冬の祭典

冬の祭典

アルバイト

僕は今、お小遣いをもらいいつつ鉄道研究会の費用や智遥のデートに捻出している。いつも財布を見ると残り少ない金額になっていて次のお小遣いまでどうしようかと悩みの種だった。

冬には智遥とデートしたいし、お金を貯めなきゃいけない時に考えて僕は人生初のアルバイトをすることを決めた。とはいってもどういったアルバイトをしようか考えていた。

条件として時給がいくらかというよりも高校生が出来るアルバイトじゃなきゃダメだな、労働基準法18歳未満は午後10時以降働くことが出来ないということは知っていた。ネットで求人を見ているとコンビニ、スーパー、飲食店、ガソリンスタンドといくつか候補が見つかった。その中か応募して学校近くのガソリンスタンドから翌日から来てくださいと伝えられた。

僕の主な仕事は車の誘導や窓拭き、景品のお渡しといった仕事を任されていて多い日は週に4回シフトに入ることになっているがシフトが入っていない時にも急遽体調不良で代わりに出勤することもあった。

初めての給料をもらった時には智遥に何か買ってあげたいと思っていた。

1ヶ月後、初めてのお給料が僕の口座に振り込まれた。額はそんなに多くはないものの自分で働いてお金をもらうということに喜びも一入ひとしとだった。バイトが終わり智遥にライン電話した。

もしもし智遥、今ちょっと大丈夫?

大丈夫だけどたっくんどうしたの?

アルバイトして初めてのお給料が入って智遥、何か欲しいものとかない?

初めてのお給料は自分のために使いな。たっくんのその気持ちだけ受け取っておくよ。

でも僕、物欲なくて智遥に何かしてあげたいな。

それなら今度一緒にファミレス食べに行こう。最近尼阪線でたっくんを見かけないから真海とどうしたのかなって心配してたからよかった。アルバイトは社会勉強にもいい経験になるよ。

それじゃあファミレスにいつ行く?明日、明後日アルバイト休みだよ。

じゃあ明後日の学校帰りに行こうか。たしか簑谷駅の近くにファミレスがあったはずだからそこに行こうと電話を切った。

僕はもう1人別の人に電話をかけた。

もしもし拓実だけど真海、今大丈夫?

私は大丈夫だけど何かあった?最近尼阪線で拓実君見ないから智遥とどうしたのかなって言っていたよ。病気とかしてないか心配してたよ。

病気はしてないよ。最近アルバイトしていて学校近くのアルバイトしていて今日初めてのお給料が入ってさ。

拓実君頑張ったね。お疲れ様です。それを伝えるためにわざわざ電話してきたとは思えないけど何かあった?

真海に相談したくて電話してさ。初めてのお給料で智遥とファミレスで食べに行くことになったけれどそこで何かを渡したいなって思っていて女の子って何をもらったら嬉しいのかなって思っていて……。

そういうことね。あと1ヶ月後にはクリスマスあるから高いものはそこで渡せばいいから今回はハンカチやボールペンといった普段使い出来るものの方がいいかな。智遥なら何もらっても嬉しいと思うけど。

真海、ありがとう。ハンカチあげることにするよ、じゃあ今から電車に乗るから電話切るね。

電車に乗っている時にネットでどんなハンカチを渡したら喜んでもらえるか見ていた。だがどういうのがいいのか分からず明日智遥に会う前に百貨店に行って聞くことにしようと決めた。

翌日、学校帰りに簑谷百貨店に行って店員さんに女の子にハンカチを渡したいのですがどういったものを渡したらいいか分からず教えてもらえますか?

