第410話 盟約と世界の意志1

 帝城リドニーの内庭で、大剣を振り回している二人の男性がいた。

 どちらも大柄な体で、身長は二メートルはあるだろう。また同様に、筋肉が盛り上がって、ムキムキの状態だ。

 周囲には誰もおらず、しかも近寄りがたい。大剣を振り下ろされるたびに汗が飛んで、キレのある音が響く。

 両者とも真剣な面持ちで、ひたすらに素振りを繰り返していた。


「ふんっ! これぐらいで良かろう」

「そうですな。陛下」


 二人のうち一人は皇帝ソル、その人である。

 もう一人が〈鬼神〉ルインザードだ。近くにあるテーブルへ向かい、置いてあった二枚の布を取った。

 そして、一枚を皇帝に渡して、大剣を受け取った。


「良い汗をかきました」

「もっと重い剣を用意しろ!」

「ははははっ! 物足りませんか?」

「昔と違って、鍛錬の時間は限られるからな」

「分かりました。次回までに作らせておきましょう」


 ルインザードは二本の大剣を、テーブルに立てかけた。

 ソルは体から流れた汗を布で拭き取って、満足気に首に巻く。その後は両肩を交互に回しながら、椅子へドカッと座った。

 実のところ皇帝は、単純な力でも、四鬼将に引けを取らない。むしろ上と言って良い。若い頃は、目の前の幼馴染おさななじみと、日々鍛錬に明け暮れていた。

 エウィ王国のエインリッヒ九世と違って、物理的な力を持っている。


「デルヴィ侯爵領との国境はどうなっておる?」

「挑発を担当していた第六軍は下がらせました」

「予定通りか」

「はい。スタンピードの援軍も入国しましたからな」

「では、次の段階へ入れ」

「グラーツ様も待ちわびておりましょう」

「ははははっ! ここでしっかりと稼いでもらおう」


 スタンピードの対処として、エウィ王国からブレーダ伯爵の軍が入国していた。

 すでにターラ王国へ入っているが、それに合わせて、国境で挑発を繰り返していた軍を下げている。

 これも、帝国軍師テンガイが立案した謀略の一環だった。関係改善と称して、商人を大量に送り込む手筈てはずになっている。

 商取引を活発化させて、短期間で金銭を得るのだ。


「それで、レジスタンスのほうはどうなっておる?」

「ギーファスの首を取ったことで弱体化しました」

「軍師殿は必要ないと言っておったがな」

「スカーフェイスにも伝えたはずですが……。あの馬鹿者がっ!」

「ルインザード様、もうおしかりは受けましたよ」


 ソルとルインザードが声の聞こえた方向へ目を向けると、内庭へ続く扉が開いていた。そこには、口元をマスクで隠した男性が立っていた。

 その人物は、帝国諜報ちょうほう部で採用されている全身服を着ているので、目元しか露出していない。背は低く、気配が薄い。

 〈凶刃〉スカーフェイスだった。


「なんだ。陛下に呼ばれておったのか?」

「はい。軍師様がいらっしゃらないので……」

「ははははっ! 左目にアザがあるな」

「ルインザード様に、こっぴどくやられましたよ」


 近づいてきたスカーフェイスは、左手で左ほほを擦っている。

 帝都クリムゾンに帰還して早々、ルインザードに殴られたのだ。神殿で治癒すれば良いのだが、それを認められなかった。

 もちろんソルと謁見できず、次の任務に就かされていた。


「まったく。女など連れ帰りおって!」

「戦利品ぐらい見逃してくださいよ!」

「陛下のお顔に泥を塗るところだったのだぞ!」

「それは、何度も聞きました。でも大丈夫ですよ」

「口答えするな!」


 ルインザードの顔が、オーガから地獄の番人に変わった。

