第41話 野晒しを心に(7月26日)

 繁忙期に入るとどうしても更新が滞りがちとなってしまうが、それと同時に空いた時間があれば俳句を読もうとする頭も働くため、これを集めれば戯文句集が出来上がるのではないかと思っている。

 専門的に俳句を詠んでいるわけでもなく、手習いを受けている訳でもないため構成も内容も滅茶苦茶なのであろうが、読み始めてかれこれ二十年近くが経とうとしている。

 初期の俳句を見返すと、以下のようなものがある。


 梅雨の雨 朝顔ぬらし 夏が来る


 自分の俳句であるため好き勝手に批評をさせていただくと、季語が重なっており、リズムも悪く、絵にもなっていない。

 この頃は単純に季節を書きぬけばよいと考えていた節があり、その精神で量産をしていたようである。

 読み返すうちに恥ずかしくなってしまったのだが、それでも、製造者責任というものは重いもので、本作をなかったことにすることはできない。

 今後も時に顔から火の出る思いをしながら、再び読むことだろう。


 転機となったのは、芭蕉の句のもじりからである。


初しぐれ 猿も小蓑を 欲しげなり 芭蕉

花粉症 猿もマスクを 欲しげなり 鶴崎


 憑き物が落ちたように、気を楽にしてまずは詠むようになった。

 決して上達したという訳ではないのだが、


夏草や 砲撃の世を ひた隠す


顔から火が出ずとも直視できる句が出始めたのもこの頃である。

 そして、俳句の持つ絵画性を気にし出してから本格的な俳句との格闘が始まった。


 蚕豆や 新地の路地を 飾る頃


 まだ説明が入り過ぎており、練習不足であるのだが、それでも映像をイメージするようにして詠み始めた頃の一句である。

 

 鳴鳥狩ないとがり アーサー王の 剣は折れ


 これは言葉遊びと珍しい季語で遊びに走った一句であるが、あまり変わり種が過ぎるというのもよろしくはない。


 星月夜 六億光年 我一人


 そして、現在地がここであるのだが、あまりに自由に絵画性へと走り過ぎた私は果たしてどこへ向かおうとしているのか。

 その答えも出ぬまま、深夜に外を眺めると耐えがたい孤独の中へ放り込まれるから不思議なものである。


【本日の出来事】

◎荒尾および玉名の酒類提供店に時短要請

 県独自の対策認証店については対象外となるようだが、何とかの一つ覚えという言葉がどうしても頭を掠めてしまう。

 休み休み言えと言われてしまいそうだが、休む暇を与えぬのが病原体である。

◎塩野義製薬 コロナ治療薬の治験開始へ

 終わりの始まりというのはどこか寂寥感の漂うものであるが、本件についてはこの一年半の騒動を終わりに導いてほしいと切に願っている。

 そう単純なものではないのだが、たとえ千里の道は一歩からという結果となろうとも少々の期待は許されたい。


【食日記】

朝:ヌク

昼:ヌク

夕:スパゲッティ・ミートソース、から揚げ、とんかつ、ウィスキーお湯割り3

他:レモンティ、お茶

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