店員さんは女の子の写真見せてください。

僕は写真を見せていくつかの候補もいくつか見せた。どれが智遥に似合うのだろうか……。

ピンク色の花柄はどうですか?きっとお似合いだと思いますよ。

僕はじゃあそれでと会計をしてプレゼント用の包装をしてもらってカバンに入れて電車に乗った。これで智遥が喜んでくれるかなと楽しみにしていた。

家に帰っても中々寝付けず明日の食事とハンカチはこれでよかったのかなと考えていたら夜が明けて朝になっていた。

僕は寝不足で電車の中で寝ていると尼阪駅で智遥と真海が乗車してきた。ふと目を覚ますと2人の姿があり、おはようと挨拶をするとまた眠気が襲ってきて再び寝てしまった。

真海は拓実君眠そうだから寝かせてあげよう。簑谷駅に付いたら起こしてあげようよ。

そうだね。真海、たっくんの寝顔見て?無防備でかわいくない?ツンツンしたらダメだよ。

やだな智遥、そんな事しないよ。こんなかわいい寝顔している男の子を起こすことしないよ。

僕は智遥と真海の声は聞こえるもののそれが夢なのか現実なのか分からなくなっていた。そして簑谷駅に着いてたっくん起きてと智遥に起こされた。

智遥、おはよう。

おはようじゃないよ、早く降りないと遅刻しちゃうよ。たっくん、早く。

僕は駅を降りて学校に向かい眠いながらも授業を受けてお昼ご飯を食べたら目が覚めた。午後の授業も終わり簑谷駅で智遥を待っていた。

1時間後、智遥がやって来た。

智遥〜、こっちこっちと手を振っていた。この辺りにファミレスってあった?

簑谷百貨店の地下街にあるから一緒に行こう。はい、手を出して。

僕は智遥の手を繋いで地下街に向かって行った。

お店に入って僕は抹茶プリン、智遥はイチゴパフェを注文した。

僕はデザートを食べるなら喫茶店でもよかったのではないかと智遥に質問した。

智遥は指を振ってたっくん分かってないね。この辺りで抹茶プリンとイチゴパフェを食べられるカフェや喫茶店ないからプリンやパフェを食べたい人はここに集まるよ。最近はファミレスもスイーツに力を入れていてあなどったらいけないよ。

そんなに美味しいなら楽しみだなと待っていた。

しばらくしてプリンとパフェが運ばれてきて僕と智遥はお互いに食べ合って2ショットを撮った。

智遥に渡したい物があってとハンカチを渡した。

たっくんありがとう。中身はなに?

智遥、開けてみて。気に入らなかったらゴメンね。

智遥は袋を開けるとかわいいハンカチ、たっくんありがとう。かわいすぎて使えないな〜。

僕は喜んでもらえて嬉しいけれど日常的に使えるもの買ったから使ってくれなきゃ困るよ。

そうだよね。たっくんとのデートの時に使うね。

こんな優しくてかわいい彼氏がいて私は幸せだよ。いつもありがとう。大好きだよ、たっくん。

僕の方こそこんな優しくてかわいい彼女がいて幸せ者だよ。智遥、大好きだよ。

そして僕は会計をしてお店を出た。


紅葉狩り

季節が進み夏から秋になり、木々を見渡すと葉っぱは緑から赤黄色に変わりつつあった。僕は尼阪線でその様子を見ながら智遥と一緒に紅葉狩りが出来たらいいなと1人で思っていた。

ある土曜日にアルバイトが休みで尼阪線で紅葉が有名な所がないか調べていると有名なスポットを見つけた。それは実希の最寄り駅でもある坂川駅は紅葉のスポットとして僕は1人で行ってみることにした。

定期券で坂川駅に降りると自然豊かな所で山々は赤黄色でキレイで近くには川のせせらぎが聞こえてきて実希はいい所に住んでいるなと感じていた。紅葉している所に進もうとしているとたまたま実希と遭遇した。

あれ?拓実君こんな所で何しているの?

智遥と紅葉狩りしたくてネットで調べたら坂川駅が紅葉スポットだって乗っていたから下見に来た感じだよ。実希は今からどこか行くの?

暇だから散歩でもしようかなって。紅葉狩りの下見とはいえこんな田舎に来たね。降りてビックリしなかった?

こういう自然豊かな所好きだから感動したよ。川の粼も聞こえてきて実希はこの自然で育ったのかって思いつつ歩いていたよ。

小さい時は周りを見渡しても山と川しかなかったから都会に憧れていたけれど今は電車も走っているし不便だけどいい所だなって思うよ。そうだ、地元民しか知らないオススメスポットがあるけれど一緒に散策する?智遥じゃなくてゴメンね。

実希までいじらないでよ。真海やチアリーディング部の人たちにイヤというほど色々と言われているのに……。

だってそんなの無視すればいいのにいちいち反応してその姿が愛おしくてかわいいからだよ。じゃあ全く弄られないで1人なのと女の子に弄られてわいわいするのどっちがいい?

