第100話 庭球で飛び出すホームラン(9月23日)
私は前職でゴルフをしたことがあるが、そもそもからして運動が苦手であった私には荷の重いスポーツであった。
取引先にゴルフ場があったためそこを利用して知見を広げよということであったが、初めてのラウンドはギブアップなしで二四〇打。
当時の上司から、
「人の三倍楽しめてよかったじゃないか」
と大いに労われ、笑われたものである。
とはいえ、元よりできぬものというのは私も分かっていたため然程に気にせず、後ろに使えぬように全力で駆けながらボールを追いかけたものである。
恐らく、今であればあそこまで駆けるのは難しいだろう。
面白かったのは、当時の上司や先輩方が下手な私を叱責せずに、笑ってみて下さったことである。
ここまで酷ければ怒鳴り飛ばされても文句は言えぬのだが、終始褒められはせぬものの、怒られることはなかった。
いや、ひとつだけ褒められたことがあった。
「よくそれだけの打数を、走りながら覚えているな」
グリーンの上で悠然と佇む顔が懐かしい。
どうしても人の失敗が目につくものであるが、私の玉転がしを思い出す度に何が幸せであるのかというのを考えさせられる。
新人のレジ打ちが遅い、初心者マークの車が戸惑っている、こうした時に笑って佇むことができるかという問いに自信を持って頷くことができるだろうか。
草原を疾走した私は、きついながらも爽やかな思いがしたが、上司もまたそうした面持ちだったのかもしれない。
せめて一片の余裕は持ちたいものである。
【本日の出来事】
◎カナダの研究「日本のコロナ下での自殺、支援減で増加」と指摘
カナダでは自殺者が減少し、その対比として日本を挙げたそうであるが、それにどれほどの意味があるのかと思ってしまう。
無論、研究としては比較対象が必要であるためそれを指摘するつもりはないが、態々このような論文を探し当てて報道する必要性に首を傾げざるを得ない。
その一方で、カナダでは一五九万人がコロナウィルスに感染し、二万七千人が命を落としている。
日本は一六九万人の感染と一万七千の死者を数えることとなった。
人口四分の一のカナダの状況を見て何を述べたいのか、意志ある報道機関であれば説明が必要であろう。
◎閉館の志摩マリンランドからペンギンお引越し
遊園地の遊具とは違い、生き物の命がかかわるだけに水族館や動物園の閉鎖は難しい問題である。
初めから動物園を失くせば動物を護ることに繋がるという極論は、しかし、同時に動物への愛着を知る機会を失わせるためあまり上策とは思えない。
雨後の筍のように在る必要はないと思うのだが、今後、統合しながらも地域に上手く残す方法をどうにかして考えねばと考えさせられた。
【食日記】
朝:ヌク
昼:おろしとり天弁当、味噌ラーメン
夕:チーズ入りミートローフ、牛肉と大蒜芽の炒め物、アサヒ生ビールマルエフ2
他:おーいお茶
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