第123話 タイム・パラドックス(10月16日)
以前、タイムマシンの話をしていた際に、過去に戻って歴史上の遺物を持ちかえれば色々と儲かるのではないかと推論したことがある。
ただし、歴史的な名品では事象をあまりに大きく改変することになってしまうため、日用品などを持ち帰る程度に抑えて置けばよいのではないか、と。
それこそ、縄文土器や埴輪などを幾つかいただいてくる程度であれば、良さそうなものである。
しかし、先日何かで過去の品物に含まれる放射性同位体の数を測定することで、実在した時代を確かめる方法があると知った。
なるほど、科学の進歩による悪さというのは、科学の進歩によって防がれるということかと舌を巻いたものである。
我々は過去から現在を変える能力は持たないものの、現在から未来を変える能力には満ち満ちている。
たとえそれが小さな力であっても、それを信じている人が増えることで大きな力となるのである。
ただ、この内容で選挙の話かと勘繰られた方は、非常に高尚な精神をお持ちである。
このようなことを声高に叫び、私は三月ぶりに全開の夜の街へと繰り出しただけである。
【本日の出来事】
◎下院議員刺殺 イギリス
これを他所の話として軽視する者もあるのかもしれないが、日本でも長崎の市長は二代続けて銃撃され、前市長はそれで命を失っている。
いかなる理由があれ、共和制国家において議員の暴力的な排除は最大の敵であり、これが繰り返されぬようにせねばならぬ。
とはいえ、あまりに見苦しい議員や首長がいることもまた事実であり、それをどのような手法で健全化を図るかは検討に値する。
一つは解職請求手続きの緩和だが、乱発されてしまえば陶片追放と変わらぬようになるため難しい塩梅である。
強いて言うのであれば必要署名を一割にするまでか、いやこれでも解職に対しては軽すぎようか。
◎希少なラン大量盗掘か 奄美大島
実家で暮らしていた頃、夜来香を生垣に植えており、夏の夜にはその香りで満たされたものである。
近所の方に接ぎ木を頼まれたこともあるようで、母もそれに快く応じていた。
それがある時、根こそぎ刈り取られてしまい、夏の風物詩を他所に求めるしかなくなった。
道を歩いていると、老齢のご婦人がスコップを片手に花壇へ近づく姿を時に見るが、その度にあの甘い香りが思い出され、何とも切なくなってくる。
【食日記】
朝:ヌク
昼:おろしとんかつ弁当、味噌ラーメン
夕:鶏つくね2枚、とり天(梅おろし)、おでん(白滝)、穴子天、丸天、焼きうどん、ぜんざい、瓶ビール、日本酒3
他:おーいお茶
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