 この状態になると、いくら〈凶刃〉スカーフェイスでも借りてきた猫に変わる。もちろんそれは、他の帝国四鬼将でも同じことだ。

 さすがに見かねて、ソルが笑いながら止めた。


「はははっ! ルインザード、もう良いではないか」

「そうは参りません! さっさと帰ってくれば良いものを……」

「僕だって四鬼将ですからね。変わりの手柄が必要なんです!」


 ルインザードのこめかみに、青筋が浮かんだ。

 そして、振り向いた瞬間に、腰を乗せた超高速の拳を繰り出した。


「陛下の前で無礼だぞ! 反省が足りん!」

「ぎゃ!」


 なんとスカーフェイスは、ルインザードの後ろを取っていた。

 これは、ボイルとの戦闘で使った戦法だった。しかしながら、簡単に見破られて、自身が入ってきた扉とは反対側へ吹っ飛ばされる。

 そのまま壁に勢いよくぶつかって、周囲にはドゴーンといった轟音ごうおんが響いた。当然のように、彼の前に立っていた幻影は消えている。

 それに対してソルは、口を真一文字に結んだ。


「ルインザードよ、奴には金が掛かっている」

「申しわけありません。まあ、この程度では壊れませんぞ」

「いたた……」

「早く戻ってこい!」

「はっ、はい!」


 ルインザードに口答えしても良いことは無い。

 スカーフェイスは言われたとおり、すぐに立ち上がって走ってきた。また殴られたら、洒落しゃれにならない。


「懲りん奴だな」

「す、すみません。もうしませんので……」

「スカーフェイス、女など奴隷にしてどうするのだ?」


 ひたすら謝っているスカーフェイスに、ソルが優しく問いかける。

 もちろん彼の趣味は知っているが、この対応こそが必要なのだ。


「癒しに使っています」


 スカーフェイスの出身は、暗部育成機関である。

 もともとは、ソル帝国に蔓延はびこっていた裏組織だった。エウィ王国の「黒い棺桶かんおけ」と同様に、帝国臣民から恐れられていた。

 違うところは、組織で暗殺者を育成していた点だ。ここに目を付けたソルは、育成機関だけ残して、一気に潰してしまった。

 そのときに育成されていた一人を、大金をかけて、最後まで育て上げた。それを、帝国四鬼将の〈凶刃〉として迎え入れたのだ。


「癒しか。だが、何人も要らんだろ?」

「十人目なので、一区切りかもしれませんね」

「ははははっ! まあ、好きにすれば良い」

「ありがとうございます!」


 スカーフェイスの両親は、組織によって殺されている。物心がつく前だったので、そのまま拉致され、暗殺者として育成されていたのだ。

 ソルが拾ったときには、マシーンのように感情が無かった。だが面白いもので、愛情を注ぎこんでやると、皇帝を父親と思うようになっていた。

 もちろん本当の父親とは思っていないが、父性を感じているのだ。これが、忠誠心の高さとして現れている。

 そして、奴隷とした女性には、母性を感じていた。

 体の一部分に対してだけだが……。


「して、陛下に何用なのだ?」

「フォルト・ローゼンクロイツについてです」

「あ奴は軍師殿の担当だろう?」

「僕が報告するようにと言われました」

「なるほど。いま送っている最中だったな」

「はい。帝都では直接監視しましたが――――」


 フォルトが宿舎の屋敷から出たのは、研究所を訪問するときだけだった。その帰りには、ソフィアと二人で動くと報告を受けていた。

 テンガイからの指示で遠くから見ていたが、南の壁から降りるまでは、気になる点が無かった。しかしながら、市場に出て、幼児が着るような服や玩具などの店に立ち寄っていた。子供でも生まれるのかと思ったものだ。

