第68話 荒波に消え根無し草(8月22日)

 今度は本気料理祭というものが開催されるようである。

 普段の食事を見ていただけばわかる通り、私自身は大した料理を作ることもできないのだが、それでも挑戦したくなるというのは創作する者としての矜持か何かであろうか。

 いや、そのような大それた思いなど抱くのは稀であるから、今回は丁寧に自らを地獄の窯へ落とし込もうというのがあるのかもしれない。

 事実、何を作ればよいのかという時点で既に悩みが生じている。


 そもそも私が本気で当たる食といえば何かという問いに突き当たるのであるが、それは拙著でも以前述べた通り蕎麦であろう。

 私の自我というものがあればその奥には常に存在し、時間も場所も構わずに誘惑してくるのであるが、それだけに求めるものも複雑怪奇なものとなっている。

 そこで、今回の料理祭では蕎麦を扱おうというところまでは決まっても、その形をどのようにするのかで自らと向き合う結果となった。

 私の奥底にある蕎麦は更科粉を用いた江戸の蕎麦切りであるが、とはいえ、今の私はその枠の中に収まっているのか。

 考えれば考えるほど深みにはまるのであるが、やはり自分の源流である以上手を抜くようなことがあってはならない。

 ひと月、精一杯の智嚢を絞って考えることとしよう。


 横浜市長選が開票され、山中氏が当選した。

 この結果自体には祝意をのみ述べたいと思うが、菅首相はお膝下での選挙を落としたこととなる。

 それが単に失政の結果であるだけならば、襟を正して政治に当たるだけであろうが、自民党の中でも票が分散したというのはそれ以上に憂慮すべき事態ではないか。

 足元を疎かにして勝てる取り組みはない。

 源流を知らずして大海を語るようでは浮き草となるより他にあるまい。


【本日の出来事】

◎豊島叡王勝利 叡王戦最終第五局へ

 豊島竜王が意地を見せ、見事に勝利を収めた一局であったようである。

 それにしても、藤井二冠の敗北を報じるものばかりが流れているが、この一戦は豊島叡王の研究の成果と言え、その熱意はもっと知られるべきである。

 この二人の紡ぐ一局がどのような結果を見せるのか、今から楽しみでならない。

◎防衛省 宇宙作戦部隊増強へ

 この見出しのみでは「スター・ウォーズ」の世界かと勘違いしてしまいそうであるが、その実は人工衛星に対する攻撃や電磁波による妨害などへの対応が主である。

 諸兵科連合が作戦の基本なのであろうが、戦争に入る前に負けてしまってはどうしようもない。

 専守防衛という相手を傷つけずに戦を始めねばならぬ戦略を求められる以上は、その能力を最大限に発揮できる環境の維持は不可欠である。

 泥棒が出てから縄を編んでも遅い。


【食日記】

朝:フルーツグラノーラ

昼:サンドウィッチ(ハム、玉子)、ゆかりおむすび、フルーツ(パイン、チェリー、みかん)、ナゲット、玉子焼き、ミートボール、ガルニ、ちくわサラダ

夕:関東風かつ煮(玉子二ヶ)、ポテマカサラダ、ウィスキーお湯割り4

 普段のかつ煮は関西風の出汁に依ったものとしているが、今日は甘辛く煮て卵を二つばかり落とした。

 白身に包まれた黄身を割ると汁が程よくなり、酒が進む。

 酒飲みの一品と言うべきであろう。

他:おーいお茶

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