それなら弄られてわいわいしたいよ。

拓実君、素直でよろしい。オススメスポットは夕暮れからだからそれまで私の家に来てゲームでもする?拓実君が好きなゲームあるかわからないけど。

ここでずっと待っていても仕方ないからホントにお邪魔じゃなかったら行ってもいいかな?

四の五言わずに私に付いてこないとおいてくよ。

僕はひょんなことから実希の家に行って時間を潰すことになったが女の子の家を時間つぶしに使ってよいものだろうかと自問自答していた。

坂川駅から歩いて10分、実希の家に着いて家に上がった。智遥の家にお邪魔して2度目の女の子の家だが何度行っても女の子の家は緊張するな。

実希は僕を自分の部屋に通して拓実君麦茶とプリンでいい?

僕は正座をして待っていた。

そして実希が部屋にやってくると拓実君どうして正座しているの?足が痺れるから崩しなよ。

いや、女の子の部屋に入るってことで緊張していてずっと正座しているので大丈夫です。

そんな全身に力が入っていると疲れるよ。さぁ足を崩してゆっくりしていいよ。女の子の部屋に入るだけで緊張するってやっぱり拓実君かわいいね。ゲームだけどレーシングゲームと音楽ゲームどっちにする?

じゃあ片方ずつやろうかな。実希がゲームするって意外だな。ゲームのイメージなかったから。

弟がゲーム好きで私もやっていたら好きになっていた感じかな。じゃあまず音楽ゲームしようか。

2人で音楽のリズムゲームをやっていて僕は全然リズムが取れず負けっぱなしだった。

僕はレーシングゲームしようよ。今度は絶対に負けないからね。

拓実君って負けず嫌いだね。智遥と一緒で似た者同士だねとゲームを取り替えていた。

レーシングゲームしていて実希に勝つとやった、もう1回対戦しようと何回もやっていた。

それから2時間、日が傾いてくると拓実君じゃあ今から山に行こうか。ビックリして感動すると思うよ。

僕は実希の家を出てどんな景色を見られるのか楽しみ、きっと見たことのないものが見られるとワクワクしていた。

山奥に進み周りは赤黄色の景色に感動していたが実希は足を止めずに先に進もうとしていてこれ以上のものがあるのかと首をかしげていた。

実希は足を止め、拓実君、しばらく待っていてね。

しばらく待つ?ここで何を待ったらいいのか?

10分後、日没の時間か近づき山に陽が沈もうとしていると山の赤黄色が反射してより一層キレイに見えた。思わず僕は見蕩みとれていてスマホで写真を撮るのを忘れていた。

実希、ありがとう。素晴らしい景色を見させてくれてありがとう。きっと智遥も喜ぶと思うよ。

智遥とのデート楽しみだね。よかったら2人のラブラブ写真をライングループに載せてよ。弄るかどうかは分からないけれどね。電車も少ないから早く駅に行かなきゃ電車に乗れないよ。

僕は実希の後押しもあり、最高のスポットを見つけた。

僕は電車の中で智遥に来週のいつ部活休みかラインで送った。すると木曜日は部活休みの日になっているからその日であれば時間あるよ。何かあった?

智遥と紅葉狩りに行きたいなって思って。木曜日なら部活もアルバイトも休みだから一緒に行こう。オススメのスポットがあるからさ。

嬉しい。どこの駅だったか尼阪線沿線で紅葉がキレイに見えるところあるからそこかな?

それは当日のお楽しみ。場所はナイショだよ。

もう、たっくんのイジワル。楽しみにしておくね。

僕は早く木曜日にならないかなと思っていた。

木曜日、授業後に学校から走って簑谷駅で智遥が早く来ないかと待っていた。僕が見たあの景色を智遥が見たらどんな顔をするのか、考えるだけでニヤニヤしていた。

たっくん、なにニヤニヤしているの?

いや、ちょっと考え事していただけだよ。智遥行こうか。今から見る景色は絶景だよ。

そんなにハードル上げて大丈夫?

僕と智遥は尼阪線に乗って坂川駅で途中下車した。

私が前に見た車窓からみた紅葉は坂川駅だよ。こんな近くで見られるとは思わなかったよ。ちょっとたっくん、どこまで行くの?