 以降は宿舎から出ていないが、テラスで何枚も紙を読んでいた。


「グリムの息子に子供が産まれていたな」

「なるほど。では、お土産でしょうな」


 グリムの息子ソネンには、レオンという男子が産まれていた。

 その程度の情報なら、とっくの昔に入っている。ソフィアのお腹は膨れていないので、フォルトの子供ではないだろう。


「それよりも陛下。気になるのは紙ですな」

「何かの指示書か?」

「すみません。さすがに内容までは……」

「スカーフェイスでも近づけなかったか?」

「やだなあ、ルインザード様。友好的にって聞いていますよ」

「そっ、そうだったな!」

「でも無理だと思いますよ。〈剣聖〉がいますしね」

「まあよい。軍師殿が戻ったら聞くとしよう」


 エウィ王国かアルバハードから送られてきた指令書の可能性はある。とはいえ、宿舎から出ていないなら、ソル帝国で行うものではなさそうだ。

 現在はテンガイが同行しているので、目を盗んで動けないはずだった。


「もう一つ聞いておこう」

「はい、陛下」

「ターラ王国での一連の行動で、奴をどう思った?」

「ほとんど接点が無かったので、なんとも言えませんが……」


 女性の好みについてを答えると、また壁まで吹っ飛ばされる。

 さすがに懲りたスカーフェイスは、その他のことで、気になった点を伝えた。


「なんか、怖かったですね」

「怖いなどと……。貴様、それでも帝国四鬼将か!」

「ルインザード様、そういった話ではなくですね」

「詳しく話してみろ」

「はい」


 スカーフェイスが、フォルトを怖いと感じた理由。

 それは、人を見る冷淡な視線だった。もちろん自身は暗殺者なので、同じような視線を、殺害対象に向ける。しかしながら、性質の異なるものだった。

 まるで、醜い生物を見るような。そんな嫌悪感や不快感を含んだ視線。これは人外の者が、人間に向けるものだ。


「人外の者だと?」

「ははっ。僕は何を言ってるんでしょうね」

「馬鹿者。真面目に答えんか!」

「そっ、そうですよね! つまり、戦っても勝てません!」

「ふんっ! だからこそ手に入れたいのだがな」


 英雄級のスカーフェイスが勝てない人材。

 勇者級の力を持った人物は、今後のソル帝国に必要だった。問題は山積みだが、フォルトを手に入れれば、〈剣聖〉ベルナティオのオマケ付きだ。

 他にも魔族の姉妹や粒ぞろいの戦力が手に入る。


「まあいい。軍師殿に期待しておこう」

「そうですな。陛下の目標は、先が長いですからな」


 それでも、ソルは急いでいない。

 そもそもフォルトは、降って湧いたような人物だった。三国会議の晩餐会ばんさんかいに現れて、皇帝の目に留まっただけである。

 手に入れたい人材だが、無理をする必要はない。現在は吸血鬼の真祖バグバットが後見人なので、彼に手を出せば、アルバハードが敵になる可能性が高い。

 ただし、人類統一作戦の邪魔になっている。彼の拠点の一つが、双竜山の森だ。しかしながら、これから言い渡す作戦で取り除かれるだろう。


「ははははっ! では、その目標の第一歩だ」

「「………………」」

「スカーフェイス! エウィ王国での作戦を始めろ」

「まだ早いのでは?」

「いや。グラーツが送り込む商人に紛れ込ませておけ」

「そっちの作戦も始動してましたね」

「国境越えが楽になるだろう。だから、今のうちにな」

「畏まりました!」

「よしっ!」


 ソルは椅子から立ち上がり、空を見つめて、右拳を高々に上げる。

 そして、スカーフェイスの肩に手をおいてから、内庭を出ていくのであった。



◇◇◇◇◇



 フォルトは、カーミラの膝枕で寝息を立てている。

 現在はソル帝国の国境を越え、バグバットが出した吸血鬼の護衛に守られながら、一路アルバハードへ向かっている。

