第36話 爆竹や爆ぜ爆ぜ返し盆の闇(7月21日)

 帰宅する間際、近くの国道を走る二輪のけたたましさが静寂の闇を切り裂いた。

 実家にいた頃は国道に面していたこともあり、幾度となく耳にしてきたものであり、地方の道に不釣り合いな響きはどうしても私に憂さを残さざるを得ない。

 それこそ心地よく寝ていた人からすれば迷惑千万というものであり、前職の頃に寝付こうとした矢先に響けば怒りに我を忘れていたことだろう。

 それをするには、頭が冷えやすくなってしまった。

 何とも悲しい在り方だなと苦笑して部屋に入り、私はいつものように打鍵の体制をとった。


 中学生の頃、やたらに奇抜な格好をしたり煙草を吸ったり暴力的であったりした者達があった。

 私は一定の距離を取りながらも、その在り方を見て感じたのは怒りや馬鹿々々しさよりも憐憫の情ではなかったか。

 話をするなどして彼らの奥底を掘り下げていくと、意外なほどに何もない。

 それでも、そのうちの一人が高校に合格したことを知った時に見せた笑顔というのは何とも輝かしいものであった。

 今思い返しても、彼との思い出はその一瞬に尽きよう。


 動画投稿サイトで日銭を稼ぐ者たちのうち、一体何人が真に金稼ぎを目的としているのだろうか。

 人に迷惑をかける行いをしながら視聴数を稼ぐ際に、どうしても単純な金銭欲に目が行ってしまいがちであるが、打算ができれば効果のほども知れよう。

 画面の向こう側に映る人を割ってみると、案外、空蝉なのかもしれない。


 毎晩のように繰り広げられているツイッターでのデモを見ていると、よくもまあ飽きもせずと感心せずにはいられない。

 本日は日付のせいで一部の者達の玩具とされていたが、それはそれで本人たちには満足なのではないか。

 爆音を響かせる暴走車はそれだけで真直ぐな迷惑をかけるが、こちらもまた私の顔を顰めさせるには十分である。

 祭りと勘違いした乱痴気騒ぎに頭痛がするのと同じ思いだ。


 書きながらいかにも賢しらを装う私もまた、彼らと同じ穴の貉と言ったところか。

 それも、書かねば居られぬ性分というのは余計に質が悪い。

 いや、それも含めて同じとするところなのだろう。

 今ではすっかり静かになった宵に耳を澄ましてみても、相手の声は聞こえてこない。

 全く居心地の悪くなったところで床に就くのだが、果たしてどれほど眠れるのだろうかと至極心配である。


 仕方がないのでもう一杯だけウィスキーのお湯割りをいただくこととする。


【本日の出来事】

◎第五五回県小品美術展 開幕

 暇に任せて博物館や美術館を訪ねるのは楽しみの一つであるが、その中でも手にしやすい美術品を求められるというのは何とも心躍る。

 とはいえ、昨年は心に任せて求めた絵画を、家ではなく行きつけのバーに寄贈するという何とも迷惑なことをしでかしている。

 今年もまた同じようなことをするかもしれぬのだが、もう少し広い家であればという妄想は尽きない。

 まあ、ゴミ屋敷と化すのが関の山と思ってはいるのだが。

◎BTS 韓国文化特使に

 日本では「ユダヤ人虐殺ごっこ」というネタで元コメディアンが叩かれ、国連ではナチスや原爆を意匠にした服装で登場した者が登壇する。

 一宗教を揶揄した絵を描いた者は庇護下に置かれ、放射能を以ってある地域を揶揄する者は祝祭を謳歌する。

 どうやら私はまだ表現の自由というものへの学習が足りぬようである。


【食日記】

朝:ヌク

昼:かつ丼、鶏南蛮そば、野菜ジュース

夕:麻婆豆腐、三種のサラダ(玉子スパサラ、マカロニサラダ、ポテマカサラダ)、鶏のから揚げ、とんかつ、ウィスキーお湯割り3

 ポテトサラダには中濃ソース(またはウスターソース)を垂らすのが好ましい。

 マカロニサラダには粗挽きこしょうをぱらり。

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