七夕祭り一緒に行かない?

うん、いいよ。でも1つだけお願いがあって。

お願い?それってどんなお願い?

智遥に浴衣着てきて欲しいなって考えているけれどいいかな?

私は最初からそのつもりだったよ。どんな浴衣で来るかはその日のお楽しみで。

僕は智遥の浴衣姿を楽しみで早く七夕にならないかなと寝床についた。

七夕当日、僕は先に蓑谷駅に着いた。智遥は何色の浴衣着てくるのか。水色?ピンク色?はたまた黒色?どの色も染まる白色とか?僕の妄想が膨らむ。

たっくん、遅くなってゴメンね。

智遥は薄ピンク色の浴衣を着て現れた。

たっくんどう?私、似合っているかな……?

これこそまさに現代に現れた織姫様だよ。かわいい以外の言葉が出てこないよ。

たっくん前にも現代の織姫様って言っていたね。今日こそその言葉に似合う日が来たね。私の彦星様。

智遥、人混みスゴいから手繋ごう。

うん、何か久しぶりに恋人らしいことしたね。

アルバイトとかあって中々誘えなくてゴメンね。

私もチアリーディングで忙しかったからお互い様だよ。今までの分を取り戻すくらいはっちゃけようよ。たっくんどこから行く?

じゃあまず金魚すくいしようよ。どっちが多くすくえるか勝負しない?

その勝負のった。普通の勝負しても面白くないから負けた方が1箇所奢るっていうのはどう?

いいよ。絶対智遥に奢らせるからね。

そして金魚すくいをやって僕は2匹、智遥は3匹で僕は勝負にも網も破れた。

悔しいな〜。あれ?智遥袖が濡れているよ。

あ、ホントだ。そういって智遥はポシェットからハンカチを取り出した。

あれ?そのハンカチどこかで見覚えあるな……?

見覚えがあるも何もたっくんがくれたハンカチだよ。かわいすぎて使うの勿体ないって思っていたけれどママからハンカチは使わなきゃ意味ないよって言われてたっくんとデート行く時は持つようにしているよ。

大事に使ってくれて智遥、ありがとう。

「ヒューン、ドン ヒューンドン」

空には花火が打ち上がった。

智遥、大好きだよ。智遥の出会えて幸せだよ。

私もだよ、たっくん。電車に乗っていた時に痴漢に遭って自分でどうしたらいいか分からなかった時にたっくんが助けてくれなかったらどうなっていたのかと思うと泣いて動けなかったと思うよ。いつも私のことを考えてくれて助けてくれてありがとう。

「チュッ」

僕は顔を真っ赤にするとたっくんホント照れ屋でかわいい一緒に写真撮ろうとスマホのインカメラで写真を撮って尼阪駅で智遥を見届けて僕も家に帰った。


チアリーディングの機会が訪れる

夏休みか終わり、智遥と真海は受験に向けて勉強をしていた。ある日、智遥と真海のいるクラスにある人が尋ねてきた。

智遥さん、真海さんちょっとお話よろしいですか?

友華どうしたの?

国体でバスケ部の応援に行くのですが練習中に2人がケガをしてしまったので急遽ではありますが私たちと一緒にチアリーディングに参加して一緒に応援してもらえないですか?

私と真海に声を掛けてきたのは2年生の新キャプテンを務める町田友華(まちだゆか)だった。友華は責任感が強くケガ人に代わって私たちに声をかけてくれたのは嬉しいが真海と共にお互いに顔を見合っていた。

お2人とも受験あって忙しいので厳しいですよね……。いる人数で違うものを魅せようと思います。

友華、その話受けるよ。私は尼阪女子大学の受験は11月でまだ時間あるからかわいい後輩のお願いなら協力するしかないよ。そういえば真海は進路どうするの?

どうするのって同じ尼阪女子大学を一緒に受験しようって声をかけたのは智遥でしょ?かわいい顔して完璧な女の子と思いきや抜けていたり人の話を忘れていたりして天然なところあるよね。

それで真海さんは協力いただけますか?

