第38話 汽車は時に道を外す(7月23日)

 子供の頃に見た名探偵コナンのシーンで忘れられないものがある。

 それは殺人現場でも、主人公の活躍でもなく、


「モーニング・ビールは最高だな」


という我らが呑兵衛の友、毛利小五郎大先生の一言である。

 無論、当時は酒を飲むことは習慣化しておらず、朝から酒を飲むなど理解し難いものであった。


 しかし、今となっては中々叶わぬ一日の至福であり、今思い返しても垂涎の一コマである。

 これがウィスキーや日本酒であれば格好良さが目立ったのであろうが、開けたての銀色の缶麦酒が喜劇的ながら皮肉の交じった日常を見事に描き上げる。

 子連れで何という生活をしているのだと批判するのも自由であるが、それは今の私が悩むところを解決することはできない。


 思い返してみれば、私の愛読する「鬼平犯科帳」では職務遂行中に一杯やる光景をそれなりに目にする。

 それが、現代と比較して酒にだらしないと批判するのであれば好きにすればよいと思う。

 ただその分だけ、人は酒から遠ざかってしまうように思う。


 酒と近しい関係といえば、すぐにアルコール依存症が頭をもたげてくるのだが、その疑いがあるのはあくまでも私というだけであり、他の方をその毒牙にかけるのは気が引ける。

 フィクションだからと笑っていれば、当時の武士の食生活を見ても大きく差はないことが分かるだけに、必ずしもおかしなことばかりと言い切ることもできない。


 人権宣言など虚しい物なんだよと笑われてしまいそうなご時世であるが、酒を前にしては全てが等しく攫われてしまう。

 今日は昼酒を愉しんだが、これは何も私だけがいけないことをしているのではないのだと言い訳をしているに過ぎない。


【本日の出来事】

◎東京五輪 開会式

 散々に開始前から騒ぎ立ったイベントは、この後に何を残すのか。

 それを見届けようという好奇心が半分と、それに揺れる人々を見詰めたいという斜に構えた精神とが半分あり、素直にその心に従おうと思う。

 果たして、私の思いは肉体礼賛に傾くのか。

 夏休み子供科学電話相談ほどには楽しみにしたい。

◎本妙寺「頓写会」行列 二年ぶり開催

 衆人の耳目が集中する催しもあれば、夏の宵に薄っすらと消える催しもある。

 やがて悲しきとは言いながら、それもまた心躍るものである。


【食日記】

朝:ヌク

昼:漬物、瓶麦酒大1、特製ラーメン、叉焼、酒、日本酒サングリア、梅酒、チーズケーキ、吟醸酒飲み比べセット

 山都町でいただく昼酒の旨さは格別であった。

 私はこの時、如何なお大尽もたどり着けぬ幸せを盃に満たしていたと言っても過言ではないだろう。

 それにしても「おちかラーメン」さんのお母さんの心配りは、何とも私に効く。

夕:チーズフライ、つくね、チーズとんかつ、麦酒2、シャンティガフ3、ハイボール1、サイダー1、ソーダ1

他:レモンティー、お茶

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