第107話 からころと下駄を鳴らして金の畦(9月30日)

 生来あまり着る物に頓着しない人間ではあるのだが、読んでいる本の影響からか和装で過ごしたいという気持ちが強くなっている。

 無論、良い着物であればそれなりにするため、あくまでも安物を中古で買うしかないのであるが、落ち着いた色合いのものを数着手にしたいと思っている。

 今は浴衣と着物を合わせて二着しか持たぬが、折を見て増やす予定にしている。


 それにしても、気になって探してみると中古で流れている男性用の角帯が少ないことに気付かされる。

 やっとの思いで見つけたと思ったら帯ベルトであり、気付かずに買ってしまったということもある。

 これも簡便であるため重宝するのだが、遊びで着て行くとなればやはり角帯が様になる。

 こちらもあと数本欲しいのであるが、気長に集めたい。


 ただ、和装への憧れは見た目の良さよりも、ゆったりとした雰囲気に対して向けられている。

 普段着の洋服というのは運動性に優れているが、どうしても時間への焦りを生んでしまう。

 一方、和装は行動が制限される部分があり、激しく動くには少々不便を感じてしまう。

 それは裏を返すと自らを縛ることで時間の余裕を得ようとすることに繋がる。

 どうしても焦りがちの日々に、戸の内や休みぐらいは悠然と過ごしても良いのではなかろうか。


 とはいえ、これで街に出るとなると少々気恥ずかしい。

 その初々しさが消えた時、私の和装は本格的に時の流れを変えることだろう。


【本日の出来事】

◎熊本日日新聞 夕刊を休止

 単純に見れば夕刊の持つ意義ネットの普及によって薄らいだとみるのが適当であろう。

 新聞そのものの意義がなくなったとは思わないが、時間をかけて内容を読み下すことができるという長所を考えれば、朝刊に記事を集中させて記事の質を高めた方が良い。

 選択と集中、というのは新聞社が民間企業である以上は必要な判断であるのだろう。

 しかし、夕方を前に原付などを駆って家々を回るという風物詩がまた一つ消えるというのは少し寂しい。

 果たして配達されていた方々がどうなってしまうのか、最後の夕刊を配る男性の背を見詰めながら思いを馳せずにはいられなかった。

◎テレビ東京 ニコニコチャンネル閉鎖

 ネット同時配信や独自サイトに絞った配信への布石ではないかと思うが、個人的には少しだけ距離が空いてしまったように感じる。

 ただ、金はなくとも冒険心はあるように見受けられるので、陰ながら応援することとしたい。


【食日記】

朝:コロッケバーガー

昼:ごつ盛り醤油

夕:唐揚げ、ジャガイモとキャベツのカレー炒め、日本酒

他:おーいお茶、オレンジジュース

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