第112話 呪いを装う(10月5日)

 一国の首相の時計一つで盛り上がれるというのはそれだけ平和なことなのかもしれないが、それと同時に何とも情けなくなってくる。

 もし外交の席で代表が、高い時計を着けていたとしてもそれは非難されるよりも快く受け入れられるのではないか。

 それだけ「時間」というものに価値を割き、それだけその場に割いた「時間」というものの価値を高めるのだから。

 ただ高ければいいという訳でもなく、何らかの外交の場で頂いたものや何らかの理由で長く大切にしているものであっても十分に価値がある。

 時計の話をするのであれば、そうした視点があっても良いのではないか。


 何かを揶揄するというのは、すればするほど自分自身を危険に曝す行いである。

 自らの価値観を以って他者を論じていく以上、刃は自分にも向けられていく。

 では、この刃を報道関係者などに向けてみれば、これよりと等価以上のものを身に着けていれば庶民生活を慮ることができなくなってしまう。

 ワイドショーなどは放送禁止になってしまうのではないかと心配するが、いかがだろうか。


 いずれにせよ、木を見て森を見ずを繰り返していては話に点が付いてしまう。

 施策の問題点と改善点とを丹念に拾い上げるという地味で一見すればつまらないことを、地道にやるより他にあるまい。


【本日の出来事】

◎JOC山下会長 かじられたメダルの交換完了を公表

 本件についてはJOC側が幕引きを図るよりも、名古屋市長側が幕引きを図るべき案件ではないかと思うのだが、選手側がどのような理由であれそれを希望するのであればここで打ち方も止めるべきであろう。

 ただ、五輪選手の表敬訪問が必要であるのか、確かに色々と考えさせられるきっかけとなったのも確かである。

 思い返すのは、何かの選手権でホワイトハウスに招待された少年たちをもてなすためにトランプ前大統領がハンバーガーなどを大量に並べた話である。

 予算執行停止に伴う調理機関の休止に対するためであったと記憶しているが、似たような案件で株を上げるか下げるかはその人の心持一つ次第であろう。

◎フランスカトリック教会で性虐待三三万人

 一九五〇年以降の推計とのことであるが、天国へ人々を導く者が地獄を味わわせるというのは何とも皮肉が利いている。

 これまではその権威によって隠してきたのか、それとも、硬貨の落ちる音を以って贖罪としていたのか。

 いずれにせよ、こうした調査が行われていることは大きな一歩である。

【食日記】

朝:ヌク

昼:のり弁、鶏だし蕎麦

夕:皿うどん、麦飯、ウィスキーお湯割り

他:おーいお茶

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