私も智遥と同意見だよ。私たちは数ヶ月チアリーディングしてないから入念にストレッチしたりしてケガには気をつけないと後輩の友華たちに迷惑をかけるからね。今日はユニフォーム持ってきてないから明日から参加するね。

こうして智遥と智遥は翌日から後輩たちと共にチアリーディングに加わることになった。

翌日、授業後に智遥と真海は体育館に行ってストレッチをしていた。

友華は智遥さん指揮をお願いします。

今のキャプテンは私じゃなくて友華でしょ。新入部員の気持ちで練習するから動きが鈍かったり、そこは違うとかあれば遠慮なく注意してもらって構わないからね。

少しやりにくい部分ありますが何か指摘する部分があれば途中で止めてするようにします。

新キャプテン友華のもとで私と真海は久しぶりのチアリーディングの練習をしていると全盛期と比べて体力なくなった。このままじゃ後輩たちに迷惑かけるねと2人で話していた。

2週間後、国体会場でもある蓑谷体育館に向かった。

みんなでストレッチを行い準備体操をして蓑川女子高校の試合中、観客席で応援していた。

結果は負けてしまったがバスケ部の人たちには涙はなくやり切った思いでいっぱいだった。

私と真海は全身筋肉痛になっていた。真海、この後時間ある?

あるけど智遥どうしたの?

この後一緒に温泉に行かない?久しぶりにチアリーディングをやってあちこち痛くて疲れを取りたいからさ。

いいけど私とでいいの?拓実君と行かないの?

たっくん今日アルバイトって言っていたし真海にしか話せないことも沢山あるからさ。

また拓実君とのラブラブ話?

もういつもそう言うよね。他にも話すことあるって受験のこととか聞こうと思ったのに。真海ってスグイジるよね。

ふふふホント拓実君と智遥って似ているし2人とも反応してくれるし愛おしくてかわいい。ホント拓実君と出逢えてよかったね。

私もそれは思うよ。出逢ってなかったら今頃どうなっていたのか想像もつかないよ。

智遥、早く行かなきゃ温泉閉まっちゃうよ。

話をしたのは真海でしょ?待ってよ〜。

私は真海と温泉に浸かって久しぶりのチアリーディングに楽しい、そして毎日やらないとダメだなと2人で喋っていて大学でも続けるか話をしていた。

智遥と真海は尼阪女子大学文学部の受験をして無事に合格を決めた。

夕方、僕のもとにライン電話がかかってきた。

たっくん、私尼阪女子大学経済学部無事に合格しました。

智遥おめでとう。僕の両親と智遥の方たちと食事に行こう。

じゃあパパとママに話してみるね。予定が分かったらまたラインするね。

僕の家族と智遥の御家族と初対面で上手く馴染めるのか心配していた。


初対面

智遥の合格を祝して僕の家族と智遥の御家族は焼肉屋に集合した。

僕は智遥を見つけて手を振った。

父は智遥のお父さんに挨拶をしてお店の中に入っていった。タブレットで注文を終えると父は口を開いた。

この度は智遥さん大学合格おめでとうございます。

智遥はありがとうございます。いつも拓実君にはお世話になっております。

家では智遥さんの話をしていて幸せそうですよ。

みんなでお肉を焼きつつお互いの家で話した内容を当事者である僕は智遥はもう1度同じ話を聞いて改めて考えると恥ずかしいねとお互いに笑っていた。

たっくんこの後は一緒にどこか行かない?

じゃあ蓑谷駅のショッピングモールで行こうよ。

桃川さん、お時間があればこの話の続きをするというのはいかがでしょうか?

私たちは大丈夫ですよ。榎本さんはいかがですか?

智遥さんの幼少期のお話とか聞きたいのでお願いします。その話を聞いていた僕は智遥の幼少期?僕も気になる。後で聞こうと決めた。

僕と智遥はショッピングモールにデート、お互いの家族は焼肉屋の近くにある喫茶店とそれぞれの行先に向かった。

僕と智遥は尼阪線に乗って蓑谷駅で降りてショッピングモールに向かった。2人でアパレルショップを何店かまわっていた。智遥はこの服かわいい〜、このワンピースやミニスカート見てと笑顔で身体に当てていた。智遥は次のお店行こうと手を引っ張った。

僕は次どこに行くのかなと思ってお店に入ったのは女性用水着のお店で目のやり場に困っていた。

智遥、僕はここで待っているから見てきていいよ。

何言っているの?たっくんに水着を選んで欲しくて連れてきたから早く入って。躊躇ちゅうちょしていたりキョロキョロしていると逆に恥ずかしくなるよ。

僕は堂々としてお店の中に入った。

たっくんは私にどの水着を着て欲しい?

マジマジと見る訳にもいかずパッと見つけた黄色と黄緑色、水色を選び智遥に渡した。

着替えてくるからちょっと待っていてね。1つすつ着て僕に見せた。この3つの中でどれがいい?

