第83話 静かなる少数派(9月6日)

「沖縄の人と在日の人と性的少数者の人たちが次の総理を決めて欲しい」


 これは即ち、マイノリティによるマジョリティ支配という。

 確かにマイノリティの尊重は必要であるが、ノイジーマイノリティの意見が全て飲まれる世界というのは健全ではない。

 そこから一党独裁というのは始まり、やがて全体主義となって完結への道を進むことなればどのような結果になるかは歴史が証明している。

 それこそ静かなる多数派と合流した際には、他国と破滅的な戦争を勧めねばなるまい。

 弱者とは常に相対であり、極端に力を割り振っては全体を損なう結果となる。


 そも少数意見の尊重とは少数派の意見を全て飲めということではなく、多数派の意見を全て押し付けよということでもない。

 常に様々な意見を俯瞰しながら全体の調整をせよという発想である。

 言い換えれば「折り合い」をつけよという発想である。

 皆が全て満足する答えなど出せるはずもないのだから、その中で精一杯の現実的対応を進めていくしかない。

 批判する側は一つの意見を主張するだけでよいのかもしれないが、この「調整」というのが三権の基本的な性質ではないか。

 常に小さな不満をかき集めるため、批判を受けるのが三権の宿命である。

 とはいえ、感情を以って三権を行使していれば取り返しがつかない。

 例えば、交通事故で家族が死亡した場合、発端となった運転手の極刑を求めたとしてもそれは一個人の感情であり批判はできない。

 しかし、それを汲んで死刑判決を出すのであれば、被害者の望みに応じて死刑を出す結果となりその国から人は消えてしまう。

 これは極端な例であり死刑の廃止を論じているわけではないが、量刑の決定も法という基準を以って「適した」ところを見つける作業でしかない。


 理不尽というのは人が他者と生きる限り必ず生じるものであり、そこで折り合いをつける必要が生じる。

 小さな意見を取り上げるなということではないが、それもまた擂鉢に等しく詰められた胡麻の一つでしかない。

 決して外に放りだすようなことはせぬが、これだけ掬い上げるのもまた違う。


【本日の出来事】

◎宮城野部屋全力士 秋場所休場

 残り少ない白鵬の土俵上の姿を見る機会が減ってしまうが、こればかりは致し方ない。

 九州の名を冠することの恐らくできぬ冬場所での雄姿を期待したい。

◎英グラクソ 厚労省に新型コロナウィルス治療薬承認申請

 有効な手立ては着実に増えつつある。

 人類が長きに亘って戦ってきた小さなものとの一大決戦も、少しずつ押し返すより他にない。

 こちらに奇襲がない以上、塹壕の中で耐えるより他にない。


【食日記】

朝:ヌク

昼:豚汁、麦飯

夕:串カツ、焼きそば、肉豆腐、芋焼酎

他:お茶

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