僕はいいから付いてきてと智遥を促した。

山の中腹で足を止めてここでしばらく待とう。

結構山奥まで来たけど陽が沈むと危ないよ。たっくん早く駅に戻ろうよ。

智遥、上を見上げて。

すると紅葉が夕陽と重なりとてもキレイな光景で智遥の方を見ていると感動のあまり涙を流していた。たっくん、こんな素晴らしい場所に連れてきてくれてありがとうと抱きついた。よくこのスポットを知っていたね。スゴいよ。

実は……。坂川駅が紅葉スポットっていうことは知っていたけれどここは実希に連れてきてもらって是非智遥にもこの景色を見て欲しいなって思って、

もうたっくん正直すぎ。そこはウソでも僕が発掘した紅葉スポットだよ。スゴくないって言えばいいのに。ウソを付かず素直で正直な所がたっくんのかわいい所だけどね。陽が落ちて怖いから手を繋いで降りよう。

僕は頷いて坂川駅に向かった。

駅に着いて2人で肉まんを半分ずつ食べて電車を待っていて僕は次はクリスマス、どこに連れて行ってあげてプレゼントを渡そうかと考えていた。


クリスマスの計画

智遥と紅葉狩りを終えてあっという間に紅葉の時期が過ぎて寒さも一層増してきた。

次はクリスマス、どうしたらどこに連れて行けば女の子は喜ぶのか?女の子は何をもらったら喜ばれるのか考えていた。

自分で考えていても案が浮かばない、ライングループで真海と実希に聞こうとあっさり自分で考えることを諦めた。

「クリスマスだけど男の子にどこに連れて行ってもらったら嬉しくて何をもらったら嬉しい?」

真海はもうクリスマスのこと考えているの?ついこの間紅葉終わった所だからそんな急がなくてもいいと思うよ。私ならイルミネーション行って普段買えないような物をもらったら嬉しいかな。

実希は真海、それだと抽象的過ぎて拓実君が困っちゃうよ。私は値段がいくらというよりも智遥のために何を買おうかって考えてくれたと分かるものだったら嬉しいかな。かわいいハンドタオルとかプレゼントしたら喜ぶと思うよ。私が智遥ならチアリーディングの練習して汗かくしちょうどいいかな。

さすがお姉さま方、いつも的確なアドバイスをありがとうございます。

2人は煽(おだ)てても何も出ないよ。真海は他に聞きたいことある?

クリスマスってトクベツな日だからディナーは何かいいものを食べたいかなって思うけれどどんなお店に連れて行ってあげたらいいかな?

拓実君の気持ちは分かるけれど2人とも高校生だしあまり値段が高いところ行くと智遥も申し訳ない気がするからいつも行っているお店よりちょっと値段が高いくらいの方が逆にいいと思うな。真海はどう?

私が智遥の立場なら高すぎるお店に連れて行ってもらったら逆に申し訳ない気がするしそれに見合った何かをしなきゃいけないと思うからいつも行っているお店でいつもは頼まないメニューを頼むくらいでいいと思うな。

僕は届いたラインを見てふむふむと頷いていていつも高級感漂うようなお店じゃなくて高校生でも行きやすいお店でいつもより少し高めのメニューを注文しようかな。また何かあれば聞いてもいい?

実希はいつも私たちを頼ってくれてありがとう。真海はあくまでもいち意見で鵜呑みしないで最後は拓実君が決めてね。ホント智遥のことが好きで大切にしようとしているのがよく分かるよ。

いち意見か〜。ならば小林先生にも聞いてみたいなと考えた。

翌日、授業後に部活で質問した。

「小林先生はクリスマスどんなお店に連れて行ってもらってどんなものをもらったら嬉しいですか?」

榎本君、藪から棒にどうしたの?

実は彼女と初めてクリスマスを過ごすので男として当日のデート、ディナー、プレゼントこの3つをどうしようか考えていて……。

高校生なのにスゴいね。高校生だから一緒にお揃いコーデしてちょっと高めのお店に連れて行ってあげてプレゼントは普段買えないものをあげたらいいと思うよ。クリスマスはカップルにとってトクベツな日だからね。大事にしてあげなよ。

お揃いコーデか〜、考えもしなかったな。後はディナーとプレゼントを何にするか考えなきゃな。

この日からアルバイト代を使って高校生が入っても大丈夫な場所、浮かないようなお店を探し歩いていた。

電車に乗って帰っている時、智遥にお揃いコーデしたいから今度一緒にアパレルショップ行かない?