黄緑がかわいいと思うよ。僕は会計をしてお店を出た。

たっくん終始顔が赤かったけれど入るの恥ずかしかったの?私がいたから気にしなくていいの。

恥ずかしいよ。女性用水着のお店に男が入るっておかしいと思うよ。もう女性用のアパレルショップ入るだけでも恥ずかしいのに水着のお店に入るのは……。

私のためにゴメンね。たっくんのおかげで水着を買えたから今度一緒に沖名和に行こうね。

また予定が決まったらね。それより智遥の幼少期の話を聞いてみたい。ダメかな?

いいよ。その代わりたっくんの話も聞かせてね。

フードコートでクレープを注文して椅子に座って僕は小さい時から電車が好きで勉強が苦手、智遥は読書好きで天真爛漫てんしんらんまんに振舞っていたと聞いてそのまま大きくなってきたのかと感じていた。買った水着を着た智遥の姿を見てみたい、飛行機に乗るのは怖いが沖名和に行くことを僕は決めた。


レッツ沖名和旅行

3月になり僕は春休み、智遥は入学前で時間があるということで尼阪駅にある旅行代理店で沖縄2泊3日を予約した。料金は僕が支払い、現地で智遥が支払うと話し合って決めた。

沖名和が楽しみだが飛行機に乗らなきゃいけないのが悩みの種だった。

智遥は僕に話しかけた。

たっくん、よく飛行機乗れないって言っているけれど乗ったことあるの?

ないよ。ジェットコースターすら乗れないのに飛行機に乗れるわけないよ。

智遥はジェットコースター乗れない人でも飛行機乗るの大好きっていう人いるよ。それに乗ってみたら意外とこんなものかって拍子抜けするかもよ。

そうだね。ホントに怖かったら手握ってもいい?

いいよ。その時は私がギュッと抱きしめてあげるよ。その時は正直に私に言ってね。

智遥、優しいね。ありがとうと笑顔で見つめた。

たっくんかわいい〜と僕の頭を撫でた。

前日に荷物を準備をして始発の電車に乗るためにこの日は早めに寝た。

当日、智遥と尼阪駅で合流して尼阪国際空港に向かった。そして智遥は搭乗手続きをして搭乗するのを待っていた。

僕は飛行機に乗る前から緊張のあまり智遥の手を握って怖い、怖いと呟いていた。

たっくん大丈夫だよ。1人じゃなくて私もいるから心配しないで。空からの景色は絶景だから見てみるといいよと僕をなだめていた。

そして搭乗して飛行機は飛び立った。飛ぶ瞬間、智遥の手を思いっきり握って耳がキーンとなって辛かった。

飛行機は上空に飛び立つとシートベルトを外してもいいランプが灯り、智遥は思わず僕を抱きしめた。

たっくん大丈夫?外の景色見てみて。

当たり前だが飛行機は雲の上を飛んでいる。周りには山の頂上や海が見えてとてもキレイだった。

智遥、思いっきり手を握ってゴメンね。痛くなかった?

ちょっと痛かったけれどたっくんがどれだけ怖いのか伝わってきたよ。沖名和の海はエメラルドグリーンで感動するから楽しみにしていてね。

飛行機に乗って2時間余り、目的地の沖名和国際空港に降りたって僕はふらふらとしていて近くのベンチで座っていた。

智遥、ゴメンね。迷惑かけてしまって。

たっくん喋らない。智遥は団扇うちわで仰いでしばらく待っているとふらふらとした感じが治った。

智遥、もう大丈夫だよ。ありがとう。今からどこに行く?

お昼過ぎているし何か食べに行こう。沖名和名物のアグーうどんのお店に入った。ランチでアグーうどんのセットを注文した。しばらくしてご飯と味噌汁、アグーうどんが出てきた。うどんの上にアグーが豪華に3枚も乗っていて歯ごたえもあり、とても食べやすかった。

智遥、修学旅行でどこに行った?