 ここまでは順調に帰ってきたが、彼の頭脳は限界だった。


「ぐぅぐぅ」

「御主人様は、夢の中から帰ってきませんねえ」


 帝国軍師テンガイへの気苦労とは別に、転移魔法の術式が難し過ぎたのだ。

 宿舎に泊まっていたときから勉強を始めていたが、いくら覚えようとしても、さっぱり脳みそに入ってこない。

 眺めるだけでも、目の回る術式なのだ。


「まだ起きないんじゃない? 目が死んでたよ?」

「そっ、そうですね」


 おっさん親衛隊は、二台の馬車に分乗している。

 フォルトが乗る馬車の同乗者は、カーミラの他に、アーシャとソフィアがいる。二人も同じように寝ていたが、今さっき起きたところだ。


「ねえ、ソフィアさん」

「はい?」

「ちょっと疑問が浮かんだんですけどぉ」

「なんでしょうか?」

「あたしってば、勇者候補なんじゃない?」

「え?」

「レベルも三十七だしぃ。シュンと同じぐらいなんじゃない?」

「あ……。そうかもしれませんね」


 フォルトたちは知り得ない話だったが、アーシャはすでに、シュンを追い抜いている。現在の彼はレベル三十四、一番高いギッシュで三十五である。

 それはともかくとして、レベルとして見れば、勇者候補に匹敵していた。もちろん相性があるので、一騎打ちでは負けるだろう。とはいえ、エウィ王国が望んでいる強さの基準には到達している。


「ねぇねぇ。あたしって、王国から目を付けられてんの?」

「いえ。現在のレベルは知られていませんよ」

「そっか。でも知られたら?」

「平気でしょう。フォルト様の身内ですし……。でも……」


 今の時点では、ソフィアの頭脳をもってしても読めない。

 アーシャもフォルトと同様に特殊なのだ。冒険者を殺して彼の下へ走ったときは、シュンの従者で、大した実力が無かった。

 だからこそ、見逃されたと言って良い。


「一度、御爺様おじいさまに問い合わせておきますね」


 ある意味で盲点だった。

 フォルトが特殊過ぎるために、アーシャのことは考えていなかった。彼女のことを考えるなら、最悪を想定しておくべきだったのだ。


「戻れって言われても戻らないけどねっ!」

「………………」


 最悪の場合とは、アーシャが殺されることだ。

 もちろんフォルトは、全力で阻止するだろう。しかしながら、国法に照らし合わせれば、異世界人の彼女は処分の対象なのだ。

 そうなると、暗殺者が送られてくる。吸血鬼の真祖バグバットが彼の後見人だが、必ずしも安全とは言えない。

 ソフィアは、エインリッヒ九世と貴族の思惑が気になった。異世界人に関わるものだと、彼らは間違いを犯しそうだった。


「それって面白そうですねえ」

「カーミラさん?」


 ソフィアは口に出していないが、カーミラは気付いたようだ。

 そして、からかうような笑顔を浮かべた。


「えへへ。アーシャが一人のときにブスッと!」

「ちょっと! なんてこと言うのよ!」

「冗談ですよお。あの女にも聞いときますねえ」

「どなたですか?」

「リゼット姫ですねえ。行く予定になってるのでえ」

「そうでしたね」


 カーミラはリゼット姫に、スタンピードの結末について報告するのだ。

 フォルトが面倒臭がったからだが、すでにリリスと知られている。裏切りはないと思われるので、率直な話が聞けるだろう。


「うぅ……。気分直しに、ソフィアさん!」

「はい?」

「フォルトさんとのデートの話を聞かせてっ!」

「えっ!」

「なんか、ベビー用品まで買ってきてさあ」

「あれは、レオンへのお土産です!」

「魔人じゃ子供ができないしね。他には?」


 アーシャの切り替えが早い。

 確かにソフィアは、フォルトと二人きりで、帝都の市場を散策した。本来なら帝都を囲む南側の壁から風景を見るだけだった。しかしながら、ソフィアは、それだけで満足しなかったのだ。