いいよ。たっくんとお揃いコーデ、私もしたい。じゃあいつ行く?

僕はアルバイトのシフト確認したらまた連絡するねと返信した。

5分後に月曜日と木曜日、土曜日の3日かな。

じゃあ木曜日は部活休みだから簑谷駅で待ち合わせでいいかな?

うん、じゃあそれで。駅に着いたらまたラインしてね。家に帰ってスマホで色々と調べていた。

木曜日、学校で僕はテンションが高かった。クラスメイトから榎本鼻歌歌ってどうした?こんな寒いのにどうしてそんなテンションが高いの?

僕は別に何もないよとクラスメイトをはぐらかした。授業後、僕は寒いこともあって走って簑谷駅に向かった。走ったのに全然温かくならない、どうして?そう考えつつスボンに手を入れて待っていた。

しばらくすると智遥がやって来た。僕は寒いから手を繋ごう。

たっくんかわいい。智遥はニコッと笑って手を繋ぎ駅前のショッピングモールにあるアパレルショップに向かった。

何がたっくんに似合うかな〜?このパーカーかわいくない?そう言って智遥は僕にパーカーを当てた。

似合うね。たっくんに似合いそうなのはベージュ色かな。試着室で着て見せてよ。

僕はベージュのパーカーを着て智遥に見せた。

たっくんベージュ似合っていてかわいい。

智遥が喜んでくれるのならいいか。じゃあ智遥は何色のパーカーにする?

たっくんは私、何色が似合うと思う?

僕はパーカーの種類を見て赤色、水色、ベージュ色、白色、黒色と多種多様の色があってその中にあるベージュ色、白色、黒色の3種類を提案した。

智遥に1つずつ着て欲しいとお願いするとたっくんはこの中でどれがいいと思う?

僕はこの3つの中なら水色がいいと思うよ。

じゃあ私は水色、たっくんはベージュ色で決まりだね。せっかく来たから他のものも見てもいい?

勿論だよ。他にもいい物があればいいね。

ねぇこれ見て?このマフラーかわいい。たっくんこれ首に巻いてみてよ。

ホントたっくん似合っている。これは同じ色にしよう。寒い時って手袋ってする?

毎年手袋買うけれどどこかで無くしちゃうから最近はあまりしないかな。

そっか……、じゃあこれだけにしようか。今日は私が支払うね。

2人で同じ水色のマフラーをしていると智遥は嬉しそうに僕の顔を見ていた。尼阪駅で智遥は駅で降りると手に息を吹きかける姿を見てかわいい一面を見れた。

車窓を見て智遥がホントに自分の彼女とは思えないほどかわいい女の子で釣り合うような男にならないと智遥が冷やかされると思った1日だった。


クリスマス

12月になり、寒さもより厳しくなっていた。ホントにかわいいハンドタオルでいいのか分からずショッピングモールのクリスマスコーナーを覗いていた。

何がいいのかなと色々なお店を見ているとインテリアショップを見つけた。

僕は店員さんに声をかけた。すみません、彼女にクリスマスプレゼントをあげたいと考えていますがどういったものが人気ありますか?

最近はスノードームが人気ありますし、定番のものですとコップも買っていかれる方もいますよ。

見ているとガラスや陶器のコップはあるがブラスチックのコップはないかと探していた。

そしてプラスチックで子犬が描かれているかわいいコップを見つけ、スノードームと一緒に購入をして電車に乗って家に帰った。

僕は最近、スノードームっていうのが人気あるのかとトレンドにうといことに改めて気づき子犬のコップも買えたしよかったなと感じていた。

後はクリスマスにどこに行くか考えなきゃ。夜にイルミネーション見に行くにしてもそれまでずっとテーマパークでずっといるのはいかがなものかと考えていた。ひとまずネットで調べることにした。

色々と調べていると全国的に見ても動物園や水族館がランキングに入っていることからどっちかには行きたいな。贅沢言えば動物園と水族館の複合型施設みたいなものがあれば1番いいのにな……。

調べていると尼阪マリンズーランドという僕の願いが通じたかのような施設を見つけてここに行ってからイルミネーションスポットからディナーを食べに行く、このプランで行こう。でも不安だから念のためにグループラインで尋ねた。

クリスマスデートで尼阪マリンズーランドに行ってイルミネーションスポットを見てからディナーっていうプランを考えていますがどうでしょうか?

