第126話 反省(10月19日)

 正しく、今日の二日酔いというのは人生でも三指に入るほどの酷いものであった。

 少々の深酒であれば這ってでも出社し、そのまま調子を取り戻すのであるが、流石に布団から起き上がるのが難儀であり、お手洗いから離れることもままならぬ状況とあっては観念せざるを得なかった。

 情けない、という言葉は私の肝臓の能力に向けられたものではなく、それを知らずに飲み続けた自分への罵倒である。

 しかし、以前であれば問題なく飲み干せた量でここまでの酷い事態となったのは何故かと思いを馳せざるを得なかったのであるが、要は飲み過ぎであるというのは経験ではなく学習で知っている。


 ただただ上司と同僚に平謝りして遅出にて出社すると、私も珍しく年相応に恥という概念が頭をもたげてくる。

 とはいえ、その瞬間も具合の悪さを悶々と抱えての対応であったためか、さらに心配されてしまった。


 それにしても苦玉が魚の肝臓であるというのはこうした時に痛感させられる。

 胆汁の苦味というのはそれだけで具合の悪い時には辛いものであり、私が生きているということを強く感じさせる。

 そうした時、私は肝臓に心からのお詫びを捧げながら、酒という心の潤滑剤から自由になることができる。


【本日の出来事】

◎関東のローソンにて ウィンナー五本弁当を発売

 健康やら味の工夫やら小難しい話ばかりをして金額が上がっていくのであれば、それは小市民にとって何の利もない話となってしまう。

 単純でありながら十分に満足を得られる商品というのは、日常的に用いるものであるかは別として選択肢としてあっていいのではないか。

 ただ、この青いコンビニにはパッケージが同じ顔をするようになってからほとんど足を踏み入れていない。

 同じ色での塗りつぶしを怖いと感じぬようになった時、私はこの筆を折ることになるのだろう。

◎ミシュラン 和歌山に二つ星店

 伺ったことのある店がミシュランの何かに載ったことはあるのだが、それに載った店を伺ったことは記憶にある限りない。

 それもはしご酒イベントで立ち寄っただけであるため、高尚な在り方よりも酒飲みとしての本性の方が色濃く出た結果と言うべきだろう。

 ただ、それでも良い、というよりもその方が良い。

 私には有名な店よりも自分が気に入った店で、気ままに一杯やる方がどうにも板についているようである。

 小市民の悲しい反発心とでも言うべきであろうか。


【食日記】

朝:ヌク

昼:ヌク

夕:ヒレカツ、シュウマイ、豚肉と大根の甘辛煮、麦飯、ウィスキーお湯割り2

他:ハンバーガー

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