 ターラ王国ではかなり苦労したので、ちょっとだけ我儘わがままを言ってみた。


「へえ。意外とおねだり上手なのねえ」

「っ!」

「あはっ! あたしもおねだりしよっと!」

「あ……。みなさんとは、個別で行かれると言ってましたよ」

「やった! でも、フォルトさんの人間酔いは?」

「だいぶ改善されてましたよ。会議では沢山の人がいましたからね」

「なるほどねえ。じゃあフォルトさん! アルバハードでぇ」


 アーシャは、寝ているフォルトの胸板の一部分を、指で擦る。

 すると彼は、目を閉じながら声を上げた。


「で、でへ」

「やっぱりぃ。起きてたでしょ?」

「ぐぅぐぅ」

「手遅れよっ! クリクリクリっとね!」

「おっ、おおう! そっ、それはっ!」

「御主人様は面白いですねえ」


 アーシャの責めに屈したフォルトは、上体を起こして椅子に座り直す。

 これは、狸寝入たぬきねいりというやつだ。


「フォ、フォルト様……」

「い、いやな。女子会が始まったから、邪魔しては悪いかなと」


 ソフィアの頬が真っ赤だ。

 あまり詳しい内容まで話していないが、アーシャの気づきがなければ、この場で包み隠さず話していただろう。

 狸寝入りならなおのこと。さすがに恥ずかしいようだ。


「どっ、どこから聞いていましたか?」

「おねだり上手?」

「っ!」


(というのは冗談で、アーシャの問題か。確かにレベルは高くなったが、俺の身内ってだけじゃ駄目なのか? 今までは見逃されていただけ? うーん)


 フォルトにとって、カーミラを含めた身内は、一番大切なものだ。

 手を出されれば守るし、当然のように報復する。その場合は、魔人と知られても構わないと思っていた。

 やはり、色々と決める時期にきたということか。


「屋敷に戻って落ち着いたらな」

「腰が重くなるくせにぃ」

「まあな。だが、俺も楽しかったからなあ」

「まあ、フォルト様……」

「それはいい傾向ねっ! じゃあ、次はあたしぃ!」

「ははっ。アーシャとなら、行く場所は決めてある」

「そうなん? 楽しみにしとくねえ」


 アーシャの笑顔がまぶしい。

 ただし、デートする場所が、彼女の好みに合っているかは分からない。フォルトの場合は腰を軽くするために、他の何かが必要なのだ。

 つまり、一石二鳥や三鳥を狙っていた。


「さてと、アルバハードに入ったな」

「はい。バグバット様の屋敷に寄るのですよね?」

「うむ。まあ飯を食うから、みんなと一緒でいいだろう」

「あー。スーツの人ね」

「ははっ。そうそう」

「ならさ。また楽団を借りられないかなあ?」

「おっ! 新たな曲でも入れる?」

「うん! 何個か空きがあるしねえ」


 アーシャにプレゼントした音響の腕輪。

 戦闘で音楽を鳴らすと、魔物を呼び寄せて危険だ。それでも、格下の魔物と戦う場合は使っている。または、フォルトやカーミラがいるときだ。

 フレネードの洞窟では音量を下げていたが、フェブニスやダークエルフ族の戦士隊はノリノリだったと聞いている。


「まあ、土産の酒もあるしな。快く貸してくれるだろう」

「果実酒ですね。喜ぶと思いますよ」

「ねえねえ。他にも荷物があるようだけど?」

「ああ。大蜘蛛ぐもの粘膜だ」

「えぇぇ。なんでそんなキモいものを!」

「服の素材になるって言っただろ」

「ああ!」

「今回の戦利品だな」

「フォルトさんも抜け目ないなあ」


 フレネードの洞窟には、大蜘蛛も棲息せいそくしていた。

 魔物の素材はソル帝国へ渡すことになっていたが、大蜘蛛の粘膜だけは返却してもらった。馬車に載せたのは一部だが、後日また、果実酒と一緒に送られてくる。

 フォルトもすっかり忘れていた話だが、カーミラメモのおかげで、帝都に入ってから思い出していた。


「御主人様! 到着しましたよお」

「よしよし。やっと帰ってこれたな!」


 そんなことを話していると、バグバットの屋敷に到着した。馬車が停車して、吸血鬼の護衛の隊長が、扉を開けてくれた。

 そして、フォルトたちは、馬車から降りるのだった。



――――――――――

Copyright(C)2021-特攻君

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