マリンズーランドって動物園と水族館の複合型施設でしょ?よく見つけたね。いいと思うよ。真海はどう思う?

私もいいと思うよ。智遥は動物好きだからきっと喜ぶと思うよ。ラブラブ写真送りつけてね。

僕はなるべく写真撮って送るようにします。

2学期が終わり、冬休みになった。智遥は冬休み中もバスケ部やバレー部の応援に向けてチアリーディング部として汗を流していた。

どの運動部がいつ大会が行われるのか確認しておいた方がいいと思い僕も逐一調べるようにしている。

バスケ部とバレー部は1月半ばに大会が行われるならクリスマスデートに誘っても大丈夫かな?計画ばかり考えていて大会等と被っていては元も子もない。念のため、智遥にラインで確認した。

クリスマスイブだけど部活とか入っている?

すぐ返信が来てクリスマス空いているよ。たっくんデートしようね。私が考えた方がいいかな?

僕はもうクリスマスデートのプランは考えているから大丈夫だよ。楽しみにしていて。

たっくん頼もしいね。楽しみにしているよ。せっかくならクリスマス、お揃いコーデしようよ。尼阪駅に午前9時集合でいいかな?

僕はいいよ。お揃いコーデデート楽しみだよ。

クリスマスデートをすることが決まってホッとしていた。

クリスマスイブ前夜、ボクは中々寝付けず早く寝ないと明日に影響するからと目を閉じただけで朝になってしまった。

ベージュのパーカーを着て水色のマフラーをカバンにプレゼントを入れて家を出た。スノードームをカバンに入れているため電車も座る時にはカバンをおろして手で持っていた。

「次は尼阪、尼阪です」

あっという間に尼阪駅に着いてホームを降りると智遥が待っていた。たっくんおはよう。

智遥おはよう。改札の前で待っていてくれればよかったのに中まで入って待っていてくれてありがとう。

たっくん、電車に乗る?それともここで降りる?

尼阪駅でに行きたい所あるからここで降りるよ。

僕と智遥は定期券をかざして改札を出た。

それで今からどこに行くの?

尼阪マリンズーランドって所だけど場所分かる?

智遥は分かるよ。連れて行ってあげるから手を繋ごう。歩いて10分くらいだから近いよ。

たっくんも動物好きって意外だな。動物園にいる子も水族館にいる子もかわいい子たちばかりだから楽しみにしていてね。

この話を聞いて僕はどうやら常連のようで幸先が悪いのかなと不安に思っていた。

僕は2人分の入場券を買って中に入った。

智遥は手招きをしてまずコアラを見ていた。今日もコアラちゃんかわいいとスマホで写真を撮影していた。たっくん、次行くよ。

え?もう行くの?もうちょっと余韻(よいん)に浸らなくていいの?

ここは広いからひと通り見てからもう1度見たい子がいればそこに戻って見るのがここのツウだよ。

僕は始めて来たことだし智遥に任せることにした。

その後、ジャイアントパンダやレッサーパンダ、コツメカワウソ、タヌキを見て写真を撮ってはスマホを渡されて動物たちと一緒に写真を撮っていた。

気がついたらお昼になり、智遥はお弁当を作ってきてくれた。たっくんのために早起きして作ったよ。

僕は朝早くからありがとう。嬉しいよ。

たっくんのお口に合うか分からないけれど一生懸命作ったから食べて。どれから食べる?

僕はお弁当を見て揚げ物のだらけかと思いきやサラダや玉子焼き、揚げ物の彩りにもこだわっていてスゴいなと感じていた。

じゃあ玉子焼きから。

「アーン」

美味しい。智遥美味しいよ。

たっくんが喜んでくれてよかった。もっと食べて。

かわいくて運動能力が高く、料理まで出来るって非の打ち所がない完璧な女の子だ。

智遥、聞きたいことがあってさ……。

たっくんどうしたの?お弁当美味しくなかった?

お弁当は美味しいよ。だからこそ聞きたいことがあって智遥のニガテだなとかこれが不得意とかある?

