第3話 リオン様と朝食
ユーリが出て行き、私はリオン様に椅子を引かれて座るように促される。
「アレン、今日は君と話がしたいんだ」
「……え? 話?」
「あぁ、まだここに来て1日目だろう? アレンのことを知りたいんだ」
私のことが知りたいって……どういうこと? なんのために、知るの?
「まずは朝食だ。もう少しで来るはずだからな」
リオン様がそう言うとすぐに2人分の朝食をワゴンに乗せてユーリともう1人の侍女さんがやってきた。
「お待たせ致しました、朝食をお持ちしました」
テーブルの上には、クロワッサンのようなパンとスープに温野菜が並べられた。スープからは湯気が立っていていい匂いがする。こんな温かそうな朝食、前世の頃も含めて生まれて初めてだ……。
「……美味しそう」
「あぁ、そうだな。頂こう」
私は、クロワッサンを一口サイズにちぎり口に入れる。外はサクッと中はもっちりした生地とバターの香りがとてもマッチしていて美味しい。それに、スープ……これはじゃがいもかな。これもとても美味しい。
「美味しいか? 君は実に美味しそうに食べるな」
「っす、すみません……」
「怒ってはいない。ただ可愛らしいなと思って」
か、可愛らしい!? な、何をおっしゃっているの。
そんな訳、ないじゃん。
「ここの料理は城の敷地内にある畑で獲れた小麦や野菜なんだ……だから美味しいんだ」
「そう、なんですね」
自家菜園があるのかな? 小麦から作っているから美味しいんだ。
美味しくてすぐに完食してしまった。
「アレン、嘘はつきたくないから今いう」
「は、はい」
「俺は、リオン・アドリラ。この国を治めている」
このくにをおさめている……。この国を、治めている?
……!?
「まさか王様ですか……?」
「そうだ」
「……えっと」
「まだ、王になって浅い。だからそう構えないでくれ……」
そんなこと言われても! 構うよ……。
「でも、王様が
「それは皆、アピールをしているのにアレンは全然だったろう? 興味が湧いたんだ」
確かにあそこにいる子たちは必死だ。買われたら幸せになれるかもしれない、自由になりたいと淡い期待を抱いている。
「私は、あそこに3年いました……私は売れ残りです。私は幸せとか、期待してなかったのです。私より若い子に幸せになって欲しくて……」
「アレン、俺は君の瞳を気に入ったんだ。諦めているが光が灯っていた。それに磨けば、輝きそうだと思ったんだ」
リオン様は私の話を相槌を打ちながら聴いてくれた。
「近づいたらすごい綺麗で、君がどうしても欲しかった」
「っそうですか」
私はどう答えれば分からなくて紅茶を一口飲んだ。
「またあとで会いに来る。待っていてくれ」
「はい」
リオン様は立ち上がると部屋を出て行った。その後、リオン様が来るまで私は誰もいない部屋でボーっと過ごした。
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