大きいジンベイザメのいる沖名和水族館あるからそこに行かない?かわいいお魚がいっぱいいるよ。

僕と智遥はモノレールに乗って沖名和水族館に向かった。

入場料を払うとイワシのトルネード、海星ひとでそして海月くらげやよちよち歩きのかわいいペンギンがかわいくてジンベイザメこ大きさには圧倒された。大きいのに顔は優しい顔をしていてかわいく思えてきた。シロイルカや鯱(しゃち)が水槽を颯爽と泳いでいて智遥はかわいいとテンションが高まっていた。時計を見ると午後3時、もうすぐイルカショーが始まる時間になり外に出た。

イルカちゃんたちは高く跳び、投げた輪っかをキレイにくぐり抜けていた。そして1つの演技を終わると飼育員の人に近づきエサをもらって嬉しそうにしていた。

あのイルカちゃんかわいいね。たっくんみたい。

僕は智遥に満面の笑みを見せるとかわいいと抱きしめた。

沖名和水族館を出ると3月なのに暑くてジメジメしていると思い、僕はカバンから麦わら帽子を取り出して被った。

たっくんその麦わら帽子って私があげたやつ?

そうだよ。去年の夏や沖名和行くってなったらこれを持っていこうと決めていてさ。

たっくんありがとう。麦わら帽子似合っていてかわいい。リボン付いたやつにしたらよかったかな。

それだと女の子が被るやつだからこれで充分だよ。

智遥はかわいいって言ってくれるけどそんな童顔かな?

童顔だし仕草がかわいい。彼氏でもあり弟みたいな感じかな。

次はどこに行く?

私、ショッピング行きたい。たっくん付き合って。

いいよ。ここがオススメとかあるの?

アメリカ通りっていう所が有名だからそこに行きたい。たっくんの行きたいところもあれば付き合うから言ってね。

その場で何かあれば言うようにするね。

アメリカ通りに行って智遥はアパレルショップで水色のミニスカートと黄緑のワンピースを買って僕は沖名和名物の紫芋タルトを智遥と一緒に食べ、晩御飯もアメリカ通りで食べてビジネスホテルに泊まった。そこのホテルは海の目の前でエメラルドグリーンの海に陽が沈む姿は感動するものがあった。

ダブルベットの部屋に注文したが僕は一向に眠れない。

たっくん眠れないの?こっちおいで。

僕は智遥の寝ている横で余計に眠れないと目を閉じることにした。智遥はホント優しいお姉ちゃんのような感じで僕を包み込み、その優しさに寝れた。

翌日、僕は目を覚ますと智遥はまだ眠っていてあまりの寝顔のかわいさにスマホで写真を撮った。

すると目を覚ましてたっくん今写真撮ったでしょ?写真撮るなら何か言ってよ。

智遥の寝顔がかわいくてつい……。

もう仕方ないな、今日は1日海で遊ぶよ。水着に着替えるから壁の方向いて。見ちゃダメだよ。

そう言われると余計見たくなるのが男の性だが見たらダメだ、振り向いたらダメだと思っていた。

たっくんこっち向いて。

僕は頑なに壁を見つめていると智遥はしつこくこっち向いてと言われて振り向いた。

智遥は下着姿で僕は思わず顔を真っ赤にして再び顔を向いた。智遥早く着替えなよ。

たっくん顔を真っ赤にしてかわいい。ホントは着替えている所見たくて仕方ないでしょ?

そりゃあ男だし好きな女の子だから見てみたいけれど見ちゃダメって言うなら仕方ないよ。壁を見つめているから着替えなよ。

たっくんホント素直だね、かわいい。ホントに着替えるからもうちょっと壁向いていて。

よいしょ。たっくん着替え終わったよ。似合っているかな?

僕は振り向くとかわいいとスマホで写真を撮った。

僕も着替えるからちょっと待っていてねと海パンに着替えて海に向かった。

たっくんイジワルしてゴメンね。

真海も智遥もすぐイジワルするよね。そんなに人の顔を真っ赤にした姿見るの楽しいの?

私も真海もみんなその姿を見たくてね。かわいくて愛おしくて仕方なくて。

僕と智遥は海でビーチバレーをしたり水を掛け合ったりしていた。他の観光客に僕はスマホを渡して写真を撮ってもらい智遥にも写真を送信した。

僕と智遥は上着を羽織り、海の家でお昼ご飯を食べた。エメラルドグリーンをスマホで撮ってこのまま智遥とここに住みたいと考えていた。

お昼ご飯を食べて着替えてモノレールに乗って沖名和グルメを食べ尽くした。

翌日、沖名和国際空港で僕と智遥はお土産を買って

尼阪国際空港に飛び立って行きと同様、僕は智遥の手を握っていた。尼阪国際空港に着くとしばらくは飛行機に乗らなくてもいいかなと僕は思っていた。

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