ニガテなものは裁縫かな。針通しないとまともに糸が針に通らなくて。後は自他ともに認める音痴なことかな。勉強は平均的な感じかな。もうお弁当食べない?

いやいや全部食べさせていただきます。

僕はお弁当を食べ終わり、智遥から質問された。

たっくんのニガテなものは何?

僕はお化け屋敷、ジェットコースター、数学、英語、飛行機かな。

ジェットコースターと飛行機がニガテって高いところがダメってこと?

ジェットコースターはフワッとする感じも落ちる感じもイヤだし、飛行機はキーンって耳が痛くなるからあまり好きじゃないかな。

じゃあもし私が飛行機乗ってどこか行きたいって言ったらどうする?

智遥には申し訳ないけれど離着陸時にはずっと智遥の手を握っていると思うよ。

そんなかわいいことしてくれるの。国内でどこか行く時には飛行機で行こうね。

僕はイヤだよ。飛行機降りた時に泣いていたら智遥にも恥ずかしい思いをさせちゃうよ。

私はたっくんのそういう姿もかわいいと思うけどな。どうするかまた考えておくね。

もう智遥のイジワル。お弁当食べたし次行こうよ。

じゃあ次はマリンコーナー行こうか。ここにもかわいい子たちが沢山いるよと笑顔で僕に微笑みかけた。

智遥はシロイルカ、ペンギン、クラゲを写真に撮ってスマホで写真を撮った。歩いているとイルカショーが行われると館内放送で流れた。

たっくんイルカショー見に行こう。

僕と智遥はイルカショーの会場に行って待っている間にインカメラで2ショットを撮った。

イルカショーが始まりかわいいイルカちゃんたちが健気に演技している姿に僕も智遥も感動していた。

30分経って終わると出口の方に向かって歩いているとブリクラがあって智遥は僕に声をかけた。

ねぇたっくん、プリクラあるから一緒に撮ろう。

僕と智遥は200円ずつ入れてプリクラを撮った。

2枚のプリクラを取って外に出ると夕暮れになっていてベンチに座って再び喋っていた。

日没になると尼阪マリンズーランドにある動物のモニュメントは点灯した。智遥は感動のあまり1つ1つ写真を撮って周り、入口で僕と智遥は従業員の人に2ショットを撮って後にした。

「ぐぅ〜」

僕はお腹が鳴った。

たっくん晩御飯食べに行こうか。何食べる?

実はもう行先は決まっているよ。予約してあるから智遥、行こうか。

尼阪マリンズーランドから徒歩10分、高級オムライス店に向かった。最低金額は3000円からと高校生が来るにはちょっと高めの設定となっているがクリスマスだから奮発したいし美味しいものを食べたいと思っていた。

たっくんよくこんなオシャレなお店知っていたね。私、最寄駅なのに初めて来た。

僕は今度は初めての所でよかった。

智遥はホワイトソースのオムライス、僕はハンバーグオムライスを注文した。

そして僕はカバンからクリスマスプレゼントを取り出した。

智遥、クリスマスプレゼントどうぞ。

たっくん開けてもいい?えっ、かわいい〜。スノードームもこのプラスチックのコップもかわいい。

後、もう1つあるよ。

えっ、まだあるの?何が出てくるの?

僕は手紙を取りだした。

「智遥へ

いつもチアリーディングで運動部の応援、そして大会で活躍する姿を見て感動しています。僕が入学式の2日目、ある女の子が痴漢されていて僕は本能のまま助けらなければと身体が勝手に動きました。そしてあの日から僕は智遥のことが好きになり、今こうして智遥と恋人関係になれたことは奇跡だと思います。まだまだ頼りない彼氏ですが末永く宜しくお願いします 拓実より」

そして僕はそのまま手紙を智遥に渡した。

たっくんありがとうと僕の頭を撫でて抱きしめた。

私からもプレゼントがあるの。

これ、手編みのセーター作ってみたの。

さっき裁縫ニガテって言っていたのにどうして?

裁縫ニガテだけどたっくんがいつも寒そうに凍えているの知っていたから自分のニガテを克服したいから頑張って作ったの。だから着て欲しいな。

智遥、ありがとう。大事に着させてもらうよ。

オムライスを食べて僕と智遥はお店を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る