第2話 無彩色の愛。

水たまりに映る曇天が、ゆらゆらと揺れている。

傘をうつ雨の音に微睡みながら、履きなれた靴でのろのろ歩く。

ローファーが蹴散らしていく水面には、灰色の世界を唯一彩っている紫陽花が、儚く微笑んでいた。

燦々と輝く太陽よりも、

吸い込まれそうな蒼穹よりも、

全てが混ざり澱んだこの色を、

どうしようもなく、愛している。

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埋葬 影平まこと @sakura-1993

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