第98話 呑兵衛は酒と肴があれば良し(9月21日)
仲秋の名月が満月でありながら雲の向こうというのは中々に愉しい宵であった。
これを畜生と叫ぶのも気持ちは分かるのだが、私はこれを大いに楽しんでしまった。
俳句には無月やら雨月やらの季語があるのだが、これをしみったれた根性とみるか風流とみるかで人生の楽しみは大いに変わるように思う。
なに、酒があれば私は幸せなのだというのはあまりに呑兵衛が過ぎるかと笑いながら過ごす宵は殊に心地よい。
そも月の美しさを眺めながら酒をいただくのが習わしであるが、それを許さぬのが自然である。
その自然に抗いうる最大の武器は人の持つ想像力であり、隠すのであれば心の中に作り出すまでよという謎の気概を持ち合わせている。
それで月を思い浮かべながらニラ玉綴じを作ったのだが、見事に隕石が衝突したように崩れてしまった。
ただそれも無月故の戯れである。
長屋の花見ではないが、月見の肴を遊びに変えるか、月見の主役を遊びに変えるかの違いでしかない。
無い物ねだりをして沈み込んでいくよりも、今あるものを基に残りを想像で補っていく方がより建設的である。
時に高望みは成長を促すが、自然などはどうしようもなく、すぐの変化を望めぬものも同様である。
せめて心安らかに在りたいというのは酔狂が過ぎるだろうか。
【本日の出来事】
◎コロナワクチン二二年度中に実用化へ KMバイオ
国産ワクチンは開発こそ遅れたものの、長期的な利便性を考えれば非常に有益な開発ではないか。
長期的という言葉を用いたが、我々の如何によってこの感染症は長い戦いとなる可能性がある。
海外の状況に左右されず動けるように将来的になるというのであれば、それは間違いなく金星である。
これが不活性化ワクチン出るというのであれば、恐らく扱いやすくより頼もしいのだが果たして。
◎緊急事態宣言 月末解除検討へ
緊急事態宣言による行動制限が何を生み出したのか、しっかりと総括が必要であるのだが、それは今後のためになる内容であってほしい。
無論、言いたいことは山のようにあるのだが、だからといって批判だけで進めても仕方がない部分もある。
今後どのようにしていくかが重要であり、案に不安をあおるだけでも変に楽観的である必要もない。
ただただ相手を論うためだけに成される議論らしきものも必要ない。
零れそうになる涙を堪えるために空を見上げる必要のないよう、雄弁に語るべきである。
【食日記】
朝:ミニかけ蕎麦
昼:鶏唐揚げ炒飯
夕:ニラ玉綴じ、ウィスキーお湯割り4
他:おーいお茶
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