第51話 世界史の窓(8月5日)

 世界史の本以外でカノッサの屈辱を目にする日が来ようとは思わなかったが、その流れで目にした呟きにある通り、こうした時に教養は人生を豊かにしてくれる。

 無論、その火種となった出来事はカノッサの屈辱そのものではなく、また同じような変遷をたどるわけではないだろうが、そうした対比もまた楽しみの一つでしかない。

 なに、学校のように試験があるわけではないのだから自由に考え、自由に笑えばいいのである。

 あまりに口煩いのも野暮というものだろう。

 また、そうした出来事を自ら追っていくことで、それまで知らなかったことに気付くこともできるのであるから、単に追い落とすのではなく笑って愉しめばよいのである。


 この騒ぎで私も「仁義なきキリスト教史」なる作品があることを知った。

 どうやらキリスト教の歴史をかの「仁義なき戦い」に寄せて書いたものであるようだが、不敬は承知の上で思わず舌を巻いてしまった。

 グレゴリウス七世が映画向けの広島弁で語り今からカチコミにでも行くのではないかと思わせる筆致は、小難しく書かれがちの歴史を一瞬で融解させている。

 やり過ぎてしまえば作者の命に係わるのではないかと心配になってしまうが、こうした形での歴史小説もまたよい。


 いずれ手を出せればと思うのだが、果たしていつの日になることやら。





【本日の出来事】

◎インド国産空母 試験運行

 空母を持ったという事実は単純にそれのみを指すのではなく、空母を主体とした艦船群が揃い、運用が可能な状態になったことを示す。

 それと同時にその軍の思想的な背骨を差し替える必要があり、どこまでその対応が進んでいるのか気になるところではある。

 中国の空母所有も同様に思想の変化が考えられるため、大いに気になるところではあった。

 今の日本は「ヘリ搭載型護衛艦」を有するが、空母としての運用を進めるとすればそれ以上に意識せざるを得ないだろう。

◎まん延防止等重点措置 八県追加

 この言葉を聞き慣れてしまったかと思うと複雑な心境となるが、果たしてその効果のほどは、と小首を傾げたくなるのは人情というものだろう。

 それにしても、政治責任から辞任という流れに話が行くのはいつものことだが、こうして囃し立てるのは戦前から変わらない。

 勇ましい言葉が並べば並ぶほど、悲観的な言葉が並べば並ぶほど、軍靴を下支えしたものが見えてくるようで末恐ろしく感じる。


【食日記】

朝:ヌク

昼:ヌク

夕:ニラとトマトの煮奴、すき焼き風小鍋立て、日本酒

 元はニラと豆腐の中華風煮であったのだが、それを出汁に変え、さらにトマトを加えることで旨味と甘みを増すように図った。

 これをオリーブ山椒でいただく。

他:炭酸水2

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