第40話 王都へ
【お知らせ】
新作を投稿しました!
「ダンジョン・ファーム ~家を追い出されたので、ダンジョンに農場をつくって暮らそうと思います~」
https://kakuyomu.jp/works/16816452219389978278
今回は過去作のリメイクではなく完全新作となっております!
スローライフものなので、お好きな方はぜひ!
そうでない方も、ハーレムや成り上がり好きの方はぜひ!
どれも好きじゃないという方もぜひ一度ご覧あれ!
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モンスター村との交流が始まってから結構な日にちが経った。
当然ながら、モンスター村ばかりに神経を注いでいるわけじゃない。日々の鍛錬や勉強もきちんとこなし、剣術の特訓もしている。また、時間ができたときはレヴィング家を訪れ、サーシャやエルシーとの交流も欠かさない。
昨年までとは比べ物にならない、かなりのハードスケジュールをこなす日々を送っていた。
――と、いうわけで、今日もモンスター村へ行こうとした矢先、
「ハーレイ」
呼び止めたのは母上だった。
まさか……何か怪しいと勘づかれたか?
「明後日は王都へ行きますから、覚えておいてね」
「王都へ?」
何事かと肝を冷やしたけど、王都へ出かける誘いだったのか。しかし、俺も一緒に行くというのは珍しいな。
「王都で何かあったんですか?」
「あら、知らなかったの?」
うん?
明後日……王都で何かあったか?
……ダメだ。
必死に思い出を手繰り寄せているが、ヒントになるワードさえ何ひとつ浮かび上がってこない。
すると、母上がその答えを教えてくれた。
「明後日は王都でセレティナ姫とシュナイダー王子の婚約を記念して、パレードが行われることになっているの」
「あっ……」
すっかり忘れていた。
そういえば、前に父上が言っていたな。
近々、バズリーからシュナイダー王子がやってきて王都内でパレードをするんだったな。これが最近、ゾイロ騎士団長が忙しくている元凶ってわけだ。
アースダイン王国のセレティナ姫といえば、国民に大変人気の高いお姫様だ。その姫様が嫁ぐっていうんだから、きっと相当な賑わいだろうな。結婚したら、アースダインに戻って来ることなんてそうはないだろうし。
「最近は表舞台になかなかお姿を見せなかったセレティナ姫だけど……きっととてもお綺麗になられているはずよ……」
うっとりした様子で語る母上。
……でも、俺は姫様の顔を見たことがないんだよな。
「分かりました。明後日は王都へ行きます」
「えぇ。お願いね。それが終わったら――いよいよ学園が再開されますよ」
「! そうですね!」
最近はモンスター村絡みの件が忙しくてすっかり忘れていた。
……初めてだな。
早く学園に行きたいと思えるのは。
◇◇◇
モンスター村は今日も活気に満ち溢れていた。
農業組は自分たちで話し合い、より良い作物を生産するにはどうしたらよいのだろうかとアツい議論を交わすまでに成長していた。アクティブだな、ここのモンスターは。
ソフィについてはすでに読み書きのレベルが5歳並みになっており、そちらの方面は問題なさそうだ。あとは羞恥心というか、人間社会の常識なんだが……今日も村に行ったら裸でお昼寝をしていたので厳重注意から始まった。
「すまねぇな。俺も常に言い聞かせてはいるんだが」
「まあ、そのうち根付く――と思ってその都度注意していくしかないですね」
文字の読み書きの覚えは素晴らしいのに……まあ、慣れかな。
ともかく、あの子が起きるまでセスに人間の言葉を教えておかないとな。
「あ……う……め……と……」
よくなりつつあるが、やはり人間とモンスターでは発声器官の構造が根本的に違うのだろうか、ハッキリとした発音にならない。
それでもセスはあきらめずに練習を続けた。
――おっと、忘れるところだった。
あの件を伝えておかないとな。
「あ、そうだ、セス」
「うん? なんだ?」
「明後日は俺、ここに来られないから」
「何か用事でもあるのか?」
「王都でセレティナ姫の婚約記念パレードが行われるんだ。それに参加するんだよ。明日でアースダインのセレスティナ姫は見納めになるだろうし」
「何ぃぃぃっっ!!?」
とんでもない大声だった。
思わず、ソフィが飛び退き、農作業をしていたモンスターたちが何事かと駆けつけるくらいの衝撃だった。
「な、何をそんなに驚いているの?」
「や……べ、別に」
全然「別に」ってテンションじゃなかったぞ。
セスのヤツ……何かを隠しているな?
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